過去2週間のウクライナ情勢で人的被害が拡大する中、コモディティ価格と金融の安定も十数年ぶりのショックを受け、各国が大きく混乱している。

特にコモディティ価格の変動は今後、極めて要注意。先日はツイッターでも共有したが、先週のコモディティ価格指数（S&PのGSCI指数）は週次＋20％の上昇。この指数の歴史の中で、これまでの最大の上昇が2009年第1週の+12.9％だった。先週の+20%の上昇は **3σどころの動きではない。**

50年間の週次騰落率の分布は綺麗な正規分布だが、**先週は 0.0003%の確率である6σイベントすら上回るショックに該当する。**

50年間の週次リターンの平均値が+0.1%。標準偏差が2.7%。先週のリターン（20％）が平均（0.1％）から約7.4標準偏差離れている。つまり…

# 7σ（強）のイベント。∑(ﾟдﾟ；)

![image.png](https://grid-images-production.cryptact.com/ced0e034-893a-407b-9bd1-cf916d5c5108)
GSCIのうち、エネルギー価格が約50％を占めるので今週・来週のイラン核合意次第では調整する余地がありそうだが、ウクライナ情勢が鎮静化しない限りコモディティ全般への資金流入が続きそう。

**そしてインフレ加速の度合いもコモディティ価格次第。**

先週の雇用統計と一緒に発表された賃金上昇率が市場予想の+5.8％を大きく下回る+5.1%となった。先月の+5.7%も+5.5%に下方修正され、賃金上昇から来るインフレ圧力が一旦緩和されるのか、と一瞬思った。

ただ、その後に更新されたクリーブランド連銀のCPI Nowcastを見た…

![image.png](https://grid-images-production.cryptact.com/910e13bb-6ef6-4b1f-a25e-ae73f5299b43)

# 3月の暫定値がすでに8％超えなのか。∑(ﾟдﾟ；)

なお前月対比の暫定値も+0.81%であり、 **減速する気配が一切ない。**

今週木曜日に発表予定の2月のCPIは、市場予想が＋7.9％であり、コアが＋6.4％。クリーブランド連銀Nowcastの2月暫定値は7.81％と6.4％だが、過去18カ月は発表値がNowcastの暫定値を上回る傾向。となると来月に発表される3月の値は8.03％よりも高くなる確率がそれなりに高い…。

**むしろ今週の発表で2％がすでに8％を超える可能性もそこそこありそう。**

そしてインフレの行方次第で金利とリスク資産の動向が大きく左右される。
その中で一昨年から何度も紹介している **グロース対バリュー** のテーマを再度見てみようと思いまーす。

最近、バリューの調子はまあまあいいなと思っていたら、改めてみてみたら私が想像していた以上に堅調だった。

![image.png](https://grid-images-production.cryptact.com/3f9a5b87-8f66-4121-9a70-fa865766075e)
上図はS&Pバリュー指数 vs グロース指数の月次リターンを基準にした3か月累計（ローリング）リターン。つまりグロースをショート（空売り）し、同額のバリューをロング（購入）すると得られるリターン。個人だとマージン口座がなければできない戦略だが。

実は2月末時点でバリューがグロース対比3カ月連続的に勝った。バリューがグロース対比構造的に負け始めた2007年以来、月次で3連勝はほかにもあったが、今回の勝ち幅は **過去15年間に一度もなかったもの。**

3か月でバリューがグロースを14.7%上回り、金利上昇から恩恵を受ける金融株や、コモディティ価格上昇の追い風があるエネルギー関連の足許の相対的優位性が現れている。

ちなみに3月4日現在で3月が＋2.4％であり、4連勝となっている。

ただ、地政学的リスクが深刻化すれば一旦長期金利のさらなる低下もありうるのでバリューは少し要注意かもしれない。とはいえ、FEDが利上げをはじめ、バランスシートの縮小を開始すれば **いよいよ15年ぶりの構造的なバリュー相場が訪れる可能性が高まるであろう。**

と言いつつも第三次世界大戦が始まればグロースもバリューも関係ないので早くウクライナ戦争が終戦することを祈ります…

コモディティ価格の7σイベント。8％が見えてきた米国CPI。バリューの15年ぶりの連勝。