メモリアルデーで米国市場が休場の中、今週金曜日発表予定の雇用統計に関わる内容をご紹介。

毎月発表される **非農業部門雇用者数（NFP）** の前に民間企業であるADP社が **ADP雇用者数（ADP）** を発表する。どちらも全国の雇用情勢を反映するものだが、集計方法が異なる。

NFPは労働省労働統計局（BLS）が全国の雇用サーベイのサンプルに基づいて集計。雇用主単位のデータであり、廃業や新規設立等の影響は集計上調整される。

ADP社はBLSの集計方法をベースに実際の給与支払いに基づいて計算される。

どちらも各月の季節的要因や過剰な一過性要因を除いて集計。NFPはさらに、その後三カ月間に渡って過去データの修正も行う。

そこで発生する問題は、コロナ禍そのものが季節を狂わせ、すべて一過性要因とも思われるような影響を及ぼしている。統計集計作業が極めて困難となり、ADPもNFPも正確な数字把握に苦労している。下図は過去のADPとNFPの人数差を表しているもので、コロナ禍の影響で過去にない乖離が発生している。先月も50万人弱の差があり、過去3番目に大きいズレとなった。

![Screenshot 2021-06-01 074600](https://grid-images-production.cryptact.com/506648c6-2649-4581-926c-fac8c675cd11)

もう一つの課題は季節の調整。たとえば夏にプール関係の仕事が増えるのは想定内の出来事で、7月に全国の継続的雇用が突然増えているわけではない。コロナ禍はこれも狂わせてしまっているので、NFPサイト上にある季節調整前の数字をご覧いただければ、統計がいかにブレているかが伺える。

![BLS](https://grid-images-production.cryptact.com/689351e3-40e3-48d2-af98-80cb21e7c627)

季節が関係なくなっているコロナ禍で、実は2月、3月、4月、三カ月とも100万人強の雇用者数増加であった。

マーケットが反応する数字は、修正前のノイズが多く含まれているものではあるが、実態は後から見えてくるもの。特にコロナ禍はこの実態の把握を極めて複雑な問題にさせている。

### 主要市場の動き
- ダウ　休場
- S&P　休場
- NASDAQ　休場
- FTSE　休場
- 米国10年金利　1.5943% (--)
- 原油　66.98 (+1.00%)
- ビットコイン　4092823円 (+1.69%)

【2021.06.01】雇用統計の統計学的ミステリー