昨晩の米国市場は、金利はほぼ横ばい。一方でNASDAQを中心に株式市場は木曜日のFOMCを警戒して利食いやポジションを落とす動きが見られて、やや弱含んだ。まぁわざわざボラティリティ追いかけなくてもいいよね、という動きではあるし、とりあえずFOMCの内容待ちなので今週はそれまではあれこれ言っても仕方ない面もある。

FOMCでよほどのサプライズがない限りは、23年末までにテーパリング開始といった辺りが変更点としてありそうな気はするが、だとしてもある程度織り込まれているようには思える。22年となってくると結構驚きになるのかもしれないが、とはいえ市場が冷静な理由があるとすれば、ということで今週考察している第2弾。
<br>
### 失業給付金上乗せが消え、労働市場に復帰⇒賃金上昇率の低下、車の購買力低下

月曜に書いた通り、原油以外の残りの懸念でいえば、賃金上昇率や購買力低下が考えられ、購買力は特に直近のインフレ要因（寄与8％くらい）となっている車価格についてである。車価格については、半導体不足に加えて、自動車部品全般が港湾で棚上げされている状態で、荷下ろし、輸送が滞っている状態の模様。昨年の12月のピークからはある程度解消したようだが、完全回復には数か月では足りない（トラック輸送も稼働率100％とか）ことが車価格の大きな上昇に繋がっている。

問題はそれでも消費者が買えてしまうということもあり、失業給付金の上乗せ消滅する9月には購買力低下が見られインフレ要因の1つであった車価格は下げに転じるのではないか？と予想されている。加えて、直近の賃金上昇率も働き手がいないことが原因であり、給付金上乗せが消えて労働市場に労働者が復帰始めると、賃金上昇率は落ち着いて下落するのではないか？ということである。

いずれも失業給付金上乗せが消えるということがトリガーとなる仮説であり、財政でpump upされた経済が元に戻った時どうなるのか要注目である。そう考えると、財政の1つである給付金が消えるタイミングで金融政策の変更まで畳みかける必要はないので、FRBが政策変更の議論を急ぎたくないのはそうかもしれない。

もっともただ単に利回り確保の動きで金利が下がった説もあるし、FRBも1枚岩ではなさそうなのでFOMCで何が出るかはわからない。期待値下がったところでの金融勝負は分は悪くなさそうだが、果たしてどうなるか。

【2021.06.16】インフレ加速しても金利が上がらない理由あれこれ、第2弾。