昨夜の米国株式はエネルギー価格上昇と金利上昇を受け軟調な値動き。日中のコメントにて複数の連銀総裁がテーパリング開始を示唆する中でナスダックを中心に先週の反発から一旦下落。一方、「オールドエコノミー」銘柄中心のダウが小幅な値上がり。

コロナ禍は次々と前代未聞の出来事を起こし、間違いなく金融史に残され今後も多くの研究の対象になるであろう。昨夜はそこにもう一つの歴史的な出来事が加わった。2020年中の個別銘柄取引で倫理的配慮が足りないと批判されていたボストン連銀のローゼングレン総裁と、ダラス連銀のカプラン総裁が同日に引退を表明。ローゼングレン総裁は木曜日に、カプラン総裁は10月8日に辞任する。二人ともタカ派でありこれまで早期テーパリングとバブルへの懸念を主張していた。

2022年に利上げを予想していた9人のタカ派メンバーの二人が消えたことによりしばらくFOMC内のパワーバランスが不透明な状況に。社会問題が深刻化する前に二人が身を引いたことによりパウエル議長の再任へのハードルの一つも消えたであろう。

FOMC内の勢力が不透明感を増しているが、長期金利上昇が続いている。昨夜は30年金利が一時約1.5か月ぶり2％を、10年金利も2カ月ぶりに1.5％を超えた。5年金利は2020年2月以来、0.95％を超え1％の手前まで上昇。

金利上昇を受けてバリュー対グロースのポジションが再び面白くなったと考えている。米国株式グロース（ほぼGAFAM）のバリュエーションが説明のつかないくらい高くなっている中、相対的にバリューへの投資が魅力的に見える。

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上記のチャートをご覧いただければ、今年3月～6月の金利上昇局面においてバリュー（IWD＝ラッセル1000のバリューETF）がグロース（IWF＝ラッセル1000のグロースETF）を約13％アウトパフォームした。今回の金利上昇局面にてバリューの相対的な値上げ幅がまだ限定的であり、これから面白くなりそう。

ただしバリューの絶対的なバリュエーションもやや高いのでバリューロングのみというよりはロングショートのポテンシャルが高いと考えられる。ロングショートは初心者向けの戦略ではないが、多くのグロース銘柄をロングされている方は利確やリスク調整のタイミングを考えてもいいかもしれない。

【2021.09.28】FOMCに前代未聞の出来事。バリューの逆襲、再び。