昨日の米国市場は、株式が取引時間中に下落を拡大していく展開だった。新規失業保険申請件数は増加するなど、経済指標はまちまちであり、金利も一時1.57%まで上がりながら大台の1.5%を割って下がった。典型的なリスクオフの動き。

インフレの懸念、予算審議の膠着、債務上限問題の懸念など、実際にリスクが顕在化するかどうかはさておき、インフレと金利の高騰に端を発して防衛意識が強まっている状況である。結果リスクオフで金利が下がる展開となっており、金利が上がっても下がっても株式は売られるという弱気な市場となった。大きくいえば、テーパリングに向けて株式市場が弱気相場入りしたということかもしれない。こうなるとテーパリング自体はさっさと実施してもらったほうが、不透明感の解消という意味で市場にとってもいいのだろう。

日本株は11月の選挙、及びそれ以降の政策相場を見据えて引き続き強め。ただ岸田さんが総裁となり、選挙で自民党はどの程度議席がとれるのか？具体的な政策が何か？が、いよいよ焦点になるであろう。金融所得課税の税率を引き上げるという報道もあり、やや市場が警戒している。本当にするかどうかはさておき、先に増税の報道が出るのはやや微妙なところ。選挙前に増税をうたって勝てるほどの状況に自民党があるのかも不明だが、一方で増税をするなら選挙前に言っておかないと難しい面もある。金融所得の税率を引き上げるのであればそれ以上の金融資産価格の上昇を促す政策がないと、安倍政権が長期化できた大きな理由の1つである株価の安定上昇が岸田政権では難しくなり、政権の短命化と首相の交代が回転ドア化が懸念されてしまう。

海外からも評価の高かった安倍政権の経済政策の路線を引き継ぐことが市場の前提であるが、これが変わってくると日本株評価も修正が求められため、増税の前に、もっと言えばコロナ政策の前に、評価される経済政策を市場は待っており、その期待に応えられるかが衆院選前のポイントであろう。


### 主要市場の動き

ダウ　33,843.92 (-1.59%)
S&P　4,307.54 (-1.19%)
NASDAQ　14,448.58 (-0.44%)
FTSE　7,086.42 (-0.31%)
米国10年金利　1.4994% (-0.0400)
原油　75.17 (+0.19%)
ビットコイン　4,870,458 (+5.54%)

【2021.10.01】岸田さん、増税報道の前に、経済政策を報道してもらえるように頑張って欲しい。