昨夜の米国株式市場は金曜日のオミクロン恐怖を払拭してナスダックを筆頭に大きく反発。下がっていた原油や長期金利が上昇し、VIXも大幅下落。南アの医療関係者がオミクロン株の重症化リスクに対して前向きな発言をしたことが好感され、金曜日に広まっていた不安が沈静化した。

私は長く相場に関わってきた身として日々の値動きに意味を見出そうとする癖がある。大体の場合は需給やポジショニングだけで決まってしまうのを理解しつつも。金曜日と今日のような値動きを見ると、思わず「相場はオミクロン株の感染力や重症化リスクに対して何かを知っているかも！」と思ってしまう。実態はもちろんより簡単であって相場は何も知らないまま、買いと売りが出会う価格でひたすらと上下しているのみ。要はプロでもボラティリティに左右される。

そして今の相場にボラティリティが豊富にある。

コロナ禍時代の一つの特徴は、極端な、大胆な行動に対する抑制が効かなくなっていること。

いわば決断のボラティリティ。

2年前まで、副作用や変異株の発生を懸念しワクチン開発は10年間かかると言われてきた。今はオミクロン株に対するワクチンを100日以内に出荷できると、ファイザーやモデルナが発表している。いうまでもなく短期間で成し遂げた技術革新は凄まじいが、オミクロン株の分析が始まったばかりのタイミングですでに出荷に向けた準備をしていることに違和感を感じざるを得ない。製薬業界を長年担当してきたが、ここまでのリスク許容度をはじめてみた。

民主主義国家も、国民の自由に対する考え方が過去50年間なかった領域に突入している。海外では厳格なロックダウンが常套の手段となっており、オリンピックを気にしなくなった日本も昨日に外国人の入国を原則禁止すると発表した。医療体制の崩壊を防ぐ目的を理解できるが、決断の速さに驚いた。岸田政権はオリンピック前の「躊躇」を是正しようとしているのだろうか。

金融緩和や財政政策も同じ流れで、これまで考えられなかった規模の対策を躊躇なく実施してきた。

ボラティリティは値動きだけではなく、政策や人々の判断にまで広がっている。

政策決定者の決断にボラティリティが増すと、思わぬ結果をもたらしてしまう。

結論はこれまで言ってきたことと全く同様ではあるが、2022年は政策ミスの年になろう。

### 主要市場の動き

* ダウ　35135.94 (+0.68%)
* S&P　4655.27 (+1.32%)
* NASDAQ　15782.84 (+1.88%)
* FTSE　7109.95 (+0.94%)
* 米国10年金利　1.4987 (+0.0256)
* 原油　69.95 (+2.64%)
* ビットコイン　6598156円 (+1.49%)

【2021.11.30】コロナ禍時代の特徴