昨夜の米国株式市場はリフレーション及びオールドエコノミー銘柄を中心に大きく値上がり。南アから出ているオミクロン株に関連する速報は恐れていたより軽い毒性を示しているのでその安心感からセンチメントが回復中。株式の上昇を受けて金利も久しぶりに大きく上昇。カーブがスティープ化し、20年～30年の長期金利が9bps強上がった。先週暴落していた旅行やレジャー関連銘柄の値上がりが特に堅調だった。

本日は少し話題を変えて、日米の株価の相対的バリュエーションをみてみたいと思います。

ツイッターでもこのコメントでもよく米株の話やネタを紹介するが、14年間のプロ時代において日本株の運用をメインに手掛けていた。非常に馴染みのある市場であって、魅力的な企業及び銘柄も多い。 **そしてその日本株が今、過去10年間を見渡すと相対的に最も割安の水準に放置されている。**

2013～2014年以降をみると米株は多くの資金の受け皿となってきた。GAFAM等の高成長銘柄が世界中の投資家の心をつかみ、構造的な右肩上がりの大相場が築き上げられてきた。なおコロナ後に行われた前代未聞の金融緩和を皮切りに米株が益々評価され、テック中心のナスダック指数がドットコムバブルを超えるバリュエーションで評価された。

**さて、現在はいかがでしょうか。**

![image.png](https://grid-images-production.cryptact.com/a32d8074-0a65-4ed4-8e70-af2aa47b0bab)
上図にて日米の相対的なバリュエーション（＝予想PER＝予想株式収益率）の推移を表している。現在のS&P500の1年先予想PERは21.85倍であり、 **過去10年間の平均17.8倍に対し約22％のプレミアムで取引されている。** いうまでもなく、このバリュエーションを下支えしているのが大きくマイナスに転じる実質金利との差（＝エクイティリスクプレミアム＝ERP）である。ERPは過去にも何回か紹介してきたのでご興味のある方は私のツイッター等を検索してみてください。

一方、日本株（＝TOPIX指数）は現在、14.1倍の予想PERで評価されており、 **実は過去10年間の平均15.1倍に対し約6.7％のディスカウントで取引されている。** TOPIX対S&Pの相対的なPER水準は、コロナショック真っ最中に匹敵する底値に近い領域である。過去10年間を見渡しても、ここまで安く相対的に放置された事例がない。

米株しか見ない方は「それは当然だ！成長の差だ！日本株なんて買うわけない！」と仰る方がそこそこ多いと個人的に感じるが、 **投資の様々な局面においてその状況に見合った市場や商品が必ず存在する。**

今のアメリカは高インフレを背景にこれまでの株価のバリュエーションを裏付けてきた低金利と金融緩和が見直される手前である。金利が上昇すればエクイティリスクプレミアムが縮小し、株式の魅力が剥落する。これまでの反動減で、成長のペースが鈍化する見込みでもある。

他方、日本は未だにインフレが顕在化せず、低金利を大きく見直すきっかけがない。

来年が米株にとって波乱万丈な一年となれば、日本株は意外と安定したセーフヘーブンとなる可能性があるのでは？、と最近、常々思う次第でございます。

### 主要市場の動き

* ダウ　35227.03 (+1.87%)
* S&P　4591.67 (+1.17%)
* NASDAQ　15225.15 (+0.93%)
* FTSE　7232.28 (+1.54%)
* 米国10年金利　1.4342 (+0.0912)
* 原油　69.49 (+4.87%)
* ビットコイン　5713380円 (+4.76%)

【2021.12.07】日本株は捨てたもんじゃないよ！