昨晩の米国市場は急上昇。金利も上昇し、典型的なリスクオン。日によって気分がかわるマーケットが続いている。バイデン大統領が経済封鎖に対して否定したことがキッカケであろう。マーケットはオミクロンそのものよりも、それに起因する政策に懸念していたわけであり、欧州のようにまたしてもロックダウンとならないのであれば、安心して買えるとなったのかと思われる。

まぁこういう相場に毎日真剣に寄り添う必要はないので、繰り返しとなるが少し長い視点でものを見ておけばよさそう。ポーズでも過剰にしがちなコロナ対策はリスクとしてあるが、特に金融政策を先に正常化させるべく動いているのだから、政策もそれに沿った経済重視なものにしないとコロナ対策によってコロナ以上の弊害が出る。ということくらいはわかっているよ、ということが米国では確認できたことが昨日の収穫なのかもしれない。もっとも、同じ信頼を日本におけるのか？と言われると、支持率状況で政策が変わりそうでもあり、金融政策を先だしすることは難しそう。日本ではインフレ自体がまだほとんど起きていないのでその必要性すらないが、黒田さんも選択肢が多くない、難しい展開が続きそうだ。

話変わって、やや世間から興味が失われつつ中国の不動産市況だが、どうも中国政府は11月後半から不動産業界への引き締め一辺倒から緩和の方向に舵を切りだしている模様。これまで三条紅線（スリーレッドライン）と呼ばれる、政府が設定した不動産会社への債務拡大抑止ルールを厳格に当てはめてきたのだが、10月11月と地方財政を揺るがす事態に発展し、恒大のような中国全体のシステミックリスクになり得る火種まで出てきていることに対して、ルールの緩和に急遽舵を切りだしている。

どうもきっかけは直近2か月に行われた中国地方政府による公有地の売却。不動産会社が応札せず、2か月連続で売却が前年比90％減になるなど、例えば上海政府では年間5兆円の土地売却収入があったのに1兆円を割り込むまで激減する可能性が出てきた。これによってより田舎の地方政府では、財政の大部分を土地売却で賄っている事情もあり、2022年末には財政破綻懸念が出ている。

なんのことはない、地方政府が中国最大の不動産会社だったというオチではあるが笑、そうなると中央政府も急に緩和に切り替えて、不動産会社による債券発行の基準も緩めているようだ。11月から本格的にスタートする予定だった不動産税の導入も現在は無期延期とのこと。政府の公共土地売却に不動産会社が応札しないという、ある種の反抗というか避けられない事情から政策が大きく変わりそうでもあり、政策としてはややお粗末な引き締め策であったようにも思うが、いずれにせよ中国発の大不況という事態はやや回避できる可能性がでてきたのはグローバルにもポジティブであろう。

### 主要市場の動き

ダウ　35,492.70 (+1.60%)
S&P　4,649.23 (+1.78%)
NASDAQ　15,341.09 (+2.40%)
FTSE　7297.41 (+1.38%)
米国10年金利　1.4737 (+0.0550)
原油　71.27 (+3.88%)
ビットコイン　5,596,230 (+4.82%)

【2021.12.22】中国最大の不動産会社は地方政府だった？引き締め一辺倒の修正が始まる。