執筆:西村 麻美

株価
(2020/6/4)
時価総額自己資本比率ROEROIC
5,270円6,457億円73.1%10.07%10.5%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
29.4倍N / A2.9倍N / A13.1倍

株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス2020年3月期 決算短信はこちら


 

2020年3月期 決算分析

■2020年3月期の決算 

売上高2,605億円(前年比3.9%減⤵
営業利益327億円(同32.9%増⤴
当期利益213億円(同10.3%増⤴

減収増益の決算だった。複数の新規大型タイトルを前期2019年3月期に投入した反動から売上は微減。

しかし、「ファイナルファンタジーXIV」「ドラゴンクエストX」の拡張パッケージ発売と月額課金会員数の大幅増により営業利益増。営業利益率は3.5ptの改善


 

201年3月期 業績予測

2021年3月期の業績予想は新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、コンテンツ需要の減退、製造、物流への影響、開発の一部を委託する外注企業の業務に支障が生じるリスク、アミューズメント施設休業に伴う売上高減少を予想する事は大変難しく業績予想は未定

総売上の17%、営業利益の6%を占めるアミューズメント事業ではアミューズメント施設の運営とアミューズメント機器の販売を行っており、自粛が解除になっても元の状態で運営する事は難しく、おそらく入場制限などをしないと運営再開は難しいと予想される。 
このような状況下でアミューズメント機器の売上は期待できないと思われる。

© 1997, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA/ROBERTO FERRARI 
LOGO ILLUSTRATION: © 1997 YOSHITAKA AMANO

4月10日に世界同時発売した「ファイナルファンタジーVII リメイク」が発売3日間で全世界出荷・ダウンロード販売を合わせ350万本を突破した。 
うち日本では100万本、ダウンロード販売比率は40~50%。

発売前は名作の大幅なリメークに加え、今回1回では完結しない分作方式、1万円近い強気の価格設定などに批判もあったが、実際販売してみると好意的な反応が多いという事からこれからも好調な売り上げが期待できる。

スクエア・エニックスの今期の業績はFF7リメイクの売上は引き続き好調に推移すると思われる。月額課金会員数の伸びは今期も引き続き成長が予想される。

また、コミック関連書籍、ゲーム関連書籍、マンガアプリ、電子書籍を手掛ける出版事業は194億円(総売上の7%、営業利益の12.6%)まで成長しており、営業利益率が29%と利益率が高く今後も伸びが期待できる。


 

アナリストによる投資スタンス

アミューズメント事業の落ち込みを相殺する以上にFF7、月額課金制、出版事業がカバーする可能性は十分あり、株価下落時には買いを入れて良い銘柄の一つと考える。


 

プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


 

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