執筆:西村 麻美

株価
(2020/6/8)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
110円 67億円 26.8% N / A N / A
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
N / A倍 N / A 1.75倍 N / A N / A

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2020年3月期 決算分析

リミックスポイントは電力小売り事業、中古車売買、仮想通貨交換所「ビットポイント・ジャパン」の運営、旅行関連事業を運営している。 2020年3月期のグループでの営業利益は▲11億9,800万円、当期利益が▲51億7,300万円だった。セグメント別は以下の通り。

■2020年3月期セグメント別利益
電力小売り4億4,900円
中古車売買2,200万円
ビットポイント▲12億3,700万円
旅行関連▲1,300万円

ビットポイントは2018年6月に金融庁より他の5つの仮想通貨交換所とともに資金決済法に基づく業務改善命令を受けた。業務改善命令は利用者の保護やマネーロンダリング対策の実施などを目的とし、月次での同庁への改善状況の報告義務などが課されていた。マネーロンダリング対策のためにシステム構築をしたための費用増によりビットポイント事業のセグメント損益は2019年3月期に▲12億3,700万円になった。

金融庁の業務改善命令は一年続き、解除された直後の2019年7月にビットポイントから約35億円の仮想通貨が流失してしまった。この流失事件と対策費用の計上のため40億4,700万円の特別損失を2020年3月期に計上し、当期利益が▲51億7,300万円と2019年3月期の当期利益▲18億200万円より大幅減益となった。


2021年3月期 業績予測

業績予想の算定は困難として会社側からの2021年3月期の業績予想はなし。


アナリストによる投資スタンス

過去2期の間にリミックスポイントの財務はかなり毀損した。

2018年3月期末時点で自己資本は100億7,000万円だったが、2020年3月期末時点で40億8,500万円と59%も減少した。現預金は前期一期で56%減少し、2019年3月期末時点の現預金64億5,700万円が2020年3月期末時点で27億7,700万円となった。

ビットポイントに業務改善命令が出る以前の2018年3月期の連結営業利益は34億1,100万円だったが、このレベルにはたして戻れるのか難しい状況である。

事業の中で安定しているのが電力小売事業のみで、中古車売買は利益率が低く、旅行関連事業はインバウンドをターゲットにしてきたので今期は更に業績の悪化が懸念される。ビットポイントに関しては手数料は安いものの、取扱い仮想通貨の種類が多いという事もなく、なかなか取引が成立しないとの意見もあるようで、どちらかというと初心者向けというより中上級者向けのようである。


プロフィール

マーケットアナリスト西村麻実 / Market analyst Mami Nishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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