執筆:西村 麻美

株価
(2020/6/8)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
153円 70億円 35.3% N / A N / A
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
N / A N / A 8.97倍 N / A N / A

株式会社 フィスコ 2020年12月期第一四半期(1~3月) 決算短信はこちら


2020年12月期第一四半期 決算分析

■2020年12月期第一四半期
売上高2億3,600円(前年同期比91%減⤵
営業利益▲4,500万円
四半期純利益2,000万円

売上の前年同期比91%減は前年度第三四半期より株式会社ネクスグループ(東証ジャスダック上場 6634)を連結子会社から持分法適用会社に変更した事により業績が大幅に低下。

しかし営業外収益でフィスコ仮想通貨取引所(FCCE)の業績が改善した事などにより持分法における投資利益3,300万円、及び暗号資産売却益3,000万円を計上した事により経常利益は2,000万円、四半期純利益が2,000万円となった。

ネクスグループを連結子会社から持分法適用関連会社に変更した事により営業外損益に業績が反映されるようになり、赤字だったIoT関連事業、インターネット旅行事業、ブランドリテールプラットフォーム事業などがフィスコの足を引っ張る事がなくなった。

フィスコの事業セグメントは
・本業の情報サービス事業
・広告代理業(ブランディング、セールス・プロモーション)
・暗号資産・ブロックチェーン事業、その他(コンサルティング事業など)

の3つに絞られ、全事業セグメントとも現時点では黒字である。

フィスコ仮想通貨取引所(FCCE)に関しては、フィスコの持分法適用会社であり、フィスコの営業外損益に業績が反映される。

本体での暗号資産・ブロックチェーン事業はFCCEとは別に子会社のヴァルカン・クリプト・カレンシー・ファイナンシャル・プロダクツ(2017年に12月にフィスコが取得)で、暗号資産の自己勘定投資を行っており、損益の純額を売上として計上している。


2020年12月期 見通し

会社発表の通期の業績予想は売上が12億4,600万円(情報サービス事業11億3,800万円、広告代理業1億800万円、暗号資産事業の売上はゼロ予想)、営業利益は1億5,600万円である。

情報サービス事業に関しては金融情報サービスの質の高さと実績で大きくぶれる事はないが、広告代理業に関しては新規案件獲得が鈍化しており、オリンピック関連の広告もなくなり、会社側予想数字の未達リスクも高いと推測する。


アナリストによる投資スタンス

時系列で業績を見るとフィスコの業績は2014年12月期に連結売上高84億円、当期利益7億3,000万円をピークとして右肩下がりに業績が悪化している。

過去2年は営業レベルで赤字が続いており、ネクスグループの持分法適用会社化により黒字3事業のみにフィスコ本体に残った印象がある。

しかし広告代理業も独自の営業力がなく、業務提携先の実業之日本社に頼るビジネス・モデルで先行きは暗い印象が否めない。グループ内に多くの会社を抱えており、事業再編の必要性を強く感じる。


プロフィール

マーケットアナリスト西村麻実 / Market analyst Mami Nishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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