株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
26,830円 | 4,728億円 | 59.1% | 24.4% | 13.5% |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
24.1倍 | 20.6倍 | 5.1倍 | 0.6% | 15.9倍 |
*株価は2024年4月12日終値。
【2024年2月期通期決算結果】
ローツェの2024年2月期通期の結果は
売上高 | 932億4,700万円 | 前年同期比▲1.3% |
営業利益 | 241億3,800万円 | 同▲8.6% |
当期純利益 | 195億7,600万円 | 同▲8.5% |
4Q単独の決算結果は
売上高 | 280億8,500万円 | 前年同期比21.4%増 |
営業利益 | 83億7,500万円 | 同▲3.5% |
四半期純利益 | 40億8,900万円 | 同138%増 |
従前の会社計画通り減収減益決算となったが、通期で会社計画を上回る結果となった。4Qに売上は大分回復し、減収減益幅は共に大きくなかった。通期決算の売上高は前期比▲1.3%の932億4,700万円、営業利益は同▲8.6%の241億3,800万円、当期純利益は同▲8.5%の195億7,600万円であった。4Q単独の決算結果は売上高が前年同期比21.4%増の280億8,500万円、営業利益は同▲3.5%の83億7,500万円、四半期純利益は同138%増の40億8,900万円であった。営業利益率は前期比▲2.06ptの25.89%となった。
装置メーカー向け売上では、米国向けが高水準継続、中国向けがQ1を底に急回復した。対ドルの為替レートは、期初133円からQ3末149円まで円安進行後、期末は141円で着地した。
通期売上のセグメント別内訳は以下の通りである。
(単位:百万円) | 売上 | 前年同期比増減 |
半導体関連装置 | 78,946 | ▲2.3% |
分析装置 | 3,112 | N/A(前年同期はゼロ) |
FPD関連装置 | 3,713 | ▲41.4% |
ライフサイエンス関連装置 | 1,220 | +2.9% |
モータ制御機器 | 157 | ▲3.4% |
部品・修理 他 | 6,097 | +1.8% |
合計 | 93,247 | ▲1.3% |
通期売上高は前期比▲1.3%であったが、計画比5.9%増であった。4Q過去最高の四半期売上高を更新した。(過去ピークは2023/2期Q3の223億円であった。) 半導体関連装置は中国、米国などの売上が好調で計画比9.7%増であった。分析装置(イアス社)のセグメントは今期より計上を開始した。初年度31億円、イアス社より国内外の半導体メーカーやウエハメーカー向けに主力製品Expert を納入した。FPD関連装置は自動化の大型投資端境期であったために大幅減であった。ライフサイエンス関連装置の好調は創薬ラボ向け装置がけん引した。
地域別売上は米国が276億円(30%)と一位、中国が263億円(28%)と二位、台湾が139億円(15%)と三位、以下日本が109億円(12%)、韓国が73億円(8%)、欧州が47億円(5%)であった。
4Qの受注高は前年同期比93.9%増、3Q比51.2%増と大幅増の282億500万円、受注残高は前年同期比0.95%増、3Q比8.8%増の563億9,900万円と高水準の受注残高であった。
事業環境と今後の取組
経済安全保障として、各国で半導体確保のための補助金政策や企業誘致による国産化強化の動きがあり、事業環境は強い。米国の対中輸出規制の影響から、中国での積極的な半導体設備投資が継続すると見ている。生成系AIやデータセンター向け等に必要なAI向け半導体やHBMなど新たな設備投資資需要は拡大していく。 高いデバイス密度と機能拡張を実現するため、アドバンスドパッケージ関連の半導体設備投資が加速するとみられる。
半導体関連装置に関しては中国工場にて増産を進め、中国向けEFEMの現地生産比率を上げる予定でいる。組立自動化、製品リードタイム短縮に取組み、新製品の開発を加速する。分析装置は主力装置の受注拡大と自社グループによる営業サポート体制を構築する。 FPD関連装置は前期一括受注分の納入およびベトナム向け自動化装置の新規受注を見込んでいる。ライフサイエンス関連装置は国内製薬企業の自動化需要の拡大を見込んでいる。
【2025年2月期通期予想】
売上高 | 1,207億8,400万円 | 前期比29.5%増 |
営業利益 | 316億1,700億円 | 同31%増 |
当期純利益 | 229億1,600万円 | 同17.1%増 |
EPS | 130.07円 | ― |
期末配当金 | 16円 | ― |
ローツェは2024年9月1日を効力日として1対10の株式分割を予定している。4Qの急激な受注増から売上、利益ともに過去最高を更新する見込みである。ベトナムおよび中国の装置組立工場の増強や量産体制確保などにより需要に対応する予定である。営業利益は半導体関連装置の売上増加による利益拡大などにより前期比31%増を見込んでいる。前期高水準の為替差益を見込まず、経常利益は前期比16%増に留まる計画である。
アナリストによる投資スタンス
会社計画通り減収減益決算であったが、昨日引け後の決算発表を受け、今期の大幅増収計画と株式分割を好感して本日はストップ高になった後に寄り付き前日終値比22.9%上昇し年初来高値を付けた。生成AI、HBMと半導体装置企業の設備投資の拡大基調は継続しており、米中対立により中国の装置メーカーは供給網を国内シフトし、積極的な設備投資を継続しておりローツェは恩恵を受けている企業の一社である。会社計画によると利益は保守的な見通しであるので上方修正があるのではないかと考えている。