米国株投資について気になっている方も多いことでしょう。ある調査によれば、20代の52%、30代の44%が1年前に比べ、外貨建資産への投資を増やしており、20代が今後最も増やしたい金融資産も、米国株だそうです。日本株に比べて高いリターンが期待でき、資産の分散を図れる点が、若年層投資家を中心に人気の理由と考えられています。
(出所: 日経新聞 2023年3月 個人投資家アンケート調査)
そんな米国株に関心はあるものの、投資への一歩を踏み出せないあなたにぴったりの商品があります。それは上場投資信託と呼ばれるETF(Exchange Traded Funds)を使った投資です。
この記事では、米国の代表的な株式指数に連動するETFの概要、予算別で投資可能な銘柄を紹介します。
なお、ETFの詳しい説明については以下の記事をご覧ください。
1. 米国株式の魅力と留意点
ネット証券間の競争の結果、米国株投資はすっかり身近なものになりました。今では日本に居ながらに約5,000の銘柄の米国株を、リアルタイムで売買することが可能になっています。米国株は1株単位での取引が可能なことから、少額取引が可能なことも投資を身近に感じる理由の1つでしょう。
とはいえ、米国株投資へのハードルが依然残っているのも事実です。それは取り扱い銘柄が多すぎて選べなかったり、言語面の制約から投資に必要となる個別銘柄の投資情報の入手が難しかったりすることです。
2. ETFを使った米国株投資の第一歩
日本で取引可能な米国株を投資対象とするETFは国内外に数百本単位で存在すると思われますが、デビュー戦におススメなのは、米国の代表的な株式指数に連動するETFです。なお、ETFは2024年1月に始まる新NISAの「成長投資枠」の対象で、非課税投資が可能です。
「NYダウ」や「S&P500」という名称を、ニュースや新聞で目にしたことがある方は多いことでしょう。
「NYダウ」は、正式名を「ダウジョーンズ工業株価平均指数」(DJIA)といい、マクドナルド、ボーイング、ナイキなど、米国に上場する超優良企業30社の株価の平均値を示す指数です。
「S&P500」は、上場米国企業の上位500社で構成される指数であり、世界の機関投資家が最も参考とする指数とも言われています。「NYダウ」の構成銘柄はもちろん、後述する「NASDAQ100」構成企業のほとんども対象になっています(米国企業を対象とするため、オランダの半導体関連企業: ASML社などの海外企業はS&P500に含まれません)。
この2つの株式指数以外で若年層投資家に人気があるのは、GAFAMやTesla、NVIDIAなど、NASDAQに上場する上位100社のビッグテック企業を対象とする「NASDAQ100」指数でしょう。
これらのETFへの投資は、米国市場を代表する30社~500社の巨大企業に対する分散投資となることから、値動きが安定的であり、情報を得やすい点も投資を手掛けやすい理由です。
米国株には値幅制限がないため、何らかの材料が発生した場合、個別株の値幅が非常に大きくなるケースがありますが、インデックス投資では分散効果が働くため、値動きはマイルドになりがちです。
3. 予算別投資戦略
それでは米国の3つの株式指数に連動する主なETFを紹介します。数字の証券コードが入ったETFは東証に上場する商品であり、日本の9:00~15:00に取引が可能です。アルファベットのTickerが入ったETFは、海外ETFなのでNY市場の取引時間中に取引可能な商品です。
東証上場のETFは円建で取引されるため、ドルの購入(ドル転)は不要ですが、原資産の円換算価格に連動するため、為替リスクは発生します。為替ヘッジ付のETFもありますが、ヘッジコストが高くつきがちなため、ここにはリストアップしておりません。
・10,000円以下で投資可能な主な米国株ETF
証券コード | 商品名 | 売買単位 | 信託報酬 | 6/30終値 | 最低投資金額 |
2241 | MAXIS NYダウ上場投信 | 10 | 0.2% | 549.7 | 5,497 |
1655 | iシェアーズ S&P500米国株 | 10 | 0.07% | 459.8 | 4,598 |
※売買単位:口数
※信託報酬:税抜、年率
※価格は円
・25,000円以下で投資可能な主な米国株ETF
証券コード | 商品名 | 売買単位 | 信託報酬 | 6/30終値 | 最低投資金額 |
2235 | 上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均) | 10 | 0.25% | 2,154 | 21,540 |
2558 | MAXIS 米国株式(S&P500) | 1 | 0.07% | 18,285 | 18,285 |
1545 | NEXT FUNDS NASDAQ100 | 1 | 0.2% | 22,045 | 22,045 |
※売買単位:口数
※信託報酬:税抜、年率
※価格は円
・100,000円以下で投資可能な主な米国株ETF
Ticker | 商品名 | 売買単位 | 信託報酬
| 6/30終値 | 最低投資金額 |
DIA | SPDR Dow Jones Industrial Average ETF | 1 | 0.16% | $343.85 | 49,514 |
QQQ | Invesco QQQ Trust | 1 | 0.2% | $369.42 | 53,196 |
SPY | SPDR S&P500ETF Trust | 1 | 0.2% | $443.28 | 63,832 |
※売買単位:口数
※信託報酬:税抜、年率
※終値価格はドル、最低投資金額は円換算(@144)
50,000円程度用意すれば、世界を代表する巨大ETFへの投資が可能となります。上記3つのETFは、各株式インデックスに連動する代表的な商品です。とりわけS&P500に連動するETF、SPYは世界最大のETFであり、その資産規模は4,058億ドル(約58.4兆円)と、トヨタ自動車の時価総額のほぼ1.5倍の巨大ETFです。
4. まとめ
米国株投資に関心を持ちながらも、投資を実行できていない方は多くいらっしゃると思います。もちろん、やらないといけないものではないですが、日本の国力の低下や、企業の成長力の違いなどを考えると、将来の資産形成に向けて視野に入れておきたい投資分野です。
そんな米国株に手軽に投資する手段がETFです。米国優良企業のポートフォリオに対する投資である米国の代表的株式指数に連動するETFへの投資は、米国株投資の第一歩としておススメの方法です。まずは少額から試してみるのがいいでしょう。
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