3月にアップした「AI x ビッグデータ・マーケティング2銘柄」のレポートのマイクロアド(9553)、unerry(5034)が、それぞれ四半期決算を発表したのでフォローアップ・レポートをアップする。明暗を分ける決算結果だったようである。
3月のレポートはこちら
マイクロアド(9553) 2023年9月期2Q決算
売上高 71億9,000万円 (前年同期比17.5%増)
営業利益 7億900万円 (同64.2%増)
四半期純利益 5億900万円 (同111.2%増)
増収増益の好決算であった。売上高は前年同期比17.5%増の71億9,000万円、営業利益は同64.2%増の7億900万円、四半期純利益は同111.2%増の5億900万円であった。利益率の高いデータプロダクトの販売に注力した結果大幅増益となった。営業利益率は同3.9pt上昇と大幅に改善し、9.9%となった。
好決算を受けて通期業績予想を上方修正した。売上高を4.7%、営業利益を21.9%、当期純利益を15.5%上方修正した。会社計画の通期業績予想は以下の通りである。
売上高 135億円 (前期比10.4%増)
営業利益 9億4,000万円 (同49.9%増)
当期純利益 7億円 (同41.1%増)
EPS 78円
マイクロアドの商品はデータプロダクトとコンサルティングの二種類であるが、売上総利益率はデータプロダクトが約40%、コンサルティングが約20%と倍違う。2023年9月期2Q時点で売上ベースでデータプロダクトは47%、コンサルティングは53%、売上総利益ベースでデータプロダクトは58%、コンサルティングは42%であった。
セグメント別概況
【データプロダクト】
2QFY22 | 2QFY23 | 前年同期比 | |
売上高 | 11億4,700万円 | 18億500万円 | 57.4%増 |
売上総利益 | 4億2,300万円 | 6億8,100万円 | 61.1%増 |
【コンサルティング】
2QFY22 | 2QFY23 | 前年同期比 | |
売上高 | 18億4,900万円 | 20億3,200万円 | 9.9%増 |
売上総利益 | 5億3,900万円 | 4億8,400万円 | ▲10.1% |
決算を受けてのコメント
決算結果と通期業績上方修正を受けて16日にはストップ高となった。マイクロアドはデータプロダクトに注力しているが、データプロダクトは「UNIVERSE」とデジタルサイネージの二種類ある。「UNIVERSE」はストック売上で、累計リピート月数が長くなると月額単価も拡大する。また、新商品のローンチでも新規のシステム投資の必要はなく即座に新商品を提供する事が可能である。業種別のビッグデータ及びマーケティングツールを提供できる競合企業は存在せず、また来年に予定されているGoogleのCookie規制も既に対応しており盤石であると見てよいだろう。
unerry(5034)2023年6月期3Q決算結果
売上高(累計)15億9,600万円 (前年同期比43.6%増)
営業利益 6,600万円 (同▲45.2%)
四半期純利益 2,400万円 (同▲79.6%)
増収減益決算だった。売上高は前年同期比43.6%増の15億9,600万円であったが、営業利益は同45.2%減の6,600万円、四半期純利益は同79.6%の2,400万円であった。通期の売上計画に対して3Qで82%達成し、順調な業績進捗状況であった。リカーリング顧客数は前年度末比23社増と順調に増加した。しかし、インフラ費用や人材採用等のコスト増により営業利益は前年同期比4,500万円減少した。これを受けて通期の業績予想を下方修正した。売上高は5.6%上方修正し、営業利益は90.5%、当期純利益は98.8%と大幅に下方修正した。
修正後の会社計画の通期業績予想は以下の通りである。
売上高 20億6,300万円 (前期比42.7%増)
営業利益 2,000万円 (同▲73%)
当期純利益 100万円 (同▲99%)
費用増加の内訳は以下の通りである。
データ量増加によるインフラ費用増加 ▲6,300万円
将来収益のための戦略価格受注 ▲1億3,100万円
積極的人材採用 ▲2,100万円
ショッパーみえーるの追加開発 ▲2,300万円
北米進出準備 ▲2,700万円
決算を受けてのコメント
AI銘柄のなかでも期待が高く3Q決算前に予想PERが120倍以上と過熱していたために通期業績が前期比99%減にがっかりして大幅に売られた。15日は売り注文一色で取引が成立せず、以降は連日大幅下落し、4月下旬につけた年初来高値の4,935円から46%下落した。暫くは株価調整局面が続くと思われる。unerryは会社設立をしてから8年、IPOから1年弱のスタートアップ企業である。通常のスタートアップ企業ならまだ赤字を計上しているところだろう。通常の企業なら利益レベルがもっと上がってから海外進出となるところをまだ利益レベルが低い時から海外進出となったのでコスト増から大幅減益になってしまった。ファンダメンタル悪化からの大幅減益ではない。リカーリング顧客数は順調に増加している。また、将来のクロスセル売上を考えて戦略的に価格を下げ、一顧客企業当たりのLTVを上げるという事は合理的な判断である。unerryのBeacon Bank®︎のビーコンの相互活用技術は日本、中国、米国で特許を取得しており、ポテンシャルの大きいAI x ビッグデータ企業である事は変わらず短期的な株価パフォーマンスを気にしない投資家にとっては株価低迷局面は買い場とも言えるだろう。