執筆:西村 麻美

Food & Life Companiesの株価情報

 

【銘柄注目ポイント!】

前期に買収した京樽が黒字化するまでは増益は厳しいか!?

株価
(2022/5/27)
時価総額自己資本比率ROEROIC
2,750円3,180億円19.6%20.1%5.3%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
24.2倍36.6倍4.8倍0.82%13.0倍

 

2022年9月期第2四半期決算

Food & Life Companiesの2022年9月期第2四半期決算の結果は

売上収益1,403億円(前年同期比17.8%増
営業利益96億円(同27.0%減
四半期純利益56億円(同28.5%減

増収減益の決算だった。
新規出店効果及び京樽の連結子会社化により上半期実績としては、過去最高の売上収益となった。
国内スシロー事業では前期上半期にあった一過性の有利買付効果がなくなったこと、減損損失の計上があった事で減益となった。
前期に買収した京樽事業はコロナによる厳しい状況は続いたが、時短協力金の計上等でEBITDAではプラスとなった。

 

FY22上半期の売上は前年同期比で96.2%であった。
前期は上半期が101.7%、下半期が107.2%と営業時間の規制があったにも関わらず健闘したが、今期は想定よりも消費マインドの回復が鈍かった。
しかし、テイクアウト&デリバリーの数字はコロナ前と比較して205.9%であった。

 

国内の店舗数は郊外型店舗が580店、都市型店舗が36店、テイクアウト専門店が24店、スシローブランドが640店、杉玉ブランドが53店、京樽ブランド(テイクアウト専門)が156店舗、回転寿司みさき(海鮮三崎港)・三崎ブランドが102店舗であった。

 

杉玉(寿司居酒屋)事業に関してはアフターコロナのシェア拡大を目指して、上半期に直営店8店、FC6店(ダイヤモンドダイニング等)の、合計14店舗と出店を継続した。
業績は規制解除後の3月下旬から回復基調が顕著となり、3月前年同月比で93.1%、コロナ前比も73.2%まで回復した。

 

海外スシロー事業は韓国、香港、中国大陸、シンガポールは、厳しい営業規制を強いられるも、売上構成比は10.9%(FY21上半期6.6%)と成長し、営業利益(ロイヤリティ支払前)で黒字を達成した。
各国の状況であるが、韓国では原価高騰に苦しんだが、仕入れ努力と価格変更により改善した。店舗数9店。
香港では18時まで、1卓2名という厳格な規制下でも黒字を達成した。店舗数13店。
タイでは11月規制解除後、12月に1号店が過去最高売上を更新し、その後も規制はなく堅調に推移した。店舗数7店。
台湾ではCMとSNSのキャンペーンにより認知向上がすすみ、月商ベースで着実に競合を引き離している。店舗数28店。
シンガポールはオミクロン株の再拡大により規制緩和が延期され、業績は厳しい状況が続いている。店舗数10店。
中国(広州/深圳/成都) では、厳しいコロナ管理体制下でも広州は4号店までオープンした。予算を超える売上で順調に推移した。店舗数4店。

 

2022年6月期予想

期初予想より厳しい上半期の決算結果を受けて通期の業績予想を下方修正した。

売上収益2,950億円(前期比22.5%増
営業利益160億円(同30.1%減
当期純利益87億円(同33.7%減
EPS75.18円
一株当たり配当金22.5円

 

アナリストによる投資スタンス

上半期の決算は想定以上の減益幅であったが、下半期は更に減益幅が拡大すると会社側は想定しているようである。
下半期は営業規制は国内ではないと思われるので業績の回復を期待したい。
しかし、買収した京樽が黒字化するまでは増益を達成するのは難しいと思われる。
通期減益予想であるが、現在の株価で予想PERが36.6倍、PBRが4.8倍、EV/EBITDAが13.0倍とやや割高に感じる。

 

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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