【IIJの決算ポイント】法人の高いD/X需要から最高益更新予定
株価 (2022/11/7) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,230円* | 4,029億円 | 46.9% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
25.69倍 | 23.02倍 | 3.82倍 | 1.31% | 6.7倍 |
*注:IIJは2022年10月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行った。
IIJ:2023年3月期2Q決算結果
売上高(累計) | 1,219億円 | 前年同期比11.8%増 |
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営業利益 | 112億円 | 同20.1%増 |
四半期純利益 | 86億円 | 同25.3%増 |
2Q単体の決算結果は
売上高 | 638億円 | 前年同期比13.7%増 |
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営業利益 | 61億円 | 同24.3%増 |
四半期純利益 | 42億円 | 同25.5%増 |
法人の旺盛なDX需要に支えられ好調だった1Qに続き2Qも好調な決算結果であった。営業利益率は前年同期比0.63pt上昇の9.16%となった。NWサービスのインテグレーション需要の活況、SI構築、SI運用保守ともにトップラインの高い成長により上期見通しを超過した。
金融収益は、ファンドの金融資産評価益が12億円、為替差益7.6億円等により計約20億円であった。持分法による投資損益は、ディーカレットに関する損失1.8億円等を含み7,800万円の損失であった。
【NWサービスの上半期売上内訳】
法人向けインターネット接続サービス | 192.7億円 | 前年同期比2.4%増 |
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アウトソーシング(セキュリティ、ネットワークサーバー等) | 224.7億円 | 同15.0%増 |
WAN (広域網ネットワークサービス) | 135.2億円 | 同4.9%増 |
4Q21に受注した大型案件(期間総額100億円超、7割がNWサービスに売上計上)が5件(契約期間3~4年)、1Qに受注した中型案件(期間総額約35億円)が9件(契約期間3~5年)が9件あるが、これら案件の下期の売上計上見込みが3Qが5億円、4Qが7億円の予定である。
2Qに新規獲得した案件は官公庁クラウド情報基盤刷新、大口法人情報NWシステム情報基盤刷新、SASE(セキュリティ機能とネットワーク機能を1つのクラウドサービスに統合させる新たなセキュリティフレームワーク)複数年契約等の大口NW案件を獲得した。
【モバイル事業の上半期売上内訳】
法人モバイル売上 | 53.0億円 | 前年同期比9.6%増 |
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MVNE売上 | 48.4億円 | 同▲11.2% |
IIJmio(個人モバイル)売上 | 108.7億円 | 同1.2%増 |
個人モバイルの獲得ペースが向上した。前四半期比+5.3万回線。MVNE(IIJモバイルMVNOプラットフォームサービス 他MVNOへのサービス販売)は新年度接続料改定の転嫁による単価低下の影響があり、低下度合いは想定通りであった。
【SI事業の上半期売上内訳】
SI構築売上(一時売上、機器販売を含む) | 119億円 | 前年同期比26.4%増 |
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SI構築受注額 | 217億円 | 同14.9%増 |
SI構築期末受注残高 | 146億円 | 同▲6.5% |
SI運用保守売上 | 333億円 | 同15.9%増 |
SI運用保守受注額 | 393億円 | 同42.3%増 |
SI運用保守期末受注残高 | 664億円 | 同▲0.7% |
NW構築が活況で売上・受注ともに上振れして推移した。FY21に買収、連結子会社化したSIerのPTC社(シンガポール)の上期の売上は 56.8億円、営業利益は 2.3億円であった。
2Qの新規受注案件は キャンパスネットワーク更改案件が複数、インターネットゲートウェイ強化案件が複数、 Office365導入等のオフィスIT案件が複数であった。
なお、2Qのクラウドサービス売上は2Qに比べて4.9億円減少した。これは特定ゲーム顧客の利用規模変動に伴いプライベートクラウド売上が減少した事による。
2023年3月期通期計画
通期の業績の計画は従前予想を維持した。10月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行った。
売上高 | 2,500億円 | 前期比10.5%増 |
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営業利益 | 272億円 | 同15.5%増 |
当期利益 | 175億円 | 同11.7%増 |
EPS | 96.89円 | |
一株当たり配当金 | 58.51円 |
今期も最高益更新を予定している。複数年にわたるNWサービス、SIの複合案件が増加している。IIJの売上の約83%はストック売上でありスケールメリットで構造的にマージンが拡大する為に最高益を更新する予定である。
アナリストによる投資判断
今期も最高益更新はほぼ確実に達成するだろう。NWサービス、SIの複合案件が増加するなか、多様なNWサービス群で競争優位性を発揮している。法人の高いD/X需要から業績は堅調に推移するとみている。株価バリュエーションは予想PERが23.02倍、3.82倍、EV/EBITDAが6.7倍と割高感は全くない。
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執筆者プロフィール
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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