IIJの株価情報

株価*

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

2,840.5円

5,022億円

45.9%

16.3%

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

25.4倍 

24倍

4倍

1.21%

 8.2倍

*株価は2024/5/10の前場の終値。

IIJ:2024年3月期通期決算結果

売上高2,761億円前期比9.2%増
営業利益290億円同6.6%増
親会社の所有者に帰属する当期純利益198億円同5.2%増

4Q単独の決算結果は

売上高749.8億円前年同期比11.3%増
営業利益87億円同3.8%増
親会社の所有者に帰属する四半期純利益68.5億円同14.5%増

IIJの2024年3月期通期決算は四期連続最高益を更新の好決算であった。企業NWの進化・更改に対応しサービスインテグレーション提供領域へ事業拡張した一年であった。SI構築・NWサービス売上の一層伸長に向けターニングポイントの年度であった。売上高は前期比9.2%増の2,761億円、営業利益は同6.6%増の290億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は同5.2%増の198億円であった。通期の営業利益率は同▲0.3ptの10.5%であった。

 

【NWサービスの売上内訳】

法人向けインターネット接続サービス447.3億円前期比11.1%増
アウトソーシング(セキュリティ、ネットワークサーバー等)529.7億円同13.2%増
WAN (広域網ネットワークサービス)288.7億円同2.7%増

各サービスの売上が継続的に伸長している:IP+7.8%YoY、 アウトソーシング +13.2%YoY(うちセキュリティ+15.7%YoY)、WAN +2.7%YoY   IP・アウトソーシング伸長でスケールメリット享受し粗利は継続拡大している。サービスインテグレーションモデル(自社開発のNWサービス群等を組み込んだSI、社内大規模NWの更改等で商取引機会・提案領域が大幅拡大)で複数年確定の大型案件を順次確定した。千葉市向け教育情報NW更改(123億円)、大手金融機関向けNW更改(40億円)、事業会社向けサービス基盤構築・運用(40億円)、公共機関向け業務システム統合基盤構築(30億円)等。

 

【モバイル事業の売上内訳】

法人モバイル売上136.3億円前期比21.9%増
MVNE売上105.5億円同4.7%増
IIJmio(個人モバイル)売上219.6億円同4.5%増

法人モバイル売上の伸びが引き続き大きかった。NWカメラ、GPSデバイス、車載機器接続等の既存取引の拡張、新規獲得で大幅に伸長した。MVNEの2024年3月時点の回線数は118.6万(+3.8万QoQ)、顧客数は192社(+11社YoY)、ケーブルテレビ事業者(94社)、大手小売等。2020年12月よりMVNOシェア一位を継続、三年連続MVNO顧客満足度調査一位。

 

【SI事業の売上内訳】

SI構築売上(一時売上、機器販売を含む)499億円前年同期比16.2%増
SI構築受注額598.6億円同35.2%増
SI構築期末受注残高 237.6億円同72.2%増
SI運用保守売上719億円同5.8%増
SI運用保守受注額881億円同15%増
SI運用保守期末受注残高851億円同23.5%増

案件大型化、複雑化でリードタイム長期化との構造変化により2024年3月期に計上した売上は低水準であったが、200億円は2025年3月期に計上する。業界満遍なく需要動向は引き続き好調である。4Qに獲得した案件は大手製造業向け大型NW更改案件(30億円、5年)、大規模ITインフラ導入案件(10億円、SI案件、4Qに受注計上)等。国際事業の状況は売上が前期比+38.1%YoYの352.9億円、営業利益は同+33.6%YoYの27.3億円であった。海外DC案件(28億円)は完遂、後続案件(32億円、複数年)も遂行中。PTC(買収したシンガポールのSIer)が好調であり、NVIDIAよりASEANで唯一のTop Value Partner of the yearを受賞。AI基盤構築案件の受注、PTCマレーシアも買収でASEANでの事業拡大。

IIJ:2025年3月期通期計画

売上高3,120~3,150億円前期比13~14.1%増
営業利益 300~330億円同3.3~13.7%増
当期利益199~219億円同0.3~10.4%増
EPS112.55~123.86円
一株当たり配当金34.36~37.16円

今期も最高益更新を予定している。尚、業績予想に幅を持たせているのはIIJではVMware製品の仮想化ソフトウェアを多く利用しているが、2023年11月にBroadcom社によるVMware社の買収に伴い2024年に価格改定があった。この価格改定によりライセンス費用の大幅な増加が見込まれている。提供価格改定による売上転嫁の度合いが想定し難く業績予想に幅を持たせている。

アナリストによる投資判断

正午に決算発表の後後場でIIJの株価は13%以上急落し、年初来安値を更新した。株価急落の理由は上述したようにVMware社の仮想化ソフトウェアの価格改定により今期のライセンス費用の大幅な増加が見込まれる事によると推測される。しかし、多少時期のずれがあったとしてもライセンス費用の増加分を売上に転嫁するものと思われ、逆に急落場面は買い場であると考えている。IIJのファンダメンタルは好調で売上の82%はストック売上であり、スケールメリットで構造的にマージンが拡大しており、ASEAN域の売上もPTCの買収により全売上の13%近くまで上昇しており、これからも拡大が期待される。