【銘柄注目ポイント!】
中小事業者向けのECプラットフォームでNo.1であるが株価は年初来安値を更新中。
株価 (2022/6/3) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
356円 | 398億円 | 51.6% | N/A | N/A |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
N/A* | N/A | N/A | N/A | N/A |
*2021年12月期決算は赤字であったのでPERはN/A。
2022年12月期第1四半期決算
BASEの2022年12月期第1四半期決算の結果は
売上高 | 25億1,200万円 | (前年同期比12.3%増) |
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営業利益 | ▲2億7,200万円 | (赤字転落、前年同期は1,300万円) |
当期純損益 | ▲11億9,400万円 | (赤字転落、同4,000万円) |
連結売上高は、BASE事業及びPAY事業のGMVがともに増加し、前年同四半期比+12.3%の25億1,200万円となった。
売上総利益はBASE事業及びPAY事業のGMV増加により、前年同四半期比で5.0%増加の13億8,200万円となった。
売上総利益率は、BASE事業の売上高構成比の低下により、前四半期比で1.0pt低下の55%となった。
人件費の増加により販管費が前年同四半期比で増加し、営業損益は赤字となったが、前四半期比ではプロモーション費の減少に伴う販管費の減少により赤字幅が縮小した。
1QのBASE事業、PAY事業を合わせたGMV(決済額)は前年同四半期比23.3%増の450億円となった。
しかし、BASE事業はオフライン消費の回復による反動の影響がショップ及び購入者双方に表れ、前年同四半期比+9.6%に留まった。
PAY事業は、既存加盟店の継続的な成長に加え、新規加盟店の増加により、同+55.5%と引き続き大きく増加した。
セグメント別の内訳は以下の通りである。
BASE事業
売上高 | 20億5,200万円 | (前年同期比5.5%増) |
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セグメント損益 | ▲1億7,800万円 | (前年同期は1億200万円) |
GMV | 282億円(注文ベース、前年同期比9.6%増)、266億円(決済ベース、同10.9%増) |
PAY事業
売上高 | 4億3,900万円 | (前年同期比53.8%増) |
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セグメント損益 | ▲400万円 | (前年同期▲1,800万円) |
GMV | 168億円 | (前年同期比55.5%増) |
その他事業(YELL BANK等)
売上高 | 2,000万円 | (前年同期比183.2%増) |
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セグメント損益 | ▲1,300万円 | (前年同期▲1,500万円) |
BASE事業では、前四半期のクーポン等の販促支援で一時的に増加したGMVの減少及び季節性等の影響により、前四半期比では減少した。
マクロミルの調べによると、2022年1月には累計ショップ開設数が170万ショップを突破し、5年連続でショップ開設実績1位となった。
1Qの月間GMVは前年同四半期比9.4%増の93億円となった。
月間売店数は前年同四半期比+6千ショップにとどまり、 1ショップあたり月間平均GMVは前年同四半期微減の15万4千円となった。
テイクレートは前四半期比横ばいの7.7%であった。
売上総利益はGMVの増加により5.5%増の20億5,200万円、売上総利益率は一部の決済手段の原価率の削減により前四半期比0.4pt上昇の64.5%となった。
BASE事業の1Qの事業トピックスは、GMV及び売上総利益を中期的に最大化することを目的に、サービス利用料を固定費で貰う一方で、決済手数料を従来の料金プランよりも引き下げた(無料プランの決済手数料は3.6%+40円、有料プランの決済手数料は2.9%)月額有料プラン(月額税込み5,980円)を4月18日より提供を開始した。
またプロダクト開発ではショップの売上向上のアシストを目的に、カートに商品が残っていることを購入者にリマインドするメールを自動送信できる「買い忘れ防止メール」を標準機能として提供した。
また、より安心でスムーズな複数人でのショップ運営を実現することを目的に、アクセス範囲を指定した上で複数のアカウントを発行できる拡張機能「スタッフ権限管理 App」を提供した。
PAY事業のGMVは、既存加盟店の継続的な成長に加え、新規加盟店の増加により、前年同四半期比+55.5%と引き続き大きく増加した。
GMVの増加により、売上高は前年同四半期比+53.8%、売上総利益は同+52.2%と引き続き大きく増加した。
2022年12月期予想
2022年12月期予想に関しては合理的な業績予想の算定が困難であるために発表していない。
アナリストによる投資スタンス
5月12日の決算発表から数日後の17日にBASEは動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を連携する機能の提供を始めた。
利用企業がBASEでECサイトをつくると、販売商品の画像を基に簡易的な動画広告が自動で作成される。
そのうえで1日あたり最低2000円の料金を支払えば、TikTokの広告枠に掲載できる仕組みである。
TickTokとの連携広告はポジティブであるとマーケットでは受け止められて18日に株価は急騰し、前日終値比15%上昇した。
しかし、メルカリもそうだが、先行投資の為に営業赤字の銘柄は売られる傾向にあり、BASEの一年間の騰落率は▲79.01%、年初来騰落率は▲42.53%と厳しい状況である。
フランスのECサイト構築支援のミラクルの日本参入が報じられたが、BASEの業績を脅かす存在になるかは未知数であり、現時点で心配する必要はないと思われる。
BASEは中小事業者向けのECのロングテール市場で圧倒的な強さで拡大しており長期的な成長ストーリーは不変ではあるものの株価的には黒転しない限り上昇するのは難しそうである。
現在の株価でPBRは2.69倍である。
投資アイデア
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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