執筆:西村 麻美

ロート製薬の株価情報


【銘柄注目ポイント!】

ヘルスケア企業として中長期的にアジアで利益成長が期待される企業。

株価
(2022/5/26)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
3,455円 3,941億円 64.8% 12.6% 11.3%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
18.8倍 20.2倍 2.2倍 1.07% 9.6倍


2022年3月期通期決算

ロート製薬の2022年3月期通期の決算結果は

売上高1,996億円(前期比15.6%増
営業利益293億円(同27.8%増
当期利益210億円(同25.7%増
EPS184.26円
一株当たり配当金36円

売上、各利益段階で過去最高を更新した決算だった。
営業利益率は前期比2.0pt上昇し14.7%だった。
日本国内のみならず海外も増収増益だった。
海外は香港、中国、インドネシアが好調だった。
インバウンド需要は外国人の入国を制限していたために低迷したが、越境ECが好調であった。
新規に連結子会社になったボラギノールの天藤製薬、ロートニッテン(旧社名日本点眼薬研究所)、クオリテックファーマも業績好調だった。


日本国内は

売上高1,214億1,700万円(同13.5%増
営業利益195億4,700万円(同33.5%増

全ての商品カテゴリーで増収であった。
前期に落ち込んだ日焼け止め、「肌ラボ」がコロナ前を上回る増収であった。
「メラノCC」「デオコ」「ロートV5粒」など話題の商品が好調を維持した。
天藤製薬、ロートニッテン、クオリテックファーマの子会社も増益に貢献した。
増収効果、原価率の低減(前期比1.4pt低下の41.7%)、また販促費の効率的活用により大幅増益となった。


インバウンド、越境EC売上は前期比6.8億円増の18.8億円だった。
インバウンドは低迷したが、越境EC売上が健闘した。


アジアは

売上高559億8,800万円(同16.5%増
営業利益83億6,500万円(同20.8%増

中国・香港・インドネシアが好調だったが、ロックダウンの影響を受けベトナム、台湾が伸び悩んだ。
リップの新製品のプロモーションに中国で人気のタレントを起用した事により売上が回復した。
目薬、アクネス、日焼け止め等も二桁増と好調であった。


2023年3月期予想

会社発表の2023年3月期の業績予想は

売上高2,180億円(前期比9.2%増
営業利益280億円(同4.6%減
当期利益195億円(同7.2%減
EPS170.95円
一株当たり配当金37円
前提となる為替レート1USD=125円

増収減益を予想している。
コロナの影響はあるが、消費マインドは引き続き回復と見ている。
ウクライナ危機による原材料費や物流費の上昇により原価率は悪化すると想定している。
欧米は製品価格を値上げ予定で増収増益を予想している。
日本国内は値上げをせず増収減益を予想している。
海外に関しては中国のゼロコロナ政策で経済減速懸念が高まっていると考えている。
ベトナムに関しては回復を想定している。


アナリストによる投資スタンス

5月12日の決算発表の翌日は、今期は若干の減益予想をしているが株価は下落せず、その後はやや上昇基調である。
現在の株価で予想PERは20.2倍、PBRは2.2倍、EV/EBITDAは9.6倍と割高感はない。
短期的に中国経済の減速リスクは高まっているが、中長期的にアジア域での成長ストーリーは不変であり、ブランドマネージメントに優れ、安心感のある企業である。


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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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