【決算ポイント】最高益更新の中間決算だったが、下半期はインバウンド売上も上乗せになるか?
株価 (2022/11/10) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
4,560円 | 5,202億円 | 66.1% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
24.71倍 | 24.19倍 | 2.76倍 | 0.88% | 12.2倍 |
ロート製薬:2023年3月期2Q決算
売上高 | 1,103億円 | 前年同期比21.2%増 |
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営業利益 | 163億円 | 同18.3%増 |
四半期純利益 | 132億円 | 同19.7%増 |
2Q単体の決算結果は
売上高 | 581億円 | 前年同期比19.2%増 |
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営業利益 | 79.7億円 | 同2.9%増 |
四半期純利益 | 61.9億円 | 同3.2%増 |
消費マインドの回復により大幅増収となった。円安効果もあり、増収効果と原価率の改善及び販管費の効率的活用の結果、売上・各利益段階で過去最高を更新した。営業利益率は▲0.4ptの14.7%だった。
地域別概況
【日本】
売上高 | 1,214億1,700万円 | 前年同期比13.5%増 |
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営業利益 | 195億4,700万円 | 同33.5%増 |
日本国内は大幅増益となった。全ての製品カテゴリーで増収であった。前期落ち込んだ日やけ止め、「肌ラボ」がコロナ前を上回る増収となり、「メラノCC」「デオコ」「ロートV5粒」など話題の商品が好調を維持した。新型コロナウイルス抗原迅速検査キットも増収に寄与した。天藤製薬、ロートニッテン、クオリテックファーマ(株)など子会社も貢献した。 増収及び原価率の改善と販管費の効率的活用により大幅増益となった。
【インバウンド&越境EC】
売上 約18.8億円(前期比 6.8億円増)
【アジア】
売上高 | 559億8,800万円 | 前年同期比16.5%増 |
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営業利益 | 83億65百万円 | 同20.8%増 |
中国・香港・インドネシアが好調だった一方ロックダウンの影響を受けベトナム・台湾が減収になった。目薬、アクネス、日焼け止め、リップクリーム等の主力商品が好調に推移した。
【米国】
売上高 | 100億3,700万円 | 前年同期比30.6%増 |
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営業利益 | 2億1,600万円 | 同▲52.8% |
目薬、メンソレータム軟膏が好調だった事に加えて買収したハイドロックス・ラボラトリーズ
(4カ月分)も増収に貢献したが、原料・資材の調達コスト増、ベトナムからの空輸による輸送費増や人材不足による労務費上昇等により減益となった。
【ヨーロッパ】
売上高 | 102億9,700万円 | 前年同期比26.4%増 |
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営業利益 | 5億6,300万円 | 同50.2%増 |
『Deep Heat』を中心とした外用鎮痛薬や『ハダラボ Tokyo』が好調だった。昨年5月にポーランドで発売を始めた『ロート ドライエイド』をUKでもAMAZONで販売し、目薬市場の開拓を始めた。原材料・資材の調達コスト増、運輸インフラの混乱により原価率が悪化したが販管費の効率的活用により大幅増益となった。
ロート製薬:2023年3月期予想
通期業績予想は8月に引き続き小幅ではあるが二度目の上方修正をした。売上高を2.2%増、営業利益を3.3%増、当期純利益を2.3%上方修正した。
売上高 | 2,300億円 | 前年同期比15.2%増 |
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営業利益 | 310億円 | 同6.8%増 |
当期利益 | 220億円 | 同4.1%増 |
EPS | 96.43円* | |
一株当たり配当金 | 30円 | |
前提となる為替レート | 1USD=135円 |
*注:2023年1月に1対2の株式分割を予定している。、株式分割を考慮しない場合の1株当たり当期純利益は192円86銭である。
増収増益を予想している。消費マインドは引き続き回復と見ている。原材料費や物流費の上昇により原価率は悪化すると想定している。欧米は製品価格を値上げ予定で増収増益を予想、日本国内は値上げをせず増収減益を予想、アジアに関しては中国のゼロコロナ政策で経済減速懸念が高まっている一方ベトナムに関しては回復を想定している。
アナリストによる投資判断
国内の売上が想定以上に良かったが、10月以降は個人の外国人観光客も入国できるようになったので下期は更に売上増が見込めるのではないかと考えている。しかし、国内は価格据え置きの予定なので利益は売上ほど増えないのかもしれない。中国経済の減速リスクはあるが、他のアジア地域で相殺され、またヨーロッパは引き続き好調を維持するとみている。買収した天藤製薬、ロートニッテン等も順調に推移している。
アジア域での中長期的な成長ストーリーは不変であり、安心感のある企業である。現在の株価で予想PERが24.19倍、PBRが2.76倍、EV/EBITDAが12.2倍と割高感は全くない。
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執筆者プロフィール
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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