【決算ポイント】国内、海外ともに好調で通期は最高益更新予定。
株価 (2023/2/13) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,248円* | 5,129億円 | 66.5% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
12.2倍 | 21.4倍 | 2.6倍 | 0.89% | 11.7倍 |
*ロート製薬は2023年1月1日付で一対二の株式分割を行った。
ロート製薬:2023年3月期3Q決算
売上高(累計) | 1,763億円 | 前年同期比22.4%増 |
---|---|---|
営業利益 | 286億円 | 同22.5%増 |
四半期純利益 | 216億円 | 同26.5%増 |
3Q単体の決算結果は
売上高 | 660億円 | 前年同期比24.4%増 |
---|---|---|
営業利益 | 123億円 | 同25.9%増 |
四半期純利益 | 84億円 | 同42.9%増 |
国内では経済活動再開により消費マインドが回復したことに加え、ニーズに合った商品提案により増収となった。海外では原材料価格の高騰があったものの消費マインドの回復により大幅増収となった。円安効果もあり、増収効果と原価率の改善及び販管費の効率的活用の結果、売上・各利益段階で過去最高を更新した。営業利益率は3Qまでの累計は16.2%(前年同期比フラット)、3Q単体では18.7%(同+0.2pt)であった。
地域別概況
【日本】
売上高(累計) | 1,008億2,000万円 | 前年同期比14.0%増 |
---|---|---|
営業利益 | 172億4,100万円 | 同14.3%増 |
「メラノCC」や日やけ止めに新機能を付加した「スキンアクア」、「肌ラボ」、「オバジ」、「ロートV5粒」が引き続き好調に推移した。マスク着用習慣により伸び悩んでいたリップクリームも回復傾向に転じ、加えて、新型コロナウイルス抗原迅速検査キットも増収に寄与した。買収したボラギノールの天藤製薬やロートニッテンも増収に貢献した。
【アジア】
売上高(累計) | 517億4,000万円 | 前年同期比30.8%増 |
---|---|---|
営業利益 | 98億6,500万円 | 同37.5%増 |
「50の恵」が人気の香港をはじめ、東南アジアのベトナム、マレーシア、インドネシアなども引き続き好調に推移した。中国では、ゼロコロナ政策の影響があったものの堅調に推移した。製品別では「50の恵」、目薬、東南アジアで人気のフケ抑制シャンプー「セルサン」が好調に推移した。さらに、「肌ラボ」や日やけ止め、リップクリームも増収に寄与した。セグメント利益は、売上が好調であったことにより、前年同期比37.5%増と大幅な増益となった。
【インバウンド&越境EC売上】
約18.1億円(前期比2.3億円増)
【米国】
売上高(累計) | 124億5,900万円 | 前年同期比85.4%増 |
---|---|---|
営業利益 | 3億2,700万円 | 同155.2%増 |
2021年10月に子会社化した医療用消毒薬等を製造・販売するハイドロックス・ラボラトリーズ社が増収に大きく貢献した。セグメント利益は、原材料の調達コストや人手不足による労務費上昇により原価率が悪化したが販管費の効率的活用により前年同期比大幅に改善した。
【ヨーロッパ】
売上高(累計) | 94億3,800万円 | 前年同期比20.7%増 |
---|---|---|
営業利益 | 7億5,500万円 | 同33.8%増 |
「Deep Relief」を中心とした外用消炎鎮痛薬が好調で増収に貢献した。「Hadalabo Tokyo」も英国及び中東主要国で好調に推移した。2021年5月にCEマークを取得し発売したドライアイ点眼剤である「ロートドライエイド」により、目薬市場の開拓を引き続き進めている。エネルギーコストや原材料の調達コスト増加が上昇し原価率が悪化したものの、販売管理費の効率的活用により大幅増益を確保した。
ロート製薬:2023年3月期予想
業績好調により三度目の上方修正をした。11月時点の通期予想より売上高を2.6%増、営業利益を6.5%増、当期純利益を9.1%上方修正した。
売上高 | 2,360億円 | 前年同期比18.2%増 |
---|---|---|
営業利益 | 330億円 | 同13.7%増 |
当期利益 | 240億円 | 同13.6%増 |
EPS | 105.2円 | |
一株当たり配当金 | 32円 | |
前提となる為替レート | 1USD=135円 |
また、期末配当金を12円、年間配当金を32円に増配した。
大幅増収で過去最高益更新の予定である。全地域で増収増益の計画である。日本は11月時点では増収減益の予想であった。原材料やエネルギーの高騰などにより原価率の悪化が進行するものの主要ブランドが好調である事から日本も増収増益予定と変更した。インバウンドも増加予定である。また、花粉飛散も例年より増加予測から花粉症対策の目薬、内服薬、鼻炎スプレー等の売上に期待している。
アナリストによる投資判断
国内では商品価格を据え置きにしているが、主要ブランドの売上が好調な事から増収増益を予定している。海外は米国で買収したハイドロックス・ラボラトリーズ社が増収増益に大きく貢献、アジアは引き続き好調、ヨーロッパも外用消炎鎮痛薬と肌ラボが増収増益に貢献している。
アジア域での中長期的な成長ストーリーは不変であり、安心感のある企業である。現在の株価で予想PERが21.4倍、PBRが2.6倍、EV/EBITDAが11.7倍と割高感は全くない。