【銘柄注目ポイント!】
超小型電源ICの需要がEV、IoT、5Gで大きく拡大。
株価 (2022/5/26) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
2,714円 | 297億円 | 65.4% | 14.9% | 9.2% |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
9.4倍 | 8.5倍 | 1.3倍 | 2.07% | 3.6倍 |
2022年3月期通期決算
トレックス・セミコンダクターの2022年3月期通期決算の結果は
売上高 | 308億6,400万円 | (前期比30.2%増) |
---|---|---|
営業利益 | 38億9,700万円 | (同222.3%増) |
当期純利益 | 31億5,700万円 | (同238.2%増) |
EPS | 288.60円 | ー |
一株当たり配当金 | 44円 | ー |
最高益を更新した決算だった。
営業利益率は前期比約2.5倍の12.6%であった。
トレックス、フェニテックともに上場来最高益を達成した。
トレックスは売上高1.5倍増、営業利益は3.5倍の増益を達成した。
ファウンドリー子会社のフェニテックは、受注増加により工場の稼働率が上昇し売上高1.2倍増、営業利益は3倍の増益となった。
期中平均為替レートは1USD=112.9円、海外売上高比率は前期比2.9pt低下の67.6%だった。
営業外収益で為替差益1.8億円を計上した。
トレックスとフェニテックの内訳は
トレックス
売上高 | 141億2,400万円 | (前期比47%増) |
---|---|---|
営業利益 | 17億8,900万円 | (同3.5倍増) |
フェニテック
売上高 | 167億4,000万円 | (同18.7%増) |
---|---|---|
営業利益 | 21億800万円 | (同3倍増) |
トレックスのアプリケーション別売上高は、産業機器が前期比39.4%増の48億8,500万円、車載機器は同41.4%増の17億5,300万円、医療機器は同1.8%減の2億2,200万円、ウェアラブル機器は同13.5%増の4億1,100万円、その他機器は同60.4%増の68億5,300万円だった。
トレックスの地域別売上高は、日本が前期比43.5%増の55億6,600万円、アジアが同47%増の53億700万円、欧州が同51.2%増の17億9,800万円、北米が同56.7%増の14億5,300万円だった。
フェニテックのアプリケーション別売上高は産業機器が前期比7.2%増の29億8,200万円、車載機器が同32.5%増の44億8,800万円、医療機器が同3.0%増の1億7,000万円、その他機器が同24.9%増の114億4,200万円だった。
フェニテックの地域別売上高は、日本が前期比51.3%増の83億4,800万円、アジアが同16.8%増の47億4,600万円、欧州が同5.7%増の9億4,000万円、北米が同0.5%増の50億4,800万円だった。
2023年3月期予想
会社発表の2023年3月期の業績予想は
売上高 | 330億円 | (前期比6.9%増) |
---|---|---|
営業利益 | 50億円 | (同28.3%増) |
当期利益 | 35億円 | (同10.9%増) |
EPS | 319.93円 | ー |
一株当たり配当金 | 56円 | ー |
減価償却 | 19億400万円 | (同45.2%増) |
設備投資 | 36億4,600万円 | (同90.3%増) |
今期も最高益更新を予定している。
工場の稼働状況が逼迫する中、生産能力の増強に努めトレックス、フェニテック両社とも増収増益を予想している。
設備投資は前期比倍近い36億円の予定であるが、そのうちの約30億円は、フェニテックの岡山工場、鹿児島工場の増産投資に向ける設備投資である。
中期経営計画として23年度(2024年3月)の連結売上高300億円、営業利益30億円という数値目標を昨年公表していたが既に達成した。
また、25年度に連結売上高350億円、営業利益40億円という目標もあるが、これに関しても前倒しで達成する確率が高いであろう。
トレックス、フェニテックは全くビジネス・モデルの違う二社である。
トレックスはファブレス、ブランドとして経営しており、フェニテックはブランドを持たず生産工場として経営しているが、二社の安定成長実現するためにフェニテックの鹿児島工場をトレックスの基幹Fabへ成長させていく考えを公表した。
両社にとってwin-winの選択であるだろう。
アナリストによる投資スタンス
5月13日の決算発表後、週末をはさみ16日の月曜日にトレックスの株価は大きく上昇し、前週終値比
17%近く上がった。
今期も最高益更新予定、また増産投資をする事が評価された。
現在の株価バリュエーションは予想PERが8.5倍、PBRが1.3倍、EV/EBITDAが3.6倍と割安である。
売上規模は小さいが、トレックスの超低消費電流IC、フェニテックの競争力のあるパワー半導体はEV、自動運転、IoT等からの需要は大きく成長ポテンシャルは大きい。
また、次世代パワー半導体の酸化ガリウムデバイスの量産化に成功したノベルクリスタルテクノロジーと協業し製品化に取り組んでいるが、中長期的な成長の部分は株価に織り込まれているとは言えないだろう。
投資アイデア
他の投資家が何に注目しているか、アイデアブックでご確認いただけます。
プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
当社は、本記事の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本記事の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本記事の内容に関する一切の権利は当社に帰属し、当社の事前の書面による了承なしに転用・複製・配布することはできません。