【トレックス・セミコンダクターの決算ポイント】
超小型電源IC、パワー半導体の需要がEV、IoT、5G、自動運転等で大きく拡大。
株価 (2022/9/1) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,868円 | 314億円 | 66.0% | 13.1% | 8.5% |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
9.93倍 | 9.93倍 | 1.31倍 | 1.95% | 3.8倍 |
トレックス・セミコンダクター:2023年3月期1Q決算結果
売上高 | 85億9,300万円 | 前年同期比22.5%増 |
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営業利益 | 17億4,300万円 | 同48.9%減 |
四半期純利益 | 12億3,800万円 | 同159.6%増 |
円安の追い風もあり1Qとして最高益を更新した決算だった。営業利益率は前年同期比11.2ptと大幅改善の20.3%であった。トレックス、ファウンドリー子会社のフェニテックともに上場来最高益を達成した。海外売上比率は前年同期比3.4pt上昇の70.8%だった。期中平均為替レートは1USD=129円だった。トレックスは半導体需要の増加、円安の影響により同34%増収となり今まで売上規模が小さかった欧州、北米での伸びが大きかった。営業利益は同3.3倍の増益となった。フェニテックは生産拡大、円安の影響により約14%の増収、営業利益は同2.4倍の増益となった。その結果四半期純利益は同2.6倍の増益となった。
トレックスとフェニテックの内訳は
【トレックス】
売上高 | 40億2,800万円 | 前年同期比34.2%増 |
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営業利益 | 8億8,000万円 | 同226%増 |
トレックスのアプリケーション別売上高は、産業機器が前年同期比55.9%増の16億1,000万円、車載機器は同27.5%増の5億1,000万円、医療機器は同83.7%増の9,000万円、ウェアラブル機器は同31.4%増の1億1,300万円、その他機器は同18.9%増の17億500万円だった。
トレックスの地域別売上高は、日本が前年同期比23.9%増の14億3,700万円、アジアが同19.6%増の14億3,200万円、欧州が同79.1%増の6億8,600万円、北米が同80.5%増の4億7,300万円だった。
【フェニテック】
売上高 | 45億6,500万円 | 前年同期比14%増 |
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営業利益 | 8億6,300万円 | 同136%増 |
フェニテックのアプリケーション別売上高は産業機器が前年同期比25.1%増の8億4,600万円、車載機器が同20.3%増の12億5,600万円、医療機器が同16.7%減の3,000万円、その他機器が同9.8%増の30億5,200万円だった。
フェニテックの地域別売上高は、日本が前年同期比2.6%増の20億3,400万円、アジアが同40.3%増の15億6,800万円、欧州が同31.7%増の3億300万円、北米が同6.1%増の12億7,900万円だった。
トレックス・セミコンダクター:2023年3月期予想
通期の業績の計画は従前予想を維持した。
売上高 | 330億円 | 前期比6.9%増 |
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営業利益 | 50億円 | 同28.3%増 |
当期利益 | 35億円 | 同10.9%増 |
EPS | 319.93円 | |
一株当たり配当金 | 56円 | |
減価償却 | 19億400万円 | 同45.2%増 |
設備投資 | 36億4,600万円 | 同90.3%増 |
今期も最高益更新を予定している。工場の稼働状況が逼迫する中、生産能力の増強に努めトレックス、フェニテック両社とも増収増益を予想している。設備投資は前期比倍近い36億円の予定であるが、そのうちの約30億円は、フェニテックの岡山工場、鹿児島工場の増産投資に向ける設備投資である。
トレックスが資本提携関係にあるノベルクリスタルテクノロジーが2022年6月下旬に電子デバイス産業新聞主催の第28回半導体・オブ・ザ・イヤー2022で半導体デバイス部門のグランプリを受賞した。世界初、アンペア級・1200 V耐圧の「酸化ガリウムショットキーバリアダイオード」を開発した事が高く評価された。この開発によりパワーエレクトロニクスの低価格化や高性能化につながり、急速充電器、次世代EV等の高出力化・低損失化に向けて大きく前進した。
アナリストによる投資判断
8月15日の決算発表翌日は一時前日終値比5%程株価が上昇したが、その後は売られ前日終値比マイナスでひけた。決算内容はポジティブであったが、現在のマーケットはファンダメンタルが反映される相場ではなく、米国の大幅利上げ観測により半導体関連銘柄は軟調に推移している。トレックス・セミコンダクターは小型株ではあるが、トレックスの超低消費電流IC、フェニテックの競争力のあるパワー半導体はEV、自動運転、IoT等からの需要は大きく成長株であると考えている。次世代半導体デバイスの開発で世界をリードしているノベルクリスタルテクノロジーとの資本提携により更に成長は加速すると考えている。PEGレシオを計算してみると予想PER8.96倍÷今期の当期純利益成長率10.9%=0.82倍と1倍割れであり超割安である。短期的なパフォーマンスを気にせず長期的な株価リターンを考える人にとっては買い場と言える。現在の株価で予想PERは8.96倍、PBRは1.31倍、EV/EBITDAは3.8倍と超割安状態である。
執筆日:2022年9月1日
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執筆者プロフィール
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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