株価 (2023/5/19) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,141円 | 235億円 | 66.4% | 9.2% | 9.8% |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
10.8倍 | 22.4倍 | 0.96倍 | 2.62% | 5.0倍 |
トレックス・セミコンダクター:2023年3月期通期決算結果
売上高 | 319億5,600万円 | 前期比3.5%増 |
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営業利益 | 39億7,600万円 | 同2.0%増 |
当期純利益 | 21億7,900万円 | 同▲31.0% |
4Q単独の決算結果は
売上高 | 68億7,300万円 | 前年同期比▲13.5% |
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営業利益 | ▲3億1,300万円 | 赤字転落(前年同期は10億円) |
四半期純利益 | ▲7億9,400万円 | 赤字転落(前年同期は11億1,300万円) |
2023年3月期通期は増収減益決算だった。4Q決算単独ではファンドリー子会社フェニテックでの下期の受注減、工場稼働率低下、電力料等の売上原価増加により減収減益となった。トレックスでは下期は在庫調整の影響を受け減速したものの通期は上場来最高の売上・営業利益を計上した。フェニテックでは、売上は通期で上場来最高を記録するも、電力料などの原価が増加し減益となった。対業績予想は、想定を上回る売上の減少により売上・営業利益ともに未達となった。売上高は前期比3.5%増の319億5,600万円、営業利益は同2.0%増の39億7,600万円となった。しかし、フェニテックの鹿児島工場でプロダクトミックスの変化により7億9,300万円の現存損失を計上した。これにより当期純利益は同▲31%の21億7,900万円となった。営業利益率は同▲0.2ptの12.4%であった。期中平均為替レートは1USD=134.9円であった。
トレックスとフェニテックの内訳は
【トレックス】
売上高 | 146億9,400万円 | 前期比4.0%増 |
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営業利益 | 25億6,700万円 | 同43.5%増 |
トレックスのアプリケーション別売上高は、産業機器が前期比18.1%増の57億7,000万円、車載機器は同8.9%増19億800万円、医療機器は同51.4%増の3億3,600万円、ウェアラブル機器は同4.9%増の4億3,100万円、その他機器(家電等の民生機器)は同▲8.9%増の62億4,500万円だった。
トレックスの地域別売上高は、日本が前期比▲1.7%増の54億7,400万円、アジアが同▲6.8%の49億4,400万円、欧州が同47.8%増の26億5,700万円、北米が同11.3%増の16億1,700万円だった。
【フェニテック】
売上高 | 172億6,200万円 | 前期比3.1%増 |
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営業利益 | 14億900万円 | 同▲33.2% |
フェニテックのアプリケーション別売上高は産業機器が前期比35.0%増の40億2,600万円、車載機器が同6.0%増の47億5,700万円、医療機器が同47.6%増の2億5,200万円、その他機器(家電等の民生機器)が同▲9.0%の104億1,300万円だった。
フェニテックの地域別売上高は、日本が前期比▲8.9%の76億900万円、アジアが同▲2.7%の46億2,000万円、欧州が同37.7%増の12億9,500万円、北米が同17.3%増の59億2,400万円だった。
トレックス・セミコンダクター:2024年3月期予想
売上高 | 290億円 | 前期比▲9.3% |
営業利益 | 15億円 | 同▲62.3% |
当期純利益 | 10.5億円 | 同▲51.8% |
EPS | 95.47円 | |
平均為替レート | 1USD=130円 | |
減価償却費 | 24億8,700万円 | 同51.1%増 |
設備投資 | 59億1,700万円 | 同22%増 |
会社計画の今期通期業績予想は減収減益である。顧客の在庫調整の長期化を見込み、 トレックス、フェニテックともに減収と予測している。特に上期は厳しい市況を想定している。減収による営業利益減とともに新規設備の稼働に伴う減価償却費の発生と電力料等の原価高騰継続を見込んで営業利益は前期比62.3%減と大幅減益を予想している。
中期経営計画
会社計画の中期経営計画によると2024年3月期に売上高300億円、営業利益30億円を目標としていたが、前倒しで2022年3月期期に売上高308億円、営業利益38.9億円を達成した。新たな中期経営計画として2026年3月期に売上高350億円、営業利益40億円を設定している。
新たな中期経営計画を達成する為に海外ファウンドリ1社と長期生産計画を締結し、これはトレックス向けの増産であるが2028年3月期に2023年3月期比で生産量6倍を目標としている。(投資額18億円)
フェニテック鹿児島工場にトレックス向け生産ライン増設計画を実施する予定である。この計画によりトレックス向け生産量を2026年3月期に2022年3月期比で3倍にする計画である。(投資額44億円)
フェニテック岡山・鹿児島工場における他の増産設備投資は半導体市況好調に対応するため、約20億円を投資する予定である。
次期パワー半導体
次期パワー半導体として40%もの省エネ期待が大きいSiCパワー半導体であるが、フェニテックが開発したSiC-SBD製品のサンプル製品をトレックスが提供開始し、2023年の量産開始を目指すと発表した。
アナリストによる投資判断
今期も最高益を更新すると思っていたが増収減益決算となり、会社計画に未達の決算であった。しかし、会社計画の未達の原因がファンドリー子会社フェニテックでの下期の受注減であるとの事で顧客企業の生産計画に振り回されてしまうのは仕方がない部分があったと考えている。一週間前の12日金曜日に増収減益決算を発表し、翌営業日の15日にはストップ安となり株価は2000円を割った。しかし、18日の決算説明会で決算説明会資料が開示され、新たな中期経営計画、次期パワー半導体の状況も明らかになり株価は2000円台を回復している状況である。元々トレックスセミコンダクターに関しては単なる電源ICの企業ではなく、SiCパワー半導体、その後に期待される酸化ガリウムのパワー半導体企業としての期待で買われている銘柄であり、中長期の成長ストーリーは不変である。