株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,233円 | 246億円 | 63.7% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
11.2倍 | 23.4倍 | 1.0倍 | 2.51% | 7.5倍 |
*株価は2023/8/10終値。
トレックス・セミコンダクター:2024年3月期1Q決算結果
売上高 | 64億400万円 | 前年同期比▲25.5% |
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営業利益 | 2億2,200万円 | 同▲87.7% |
四半期純利益 | 7,000万円 | 同▲94.3% |
トレックス・セミコンダクターの2024年3月期1Q決算は減収減益決算であった。売上高は前年同期比▲25.5%の64億400万円、営業利益は同▲87.7%の2億2,200万円、四半期純利益は同▲94.3%の7,000万円だった。1Qの営業利益率は同16.8ptと大幅低下の3.5%となった。トレックス、フェニテック両方ともに中国市場の想定以上の落ち込みにより大幅営業減益となった。営業利益の大幅な減少と円高基調を想定した為替予約に伴う為替差損(▲2億6,700万円)の発生や固定資産除売却(▲3,100万円)、固定資産圧縮損(▲1億1,200万円)の計上等により四半期純利益は94.3%と大幅な減益となった。
トレックスとフェニテックの内訳は
【トレックス】
売上高 | 26億4700万円 | 前年同期比▲34.3% |
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営業利益 | 6,600万円 | 同▲92.5% |
トレックスでは売上の減少と在庫の評価見直しによる評価損の発生により大幅減益となった。
トレックスのアプリケーション別売上高は、産業機器が前年同期比▲29.3%の11億3,900万円、車載機器は同▲4.8%の3億200万円、医療機器は同▲22.2%の7,000万円、ウェアラブル機器は同▲41.6%増の6,600万円、その他機器(家電等の民生機器)は同▲37.2%の10億7,000万円だった。全アプリケーションとも減収減益という結果であった。
トレックスの地域別売上高は、日本が前年同期比▲24.6%の10億8,300万円、アジアが同▲45.9%の7億7,500万円、欧州が同▲13.8%の5億9,100万円、北米が同▲58.4%の1億9,800万円だった。
【フェニテック】
売上高 | 37億5,700万円 | 前年同期比▲17.7% |
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営業利益 | 1億5,600万円 | 同▲81.9% |
フェニテックでは一般民生機器などの分野が大きく減少した。
フェニテックのアプリケーション別売上高は産業機器が前年同期比50%増の12億6,900万円、車載機器が同▲8.0%増の11億5,600万円、医療機器が同216.7%増の9,500万円、その他機器(一般民生機器)が同▲50.5%の15億1,200万円だった。
フェニテックの地域別売上高は、日本が前年同期比▲25.4%の15億1,700万円、アジアが同▲69.2%の4億8,300万円、欧州が同20.1%増の3億6,400万円、北米が30.4%増の16億6,800万円だった。
トレックス・セミコンダクター:2024年3月期予想
売上高 | 290億円 | 前期比▲9.3% |
営業利益 | 15億円 | 同▲62.3% |
当期純利益 | 10.5億円 | 同▲51.8% |
EPS | 95.47円 | |
平均為替レート | 1USD=138円 | |
減価償却費 | 24億8,700万円 | 同51.1%増 |
設備投資 | 59億1,700万円 | 同22%増 |
1Qの大幅減益決算を受けても従前の通期予想を維持した。会社計画の今期通期業績予想は減収減益である。顧客の在庫調整の長期化を見込み、 トレックス、フェニテックともに減収と予測している。特に上期は厳しい市況を想定している。減収による営業利益減とともに新規設備の稼働に伴う減価償却費の発生と電力料等の原価高騰継続を見込んで営業利益は前期比62.3%減と大幅減益を予想している。
アナリストによる投資判断
減収減益の決算となった。四半期純利益が前年同期比90%以上減と大幅な減益となったが、為替差損や固定資産除売却損、固定資産圧縮損という特損を計4億強計上した事も大幅減益の要因となった。トレックス、フェニテックともに中国向け売上が想定以上に落ち込んだとの事であるが、直近の中国のマクロ経済の指標を見ていると景気が急減速しているようであり先行きも厳しい可能性がある。
しかし、1Q決算発表後初の取引であった今日の株価は前日比プラスでひけた。トレックスの場合は現行の電源I/Cのみを投資家は見ているのではなく今期から量産体制に入るとみられるSiCパワー半導体、その後に期待される酸化ガリウムのパワー半導体企業としての期待で買われている銘柄である。酸化ガリウムに関しては潜在力はSiCよりもはるかに大きいと近頃は株式市場で注目されている。しばらくは中国経済の落ち込みとともに調整時期になると思われるが中長期の成長ストーリーは不変である。