株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
1,750円 | 193億円 | 56.1% | ▲19% | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
▲4.5倍 | 27.5倍 | 0.9倍 | 3.19% | 6.4倍 |
*株価は2024/5/20の場中の値。
トレックス・セミコンダクター:2024年3月期通期決算結果
売上高 | 257億5,100万円 | 前年同期比▲19.4% |
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営業利益 | ▲17億7,800万円 | 赤字転落(前期は39億7,600万円) |
当期純利益 | ▲42億9,700万円 | 赤字転落(前期は21億7,900万円) |
4Q単独の決算結果は
売上高 | 61億9,400万円 | 前期比▲9.9% |
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営業利益 | ▲13億6,600万円 | 赤字拡大(前年同期は3億1,300万円) |
四半期純利益 | ▲34億8,500万円 | 赤字拡大(前年同期は7億9,400万円) |
トレックス・セミコンダクターの2024年3月期通期決算は減収減益の赤字決算であった。売上高は前期比▲19.4%の257億5,100万円、営業損益は▲17億7,800万円、当期純損益は▲42億7,900万円であった。また、通期で為替差損を前期比25倍強の6億4,300万計上した。
4Q単独の決算結果は売上高が前年同期比▲9.9%の61億9,400万円、営業損益は同赤字拡大の▲13億6,600万円、四半期純損益も同赤字拡大の▲34億8,500万円であった。
4Qに固定資産に対し17億円の減損損失を計上した。また、この損失の発生により多額の繰延税金資産が発生したが、回収可能性を検討した結果、繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額として1,900万円を計上した。
製品別の売上高の状況を見ると、VD(ヴォルテージ・ディテクター)が前期比▲41.1%の14億5,600万円と一番売上の落ち込みが大きく、次にVR(ヴォルテージ・レギュレーター)が同▲34.4%の38億1,800万円、DCDCコンバーターが同▲30.7%の38億8,000万円、ディスクリートが同▲11%の149億1,500万円、その他が同27.3%増の16億8,100万円、合計が同▲19.4%の257億5,100万円であった。
赤字決算及び有利子負債の増加からバランスシートが悪化しているのが気になる。期末の自己資本比率は前期比▲10.3ptの56.1%、有利子負債が同46.3%増の113億1,400万円となった。インタレスト・カバレッジ・レシオは同7.7pt低下の13.8倍となった。
トレックスとフェニテックの内訳は
【トレックス】
売上高 | 100億1,600万円 | 前期比▲31.8% |
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営業利益 | ▲23億2,200万円 | 赤字転落(前期は25億6,700万円) |
トレックスでは半導体市場の継続的な低迷により売上は前期比31.8%減大きく減少した。全てのアプリケーション分野で売上は減少した。売上の減少と在庫の評価見直しによる評価損の発生により営業損失に転落した。(影響額は約23.3億円)
トレックスのアプリケーション別売上高は、産業機器が前期比▲31.8%の39億3,400万円、車載機器は同▲31.1%の13億1,500万円、医療機器は同▲28.6%の2億4,000万円、ウェアラブル機器は同▲47.6%の2億2,600万円、その他機器(家電等の民生機器)は同▲31.2%の42億9,900万円だった。
トレックスの地域別売上高は、日本が前期比▲28.9%の38億9,200万円、アジアが同▲29.7%の34億7,700万円、欧州が同▲26.9%の19億4,200万円、北米が同▲56.5%の7億300万円だった。
【フェニテック】
売上高 | 157億3,500万円 | 前期比▲8.8% |
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営業利益 | 5億4,400万円 | 同▲61.4% |
フェニテックではトレックス同様中国市場での売上が大きく減少し、一般民生機器などの分野が大きく減少した。しかし、営業損益は黒字を維持した。
フェニテックのアプリケーション別売上高は産業機器が前期比6.5%増の42億8,700万円、車載機器が同フラットの47億5,700万円、医療機器が同50.4%増の3億7,900万円、その他機器(一般民生機器)が同▲27.6%の75億3,600万円だった。
フェニテックの地域別売上高は、日本が前期比▲8.8%の69億3,600万円、アジアが同▲46.7%の24億6,200万円、欧州が同15.1%増の14億9,000万円、北米が同2.5%増の60億7,100万円だった。
トレックス・セミコンダクター:2025年3月期予想
売上高 | 280億円 | 前期比8.7%増 |
営業損益 | 10億円 | 黒字転換(前期は▲17億7,800万円) |
当期純損益 | 7億円 | 黒字転換(前期は▲42億9,700万円) |
EPS | 63.63円 | |
平均為替レート | 1USD=150円 | |
減価償却費 | 30億円 | 同27.7%増 |
設備投資 | 36億円 | 同▲31.9%増 |
今通期の会社計画は営業損益、当期純損益ともに黒字転換を予定している。減価償却費は増加計画であるが、設備投資は減少予定である。
アナリストによる投資判断
トレックス本体の業績の悪化が大きく、ファンドリ子会社のフェニテックは営業黒字を維持したものの、連結純損益が▲42億9,700万円と赤字決算であった。今期の会社計画は黒字転換を予定しているが、減価償却費の増加から二期連続赤字になる可能性もあると考えている。先週の決算発表の翌日は株価が3%強下落したが、その後は下げ渋っている。予想PERが27.5倍と割高感はあるものの、SiCパワー半導体、その後の酸化ガリウムのパワー半導体企業としての期待される銘柄ではあるので株価が極端に下げ続ける事はないだろう。