株価 (2022/2/21) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
---|---|---|---|---|
842円 | 1,338億円 | 57.9% | 24.6% | 22.0% |
PER (実績) | PER (予想) | PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
13.4倍 | 14.1倍 | 3.22倍 | 1.78% | 8.0倍 |
2022年3月期第3四半期決算
ワコムの2022年3月期第3四半期決算(累計)の結果は
売上高 | 812億円 | (前年同期比4.7%減) |
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営業利益 | 123億円 | (同3.4%減) |
四半期純利益 | 96億円 | (同2.4%増) |
3Q単独の決算結果は
売上高 | 309億円 | (前年同期比3.5%増) |
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営業利益 | 47億8,000万円 | (同15%増) |
四半期純利益 | 38億6,700万円 | (同23.9%増) |
累計の決算結果は減収増益であったが、3Q単独の決算では過去最高の売上高を記録し、増収増益と3Qになり業績が回復した。3Qの連結営業利益ならびに連結当期純利益は、コロナ禍前の業績水準(2019年4月-12月期: 連結売上高 710億円、連結営業利益 57億円、連結当期純利益 43億円) を大幅に上回った。積極的な研究開発投資を実施しつつ、販管費は各費用の最適化により前年同期水準を維持した。営業利益は粗利減等により減少した一方で、経常利益及び当期純利益は為替差益 (営業外収益) の計上等により増益であった。累計の営業利益率は前年同期比0.2pt上昇の15.2%であった。
ブランド製品事業は、累計売上高が前年同期比5%減420億円と微減であったが、セグメント利益は同6%増の89億円だった。プロ向けディスプレイ製品やペンタブレット製品、モバイル製品は増収。一方で、エントリーモデルのディスプレイ製品や中低価格帯ペンタブレット製品は減収であった。為替の円安影響 (約+10億円) や米国対中追加関税の売上原価への影響低減 (約+9億円) 等によりセグメント利益は増加した。
テクノロジーソリューション事業は、累計売上高が前年同期比4%減の391億円、セグメント利益が同15%減の67億円だった。3Q単独の決算では過去最高の売上高を記録した。生産サプライチェーンの制限があった中、AESテクノロジーはOEM提供先メーカーからの需要増により増収。一方で、EMRテクノロジー他はOEM提供先の製品ポートフォリオの変化等から減収だった。売上減少および積極的な研究開発投資等によりセグメント利益は減少した。
2022年3月期予想
3Qでの業績回復を受けて、2022年3月期の業績予想を上方修正した。
売上高 | 1,020億円 | (前年同期比5.1%減) |
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営業利益 | 125億円 | (同6.8%減) |
四半期純利益 | 97億円 | (同5.1%減) |
減益予想には変わりないが、従前予想より売上高を1%増、営業利益を4.2%、当期純利益10.2%上方修正した。
予想の前提となる為替レートについてもUSDは変更した。1USDは108円から111円に変更し、1ユーロは従前と同じ128円を維持した。
ワコムは元々クリエイティブの分野では高い評価を得ていたが、クリエイター向け製品のみならず教育分野には注力していると会社も公言しており、その他にヘルスケア、公共市政サービスでの製品の需要も伸びている。これから世の中のDX化が進むにつれてワコムの製品の需要は伸びるだろう。協業パートナーはZ会、ベネッセ、富士通、ドイツの万年筆メーカーLAMY、サムソン等と組んでいる。VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ等最先端テクノロジーの研究開発にも取り組んでおり、こういった分野での協業がこれからは増えるだろうと見ている。
「Wacom Chapter 3」において株主還元は重要な経営課題として認識しており、2021年5月13日から2025年3月31日までの期間で、総額100億円を上限とする自己株式の取得を実施する方針を昨年発表したが、今までに累計実績で自己株式352万株、30億円相当を取得した。
アナリストによる投資スタンス
第3四半期に業績が回復した事、小幅ではあるが二度目の業績上方修正が好感されて、決算発表後に株価は上げたがその後は売り買い拮抗している。大幅ではないがじりじりと株価は上げ基調である現在の株価で、株価バリュエーションは予想PERが14.1倍、PBRが3.22倍、EV/EBITDAが8.0倍とPERベースでは割安である。教育市場、DXでの高い成長のストーリーは不変であり、安心して持っていられる銘柄の一つであろう。
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プロフィール
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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