【ソニーの決算ポイント】予想より強かった中間決算、PS5は年末商戦でどの位売れるか?!
株価 (2022/11/1) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
10,050円 | 12.4兆円 | 22.0% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
14.1倍 | 15.53倍 | 1.8倍 | N/A | 6.5倍 |
ソニー:2023年3月期2Q決算結果(累計)
売上高 | 5兆634億円 | 前年同期比9.4%増 |
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営業利益 | 6,510億円 | 同8.8%増 |
四半期純利益 | 4,822億円 | 同13.5%増 |
平均為替レート | 1USD=138.2円 | |
1ユーロ=139.3円 |
2Q単体の決算結果は
売上高 | 3兆473億円 | 前年同期比52%増 |
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営業利益 | 3,440億円 | 同8%増 |
四半期純利益 | 2,640億円 | 同23.9%増 |
2Qとして過去最高の売上と営業利益を更新した好決算であった。円安の好影響もあったが、金融部門以外の全部門が増収、⾳楽分野、I&SS分野が増益であった。2Q累計の営業利益率は前年同期比▲0.08ptの12.86%だった。
セグメント別概況は
ゲーム&ネットワークサービス分野 (G&NS分野)
セグメント売上高(累計) | 7,207億円 | 前年同期比12%増 |
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セグメント利益 | 421億円 | 同49%減 |
為替の影響は売上に+939億円、営業利益に▲107億円であった。営業利益の大幅減少はゲームソフトウェア開発費の増加、Bungie, Inc.等の買収にともなう費⽤の計上、コストの⽶ドル建て⽐率が⾼い事等が要因であった。部材供給やロジスティックスの制約が大幅に緩和され、2QのPS5の生産台数は650万台を超え、計画を上回るペースで進捗している。またPS5の需要は引き続き強く、北米ではPS5の入荷から売れるまでの時間が17.5時間台であると説明した。PS5の通期販売台数についても1,800万台以上を目指しており、これからのホリデーシーズンに備えて前倒しでPS5の生産を進めている状況である。
今年度の見通しは売上を100億円上方修正し、3兆6,300億円とした。為替の影響とPS5の価格改定による増収を見込んでいる。通期の営業利益は300億円(12%)下方修正し2,250億円とした。アドオンコンテンツを含む⾃社制作以外のゲームソフトウェア販売減少の影響とコストの⽶ドル建て⽐率が⾼いこと等が下方修正の要因である。
音楽分野
セグメント売上高(累計) | 3,593億円 | 前年同期比32%増 |
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セグメント利益 | 787億円 | 同56%増 |
為替の影響は売上に+537億円であった。⾳楽制作及び⾳楽出版における有料会員制ストリーミングサービスからの収⼊増加による増収であった。セグメント利益の大幅増は為替の影響、増収効果によるものと⾳楽制作及び⾳楽出版における訴訟に関する和解⾦の受領の影響
(関連費⽤控除後で57億円)であった。
今年度の見通しは売上を900億円(7%)上方修正し、1兆3,700億円とした。⾳楽制作におけるストリーミングサービスからの収⼊増加、映像メディア・プラットフォームにおけるゲームアプリケーションの収⼊増加 による増収を見込んでいる。セグメント利益は350億円(15%)上方修正し、2,650億円とした。
映画分野
セグメント売上高(累計) | 3,375億円 | 前年同期比29%増 |
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セグメント利益 | 276億円 | 同13%減 |
米ドルベースだと前年同期比3%増であったが、為替の影響で大幅増収となった。当年度の公開作品の劇場興⾏収⼊の増加、る前年度公開作品からのテレビ向けライセンス収⼊及びホームエンタ
テインメント売上の増加、Crunchyroll買収の影響を含む、、アニメ専⾨DTCサービスにおける増収等が増収の要因であった。セグメント利益は米ドルベースだと30%の減益であった。映画製作において新作の動画配信サービスへのライセンスがなかった影響と当年度公開作品の広告宣伝費の増加等が減益の要因であった。
今年度の見通しは売上を5%上方修正し、1兆4,500億円、セグメント利益を15%上方修正の1,150億円とした。テレビ番組制作におけるカタログ作品の貢献の増加、映画製作におけるカタログ作品の貢献の増加、為替等が増益の要因である。
エンタテインメント・テクノロジー&サービス分野 (ET&S分野)
セグメント売上高(累計) | 6,770億円 | 前年同期比16%増 |
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セグメント利益 | 778億円 | 同7%増 |
為替の影響は売上に+772億円、営業利益に+82億円であった。為替の影響と販売台数増加によるデジタルカメラの売上増加が増収の要因であった。セグメント利益増の要因は販売台数の増加及び製品ミックスの改善によるデジタルカメラの増収が要因であった。
今年度の見通しは売上高を2%上方修正し2兆5,100億円、セグメント利益は従前予想と変わらず1,800億円とした。
イメージング&センシング・ソリューション分野 (I&SS分野)
セグメント売上高(累計) | 1,201億円 | 前年同期比43%増 |
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セグメント利益 | 243億円 | 同49%増 |
為替の影響は売上に+617億円、営業利益に+378億円であった。為替とモバイル機器向けイメージセンサー(iPhone14等)の増収が大幅増収要因であった。研究開発費及び減価償却費の増加と製造経費の増加はあったが、増収による増益幅が大きく大幅増益となった。
今年度の見通しは売上高は従前予想を維持の1兆4,400億円、セグメント利益は10%上方修正の2,200億円とした。
⾦融分野
金融ビジネス収入(累計) | 3,049億円 | 前年同期比17%減 |
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セグメント利益 | 546億円 | 同27%増 |
ソニー⽣命の⼤幅減収(△716億円、収⼊2,518億円)により減収したものの、ソニー⽣命の⼦会社においてFY21に発⽣した不正送⾦に係る資⾦回収(221億円)により27%と大幅増益であった。
今年度の見通しは金融ビジネス収入は9%下方修正の1兆3,100億円とした。ソニー⽣命における特別勘定の運⽤損益の悪化が要因である。セグメント利益は従前予想を据え置きとし2,200億円とした。
2023年3月期予想
2023年3月期通期業績予想は売上高を1%上方修正、営業利益を5%上方修正、当期純利益を5%上方修正した。
売上高 | 11兆6,000億円 | 前期比16.9%増 |
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営業利益 | 1兆1,600億円 | 同3.5%減 |
当期純利益 | 8,400億円 | 同4.8%減 |
予想為替レート | 1USD=140円前後 | |
1ユーロ=138円前後 |
増収減益予想であるが、為替の影響と従前予想より強かった業績により減益幅はかなり縮小した。
アナリストによる投資判断
世界的なマクロ経済悪化を受けて弱い決算になると思いきやデジカメの販売増、iPhone14向けのセンサーカメラの売上増等予想外に強い決算であった。今期は映画事業と音楽事業に支えられる決算になると予想したが、蓋を開けると金融事業以外全セグメントで好調であった。株価は金利動向、市場のモメンタムに左右されると思うが業績はしっかりしたものになると推測している。
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執筆者プロフィール
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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