株価 (2023/4/28) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
12,830円 | 15.8兆円 | 22.6% | 13.0% | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
16.9倍 | N/A* | 2.1倍 | 0.65% | 7.4倍 |
*注:予想EPSをN/Aとしたのは会社側が2024年3月期EPSを開示していないため。
ソニー:2023年3月期通期決算結果
売上高 | 11兆5,398億円 | 前期比16.3%増 |
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営業利益 | 1兆2,082億円 | 同0.5%増 |
当期純利益 | 9,436億円 | 同6.2%増 |
平均為替レート | 1USD=135.4円 | |
1ユーロ=140.9円 |
4Q単体の決算結果は
売上高 | 3兆636億円 | 前年同期比35%増 |
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営業利益 | 1,285億円 | 同▲7% |
四半期純利益 | 1,282億円 | 同15%増 |
ソニーの2023年3月期通期決算は売上高、営業利益ともに過去最高を更新した決算であった。PS5が好調でゲーム部門は大幅増収となり、イメージング&センシング・ソリューションもモバイル向けイメージセンサーが好調で大幅増収増益となった。
3Q決算発表時の会社計画では通期の営業利益が前期比▲3.2%、当期純利益が同▲10.4%としていたが、実際は営業利益は同0.5%増、当期純利益は同6.2%増となった。従前予想より決算結果が良かった要因は金融分野、I&SS分野、⾳楽分野の⼤幅増益により連結営業利益は前期比59億円増加した。当期純利益に関しては⽇本における税額控除額の増加による影響、⽇本における外国⼦会社合算税制に係る繰延税⾦負債の減少による影響で前期比76億円増加した。
セグメント別概況は
ゲーム&ネットワークサービス分野 (G&NS分野)
セグメント売上高 | 3兆6,446億円 | 前期比33%増 |
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セグメント利益 | 2,500億円 | 同▲28% |
為替の影響は売上に+4,198億円、営業利益に▲324億円であった。通期でPS5は1,910万台の出荷を達成した。3月には累計販売台数3,000万台を突破した。PS5は、2020年11月の発売以来強い需要に供給が対応できない状況が続いていたが、4Qの出荷台数が630万台を記録し供給不足は解消してきている。
営業利益に関してはゲームソフトウェア開発費の増加、Bungie, Inc.等の買収にともなう費⽤の計上等により大幅減益となった。
なお2024年3月期に関してはPS5は2,500万台の出荷を予定している。
音楽分野
セグメント売上高 | 1兆3,806億円 | 前期比24%増 |
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セグメント利益 | 2,631億円 | 同25%増 |
為替の影響は売上に+1,745億円であった。⾳楽制作及び⾳楽出版における有料会員制ストリーミングサービスからの収⼊増加による増収であった。一方、映像メディア・プラットフォームにおけるアニメ事業の収⼊は減少した。営業利益の大幅増は為替の影響と)⾳楽制作及び⾳楽出版における訴訟に関する和解⾦の受領の影響(関連費⽤控除後で57億円)が主な要因であった。
映画分野
セグメント売上高 | 1兆3,694億円 | 前年同期比11%増 |
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セグメント利益 | 1,193億円 | 同▲45% |
増収減益であった。前年同期に「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」、「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」などの大ヒット作があった事から減収となり、また利益レベルでは前年同期にGSN Gamesの事業譲渡にともなう利益の計上があった事から前年同期比大幅な減収となった。
エンタテインメント・テクノロジー&サービス分野 (ET&S分野)
セグメント売上高 | 2兆4,760億円 | 前期比6%増 |
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セグメント利益 | 1,795億円 | 同▲16% |
為替の影響は売上に+2,375億円、営業利益に+94億円であった。為替の影響と販売台数増加によるデジタルカメラの売上増加が増収の要因であった。セグメント利益減はテレビの販売台数の減少が主な要因であった。
イメージング&センシング・ソリューション分野 (I&SS分野)
セグメント売上高 | 1兆4,022億円 | 前期比30%増 |
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セグメント利益 | 2,122億円 | 同36%増 |
為替の影響は売上に+2,027億円、営業利益に+1,209億円であった。為替とモバイル機器向けイメージセンサー(iPhone14等)の増収が大幅増収要因であった。研究開発費及び減価償却費の増加と製造経費の増加はあったが、増収による増益幅が大きく大幅増益となった。
⾦融分野
金融ビジネス収入 | 1兆4,545億円 | 前期比▲5% |
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セグメント利益 | 2,239億円 | 同49%増 |
ソニー⽣命の⼤幅減収(▲1,084億円、収⼊1兆2,421億円)と特別勘定における運⽤損益の悪化により減収となった。ソニー⽣命の⼦会社においてFY21に発⽣した不正送⾦に係る損失計上の
反動(168億円)及びFY22での同資⾦回収(221億円)とソニー⽣命の⼤幅増益(+297億円、利益 1,770億円)等により大幅増益となった。
2024年3月期予想
売上高 | 11兆5,000億円 | 前期比フラット |
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営業利益 | 1兆1,700億円 | 同▲3% |
当期純利益 | 8,400億円 | 同▲10% |
予想為替レート | 1USD=130円前後 | |
1ユーロ=138円前後 |
売上高はフラット、当期純利益は10%の減益を予想している。景気後退を視野に入れて事業環境の厳しいテレビやスマホ(ET&S分野)ではコスト削減を進めていく予定である。
アナリストによる投資判断
PS5の好調、音楽、I&SSの好調により牽引された決算であった。今期に関してはPS5は2,500万台の出荷を予定している。発売3年目でようやく需要に供給が追い付いてきた状況であり、今期も業績の下支えとなるだろう。