株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
12,985円 | 16兆円 | 21.3% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り** | EV/EBITDA |
17.1倍 | 19.1 | 2.2倍 | N/A | 7.4倍 |
*株価は2023/8/9の終値。**期末配当が未定のためにN/A。
ソニー:2024年3月期1Q決算結果
売上高 | 2兆9,637億円 | 前年同期比32.9%増 |
---|---|---|
営業利益 | 2,530億円 | 同▲30.6% |
四半期純利益 | 2,175億円 | 同▲16.7% |
平均為替レート | 1USD=137.0円 | |
1ユーロ=149.2円 |
ソニーの2024年3月期1Q決算は大幅増収であったものの減益決算であった。音楽、ET&Sは増収増益であったが、金融、映画での大幅減益となり全体で増収減益決算となった。営業利益率は前年同期比7.8ptと大幅低下の8.5%となった。
セグメント別概況は
ゲーム&ネットワークサービス分野 (G&NS分野)
セグメント売上高 | 7,719億円 | 前年同期比28%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 492億円 | 同▲6.8% |
為替の影響は売上に+406億円、営業利益に+25億円であった。1QにPS5は前年同期比38%増の330万台の出荷を達成したが、通期2,500万台の目標達成にやや未達のペースであった。しかし、7月よりPS5のプロモーションを開始し、再び売れ行きが加速している。1Qはサードパーティーのソフトウェアの売上が好調で同27%増の3,653億円であった。セグメント利益に関してはBungieの買収にともなう費⽤166億円の計上等により減益となった。
1Qが終了し、通期のセグメント売上計画を7%上方修正し4兆1,700億円とし、セグメント利益は従前予想の2,700億円を維持したが、前期に比べてプロモーションの増加や販売チャネルミックスの変化でPS5の損益は悪化すると計画している。
音楽分野
セグメント売上高 | 3,582億円 | 前年同期比16%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 734億円 | 同20%増 |
増収増益であった。為替の影響は売上に+152億円であった。⾳楽制作及び⾳楽出版における有料会員制ストリーミングサービスからの収⼊増加による増収であった。営業利益に関しては従来持分法で会計処理されていた会社の連結⼦会社化による再評価益 60億円を計上した事、売上増、為替の影響で大幅増となった。
通期のセグメント売上計画を5.7%上方修正し1兆4,900億円、セグメント利益を5.7%上方修正し2,800億円とした。
映画分野
セグメント売上高 | 3,204億円 | 前年同期比▲6% |
---|---|---|
セグメント利益 | 16億円 | 同▲68% |
減収減益であった。映画の劇場興⾏収⼊は増加したものの⽶国向けテレビ番組作品の納⼊数の減少、ホームエンタテインメント売上及び動画配信サービス向けライセンス収⼊が、2021年度に劇場公開した複数の⼤型作品からの貢献があったFY22.1Qに⽐べ減少した事等により減収となった。セグメント利益は減収の影響、当年度劇場公開作品の増加による広告宣伝費の増加により減益となった。
通期のセグメント売上計画を3%下方修正し1兆4,700億円とし、セグメント利益は従前計画の1,200億円を維持した。
エンタテインメント・テクノロジー&サービス分野 (ET&S分野)
セグメント売上高 | 5,718億円 | 前年同期比4%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 556億円 | 同4%増 |
増収増益であった。為替の影響は売上に+168億円、営業利益に+14億円であった。為替の影響と販売台数増加によるデジタルカメラの売上増加が増収の要因であった。一方スマートフォンとテレビは減収であった。販売増と販管費減によりセグメント利益は増加した。
通期のセグメント売上計画を2%上方修正し、2兆4,300億円とし、セグメント利益は従前計画の1,800億円を維持した。
イメージング&センシング・ソリューション分野 (I&SS分野)
セグメント売上高 | 2,927億円 | 前期比23%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 127億円 | 同▲41% |
為替の影響は売上に+232億円、営業利益に+182億円であった。モバイル機器向けイメージセンサーの増収、製品ミックスの改善、販売数量の増加、為替の影響等で売上増であった。しかし、製造経費の増加、減価償却費の増加、産業・社会インフラ向けイメージセンサー減収の影響、研究開発費の増加によりセグメント利益は大幅に減少した。
通期のセグメント売上計画を3%下方修正し、1兆5,600億円とし、セグメント利益は10%下方修正し、1,800億円とした。
⾦融分野
金融ビジネス収入 | 6,814億円 | 前年同期比215%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 545億円 | 同▲61% |
ソニー⽣命の⼤幅増収、特別勘定における運⽤損益の改善により大幅増収となったが、ソニー⽣命の⼤幅減益とFY22.1Qにおける変額保険に係る⾦利変動にともなう利益の計上、FY22.1Qにおける不動産売却益の計上があった事等の要因で前年同期比大幅減益となった。
通期の金融ビジネス収入の計画を52%増と大幅上方修正し、1兆3,200億円とし、セグメント利益は従前計画の1,800億円を維持した。
2024年3月期予想
売上高 | 12兆2,000億円 | 前期比11.2%増 |
---|---|---|
営業利益 | 1兆1,700億円 | 同▲10.2% |
当期純利益 | 8,600億円 | 同▲14.5% |
予想為替レート | 1USD=135円前後 | |
1ユーロ=146円前後 |
通期の会社計画は売上高を6%上方修正し12兆2,000億円、当期純利益を2%上方修正し8,600億円とした。増収減益を予想している。
アナリストによる投資判断
音楽、ET&Sのカメラの好調に支えられた決算であった。G&NSに関してはサードパーティー・ソフトウェアが好調であり、PS5は損益は悪化しつつも顧客基盤の拡大を優先しており年間販売目標台数の達成は可能であろう。I&SSに関してはiPhone15にソニーの2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサーが搭載されるが2Q以降に業績回復が期待される。今期は減益予想であるが、株価バリュエーションも20倍弱と割高感はなく大きく下落する事はないのではと考えている。