株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
11,965円 | 14.6兆円 | 22.2% | 13.7% | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
15.2倍 | 16.3倍 | 1.9倍 | 0.83% | N/A |
*株価は2024/5/14の終値。
ソニー:2024年3月期通期決算結果
売上高 | 13兆208億円 | 前期比18.6%増 |
---|---|---|
営業利益 | 1兆2,088億円 | 同▲7.2% |
当期純利益 | 9,706億円 | 同▲3.5% |
平均為替レート | 1USD=144.4円 | |
1ユーロ=156.6円 |
ソニーの2024年3月期通期決算は増収減益決算であった。しかし、減益幅は会社計画ほど大きくなかった。G&NSと音楽事業は増収増益、映画事業は増収で利益はフラット、ET&Sは売上フラットで増益、I&SSは増収減益、金融は大幅増収大幅減益となり全体で増収減益となった。売上高は前期比18.6%増の13兆208億円、営業利益は同▲7.2%の1兆2,088億円、当期純利益は同▲3.5%の9,706億円であった。営業利益率は前期比▲2.6ptの9.3%となった。
セグメント別概況は
ゲーム&ネットワークサービス分野 (G&NS分野)
セグメント売上高 | 4兆2,677億円 | 前期比17%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 2,902億円 | 同16%増 |
G&NSは増収増益であった。為替の影響は売上に+2,789億円、営業利益に+386億円であった。G&NSの売上高は前期比17%増の4兆2,677億円であった。大幅な増収は主にアドオンコンテンツを含む自社制作以外のゲームソフトウェア販売増加及び為替の影響であった。セグメント利益は同16%増の2,902億円であった。この増益はプロモーションによる損失拡大や自社制作のゲームソフトウェアの減少の影響があったものの自社制作以外のゲームソフトウェアの販売増加及び為替の好影響で増益となった。
PS5の出荷台数は2,080万台と前期比170万台増加した。
音楽分野
セグメント売上高 | 1兆6,190億円 | 前期比17%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 3,017億円 | 同15%増 |
音楽分野は増収増益であった。音楽分野の売上高は前期比17%増の1兆6,190億円であった。為替の影響は売上に+765億円であった。⾳楽制作及び⾳楽出版における有料会員制ストリーミングサービスからの収⼊増加、音楽制作における興行物販やライセンス等の収入増加、及び為替により増収した。セグメント利益は同15%増の3,017億円であった。セグメント利益に関しては⾳楽制作及び⾳楽出版における増収、及び従来持分法で会計処理されていた会社の連結子会社化による再評価益は60億円であり、セグメント利益を押し上げた。一方前期は音楽制作及び音楽出版における訴訟に関する和解金(関連費用控除後で57億円)を受領したが、今期はその分剥落した。
映画分野
セグメント売上高 | 1兆4,931億円 | 前期比9%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 1,177億円 | 同▲1% |
映画分野は増収、利益はほぼフラットであった。映画分野の売上高は前期比9%増の1兆4,931億円であった。米ドルベースの売上高は同2%増であった劇場公開作品の増加、また有料会員数増加によるCrunchyrollの増収が増収の要因であった。セグメント利益は同▲1%の1,177億円であった。劇場公開作品の増加により増収は確保したものの、その分広告宣伝費の増加があり円ベースではほぼフラット、米ドルベースでは同▲10%であった。
エンタテインメント・テクノロジー&サービス分野 (ET&S分野)
セグメント売上高 | 2兆4,537億円 | 前期比▲0.9% |
---|---|---|
セグメント利益 | 2,891億円 | 同4%増 |
ET&Sは売上はほぼフラットで増益であった。売上は前期比▲0.9%の2兆4,537億円であった。為替の影響は売上に+984億円、営業利益に+205億円であった。テレビの販売台数減少による減収を為替がほぼ相殺し、セグメント利益は為替、オペレーション費用の削減で増益となった。
イメージング&センシング・ソリューション分野 (I&SS分野)
セグメント売上高 | 1兆6,027億円 | 前期比14%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 1,935億円 | 同▲9% |
I&SSは増収減益であった。売上高は前期比14%増の1兆6,027億円であった。為替の影響は売上に+992億円、営業利益に+623億円であった。モバイル機器向けイメージセンサーの増収、販売数量の増加、製品ミックスの改善、為替が増収要因であった。セグメント利益は同▲9%の1,935億円であった。減価償却費の増加、モバイル機器向けイメージセンサーの新製品量産⽴ち上げにおける費⽤の増加、製造経費の増加等から減益となった。
⾦融分野
金融ビジネス収入 | 1兆7,700億円 | 前期比99%増 |
---|---|---|
セグメント利益 | 1,736億円 | 同▲45% |
大幅増収大幅減益であった。金融分野の収入は前期比99%増の1兆7,700億円であった。ソニー生命の大幅増収増益、市況の変動による⼀般勘定および特別勘定における運⽤損益の改善が増収の要因であった。セグメント利益は同▲45%の1,736億円であった。ソニー生命の大幅減益、変額保険に係る市況変動による利益の減少、前期に不動産売却益を計上したが、その分剥落した事等が減益の要因であった。
2025年3月期予想
売上高 | 12兆3,100億円 | 前期比▲5% |
---|---|---|
営業利益 | 1兆2,750億円 | 同5%増 |
当期純利益 | 9,250億円 | 同▲5% |
予想為替レート | 1USD=145円前後 | |
1ユーロ=157円前後 |
今期の会社計画は減収減益を予定している。営業利益は前期比5%増の1兆2,750億円を予想している。I&SSの増収増益、G&NSは増益、音楽事業の増収増益を前提としている。PS5販売台数は1,800万台前期より若干減少する予想をしている。
また、10月1日を効力日として1対5の株式分割、2,500億円、発行済株式の2.46%を上限とする自社株買いの実行を発表した。
アナリストによる見解
終わった期の連結の営業利益は936億円減少したが、金融分野の大幅減益(前期比1,445減少)が主な要因であった。今期の会社計画は減収減益の予想であるが、株式分割、自社株買いアナウンスはポジティブである。しかし、先日パラマウント買収提案とのメディア報道があったが、正式アナウンスがあれば株価の下押し要因となるであろう。