株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,254.5円 | 8,701億円 | 65.3% | 5.7% | N/A |
PER(実績)** | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
16.2倍 | 62.2倍 | 0.9倍 | 2.22% | 9.3倍 |
注:*株価は2024/5/8の終値。**ロームは2023年10月1日付けで一対四の株式分割を行った。
ローム:2024年3月期通期決算結果
売上高 | 4,678億円 | 前期比▲7.9% |
---|---|---|
営業利益 | 433億円 | 同▲53.1% |
当期純利益 | 539.6億円 | 同▲32.9% |
平均為替レート | 1USD=144.4円 |
4Q単独の決算結果は
売上高 | 1,127億円 | 前年同期比▲4.3% |
---|---|---|
営業利益 | 27億円 | 同▲84.2% |
四半期純利益 | 89億円 | 同▲28.7% |
ロームの2024年3月期通期決算は減収減益の決算となった。自動車向け売上のみ前期比+7.7%増したものの産業機器向け同▲16.8%、民生機器向け同▲17.5%、通信向け▲7.2%、コンピュータ&ストレージ向け同28.6%等の売上が減少し、通期の売上は前期比▲7.9%の4,678億円、営業利益は同▲53.1%の433億円、当期純利益は同▲32.9%の539.6億円となった。ロームがKPIとして最重要視しているEBITDA(営業利益+減価償却費)は同▲32.9%の1,154億円となった。通期の営業利益率は同8.9pt低下の9.3%となった。営業利益の490億円減少のうち166億円が減価償却費用の増加によるものであった。
4Q単独の決算結果は売上高が前年同期比▲4.3%の1,127億円、営業利益が同▲84.2%の27億円、四半期純利益が同▲28.7%の89億円であった。4Q単独の営業利益率は同12pt低下の2.4%となった。
2024年3月期市場別売上の変動要因
(単位:億円)
①自動車市場向け売上 ー 2,294億円(前期比7.7%増)
インフォテイメント分野▲25、ボディ分野+60、パワートレイン分野+13、安全走行ADAS(先進運転支援システム)+3、xEV分野+123、その他▲10
②産業機械市場向け売上ー 747億円(同▲16.8%)
FA分野▲52、エネルギー分野▲9、ホームビルディング分野▲10、その他▲80
③民生市場向け売上 ー 927億円(同▲17.5%)
AV関連▲32、家電分野▲54、その他▲111
④通信市場向け売上 ー 205億円(同▲7.2%)
スマホ・モバイル分野▲12、基地局&インフラ▲2、有線通信分野▲1
⑤コンピュータ&ストレージ市場向け売上 ー 505億円(同▲28.6%)
PC&サーバー分野▲115、決済端末向け▲32、事務機分野▲55
売上合計 4,677億円(同7.9%)
2024年3月期国別売上の変動要因
日本 2,614億円 (前期比▲9.5%)
南北アメリカ 488億円(同▲21.3%)
欧州 460億円(同17.3%増)
中国 653億円(同3.9%増)
その他アジア 463億円 (同▲15.6%)
欧州と中国では前期比増収であったが、国内、南北アメリカ、その他アジアでは減収であった。
セグメント別概況
LSI
セグメント売上高 | 2,072億円 | 前期比▲11.3% |
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セグメント利益 | 213億円 | 同▲55.8% |
セグメント利益率 | 10.3% | 同▲10.3pt |
自動車関連市場向けで、EVの普及の加速に伴いパワートレイン向け絶縁ゲートドライバーIC等の高付加価値商品が順調に伸びた事に加え、高性能半導体パワースイッチIPD、車載向けLEDドライバIC、電源ICが好調であった。一方民生機器市場ではAV機器や白物家電向けを中心に減少した。また、コンピューター&ストレージ市場でPC関連や事務機向けのモータードライバICや電源IC等の売上が落ち込んだ。産業機器市場及び通信機器市場向けにおいても厳しい状況となった。
半導体素子
セグメント売上高 | 2,019億円 | 前期比▲4.8% |
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セグメント利益 | 129.6億円 | 同▲62.5% |
セグメント利益率 | 6.4% | 同▲9.9pt |
事業セグメント別では、トランジスタ、ダイオード、パワーデバイスについては、自動車関連市場のxEV向けを中心に好調に推移した。しかし、民生機器市場やコンピューター&ストレージ市場では厳しい状況であった。パワーデバイスについては自動車市場ではxEV向けを中心に好調に推移したが、中国をはじめ市場成長率が鈍化傾向にある。産業機器市場向けではAIサーバー等特定の分野においては好調であったが、民生機器市場及びコンピュータ&ストレージ市場向けでは依然として厳しい状況であった。また、発光ダイオード、半導体レーザーは民生機器市場向けを中心に低迷した。
モジュール
セグメント売上高 | 329.08億円 | 前期比▲4.1% |
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セグメント利益 | 20.05億円 | 同▲53.2% |
セグメント利益率 | 6.1% | 同▲6.4pt |
事業セグメント別では、プリントヘッドは、決済端末向けを中心に売上が減少し、オプティカル・モジュールについてはスマートフォン向けでセンサモジュールの売上が増加した。
その他
セグメント売上高 | 257.01億円 | 前期比▲6.9% |
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セグメント利益 | 21.54億円 | 同▲57.7% |
セグメント利益率 | 8.4% | 同▲10pt |
事業セグメント別では、抵抗器については、自動車関連市場向けに高電力抵抗・シャント抵抗等の高信頼品が好調に推移したが産業機器市場向けの売上が落ち込んだ。
ローム:2025年3月期通期会社予想
2025年3月期の会社計画は増収減益である。営業利益は前期比▲67.7%、293億円の減益の計画であるが、このうち減価償却費の増加分が▲139億円である。設備投資額は前期比▲11.6%の1,650億円の計画である。当期純利益は同▲74.1%と大幅減の140億円を予定している。
売上高 | 4,800億円 | 前期比2.6%増 |
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営業利益 | 140億円 | 同▲67.7% |
当期純利益 | 140億円 | 同▲74.1% |
予想為替レート | 1USD=145.49円(期中平均) | |
EBITDA | 1,067億円 | 同▲7.5% |
設備投資額 | 1,650億円 | 同▲11.6% |
アナリストによる投資判断
昨日の決算発表で今期の当期純利益が前期比74.1%減と大幅減少見通しを受けて本日5/9のロームの株価は10%以上下落し、年初来安値をつけた。競合の富士電機(6504)は今期は五期連続の最高益更新予定であり対照的である。投資家の関心はロームと東芝のSiCパワー半導体における協業による中長期的な利益貢献だと思うが、SiCが業績に貢献するまでに2、3年はかかると思われ、それまでは積極投資、減価償却費負担で業績的には期待できないと考えている。