パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの株価情報
株価 (2022/5/27) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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1,918円 | 1.1兆円 | 27.6% | 14.4% | 7.3% |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
22.6倍 | 20.2倍 | 3.1倍 | 0.86% | 13.7倍 |
2022年6月期第3四半期決算
PPIHの2022年6月期第3四半期決算(累計)の結果は
売上高 | 1兆3,705億円 | (前年同期比8.1%増) |
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営業利益 | 631億円 | (同5.7%減) |
四半期純利益 | 459億円 | (同1.7%増) |
第3四半期単独の決算結果は
売上高 | 4,528億円 | (前年同期比9.0%増) |
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営業利益 | 194億円 | (同10.7%増) |
四半期純利益 | 158億円 | (同25.7%増) |
累計決算では営業段階で減益であったが、3Q単独決算では過去最高の業績であった。
3Qは国内では蔓延防止等重点措置による人流制限などがある中でも増収増益を達成した。
国内リテールの既存店前年比100.7%であったが、2Qに続き増収を達成した。
ゲルソンズの新規連結を除いたとしても、3Qは過去最高の売上、利益となった。
事業セグメント別の状況は以下の通りである。
国内ディスカウント事業
累計売上高 | 8,210億円 | (前年同期比4.6%増) |
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累計セグメント利益 | 233億円 | (同18.3%増) |
新店/業態転換による売上増加に加えて既存店も前年比100.9%と成長に貢献した。
PB強化や在庫回転率等の施策が奏功し、既存店の粗利率前年差は1Q▲0.7%=>2Q+0.1%=>3Q+0.5%と改善した。
PB売上はDS事業の3Q累計で前期比+199億円(PPIH全体では+229億円)と大きく伸長した。
特に粗利額は+81億円、(同+98億円)とグループ全体の粗利額成長を大きく牽引した。
オリジナリティあるヒット商品の開発や値ごろ感の向上、店舗内外のマーケティング施策による認知の拡大が奏功した。
在庫回転率の向上のために販売と仕入双方で商品ごとにメリハリをつけて在庫増加を抑制している。
3Q末時点で既存店の在庫金額を前年同期比102億円削減し、年間回転率を0.36pt改善した。
majicaアプリに関しては会員数が2022年3月末時点で916万人に到達した。
majicaアプリを通じて顧客の利便性やポイント/クーポンによるお得感向上を促し、顧客接点の強化、利用促進を図っているが、来期からはCRM施策を本格強化する予定である。
8月末には機能リニューアルを実施し、UI改善やギフトコード機能などの追加の予定である。
GMS事業
累計売上高 | 3,591億円 | (前年同期比4.1%減) |
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累計セグメント利益 | 170億円 | (同27.7%減) |
GMSは2Qまでは厳しい外部環境もあり苦戦していたが、3Qは粗利率向上施策が奏功し、既存店は売上、営業利益とも前期比でプラスに転じた。
GMS事業は大きな方向性としては個店経営、商圏対応した品揃え、小さな本社などを備えた新たなビジネスモデルを確立し、24年6月期にUDリテール(UNYとドン・キホーテのダブルネーム店舗) と合算で営業利益プラス200億円を達成することを目指している。
3Qでは、既存店売上も100.3%とプラス、また粗利率向上施策が奏功し今期初めて既存店の営業利益が前年比プラスを達成した。
海外事業
累計売上高 | 1,955億円 | (前年同期比77.6%増) |
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累計セグメント利益 | 129億円 | (同48.3%増) |
アジア事業の新規出店やゲルソンズの貢献に増収増益を継続した。
2Qに4店舗を新規出店したが、4Qも3店舗を出店予定である。
既存店の営業利益率は引き続き10%強を維持した。
海外事業は既存店でアジア、北米ともに粗利率が改善してきている。(前年同期比+1.3%)
PPIC(Pan Pacific International Club、日本の農畜水産物の輸出拡大に向けた生産者・関係団体とPPIHグループのパートナーシップ組織) の活動強化や、事業規模が大きく拡大している中で商品調達力や物流効率の改善が進んでいること、また海外でも PB、OEM 商品の取り扱いが強化されている。
北米事業はコストプッシュインフレの環境ではあるが、適切な価格政策で粗利率は2Qに引き続き3Qも前年同期比+0.6%を継続した。
金融事業の進捗状況であるが、6月から加盟店管理事業を開始予定で、外部に委託していた加盟店管理事業をUCSで開始する事で決済手数料の外部流出抑制を実現する。
22/6期は約1億円の貢献であるが、23/6期は通期で約13億円の貢献予定である。
23/6期下期よりクレジット即時発行機能によりアプリの決済機能の利便性を強化する予定である。
majicaのブランドプリペイドの外部利用による決済手数料収入や各種金融サービスによる収益も獲得予定である。
2022年6月期予想
通期の業績予想は従前予想を維持した。
売上高 | 1兆8,700億円 | (前期比9.4%増) |
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営業利益 | 850億円 | (同4.5%増) |
当期利益 | 576億円 | (同7.0%増) |
苦戦していたGMS事業であるが、粗利率向上施策が奏功し、既存店は売上、営業利益とも前期比でプラスに転じた。
4Q、来期以降は、各施策を軌道に乗せた上で、本社機能のスリム化、商品施策及び商品構成の抜本的な見直しなどによりさらなる収益拡大を図る予定である。
海外事業に関しては堅調であり、北米事業に関しては為替のメリットも上乗せされ、アジア域では新店オープン効果がかなり大きく、またPPICのバリューチェーンが拡大しており海外事業の収益性向上に大きく貢献している。
アナリストによる投資スタンス
5月10日の決算発表後は、決算内容はポジティブであったのに株価はダラダラと下落基調であった。
しかし、岸田首相が26日に外国人観光客の受け入れを6月10日から再開させる方針を正式に表明した事から27日の前場は株価が急騰し8%近く上昇した。
PPIHのアジアでの大成功は他社が真似する事は不可能であり、積極出店による中長期的な利益成長のストーリーは不変である。
現在の株価で予想PERは20.2倍、PBRは3.1倍、EV/EBITDAは13.7倍と成長企業としては割安な印象を受ける。
投資アイデア
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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