【PPIHの決算ポイント】
33期連続増収増益達成と同時に近年不振だったDS事業の大幅増益を達成!
株価 (2022/8/23) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,461円 | 1.4兆円 | 28.3% | 15.3% | 5.8% |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
28.9倍 | 25.8倍 | 3.7倍 | 0.73% | 14.3倍 |
PPIH:2022年6月期通期決算結果
売上高 | 1兆8,313億円 | 前期比7.2%増 |
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営業利益 | 887億円 | 同9.2%増 |
当期純利益 | 619億円 | 15.2%増 |
EPS | 102.64円 | |
一株当たり配当金 | 17円 |
33期連続増収増益を達成した。為替差益を154億円計上し経常利益は前期比23.3%増の1,004億円となった。今期は1Qの営業利益が前年同期比▲71億円、業績予想の進捗に対しても約30億円未達と厳しい状況からスタートしたが、四半期毎に巻き返して業績予想を達成、各事業も事業目標を達成した。4Qは売上、営業利益ともに4Qとして過去最高を達成した。世界中で進行するインフレで仕入価格が上昇したが、PB/OEM強化、3Qからスタートした在庫回転率の改善も奏功し、粗利益率が前4Q比+2.1%と大きく改善、販管費も同0.1%改善した事等が寄与した。また金融事業は6月より加盟店事業がスタートし約1億円のコスト削減効果を実現した。
事業セグメント別の状況は以下の通りである。
【国内ディスカウント事業】
売上高 | 1兆975億円 | 前期比4.3%増 |
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営業利益 | 362億円 | 同60.9%増 |
1Qは厳しい結果であったが、通期で大幅増益を達成した。PB/OEM強化やプライシング精度向上が奏功し既存店利益率は前期比+0.5%を達成した。既存店の営業利益も+87億円となりDS事業の増益に貢献した。4QではGWの人流回復や早期の梅雨明けによる季節品の好調もあり前4Q比で+1.8%まで伸長した。課題だった在庫回転率も3Qから強化し4Qで更に改善した。既存店の期末在庫金額は前期比▲152億円と大幅減であった。売上は新店19店舗や業態転換3店舗に加えて既存店昨対も+1.1%となった事で増収達成した。4Q既存店売上はまん延防止等特別措置法の解除や早期梅雨明けもあり+1.8%と伸長した。特に駅前店舗が+10.3%、夜間帯が+14.4%と回復した。PB/OEMの売上構成比は通期14.2%(前期比+2.1%)まで向上した。粗利率改善効果は+0.49%となり期初目標の+0.4%を超過達成した。既存店在庫の年間回転率は前期比で0.59pt改善した。
majicaアプリに関しては会員数が2022年6月末時点で987万人、7月に1,000万人を到達した。今期は様々なCRMトライアル施策を実施したが、新規会員の稼働率向上のためにクーポンやポイント付与といった入会特典やレコメンドメッセージを送付し、期初想定の約2倍となる新規会員の稼働率を実現した。4Q注力施策として一定期間来店のない顧客に対してポイント付与やメルマガ配信を実施したところ配信会員の約2割弱が再来店した。
【GMS事業】
売上高 | 4,727億円 | 前期比4.0%減 |
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営業利益 | 255億円 | 同12%減 |
GMS事業は1Q~2Qは外部環境等から苦戦するも3Q~4Qは粗利率改善が奏功し営業利益は期初目標を超えての着地となった。売上は外食代替需要の反動減やUDリテールへの業態転換▲200億円で着地。既存店昨対は▲1.1%だった。業態転換効果はDS側の売上増とネットで+103億円だった。業態転換は通期で7店舗実施した。期初想定では残り1店舗で完了だったが、追加で3店舗の転換を実施した。既存店の粗利率は上期は前年割れであったが下期は改善した。特に4Qは高粗利カテゴリーである季節品の伸長もあり+1.7%と大きく改善し、営業利益の目標達成に貢献した。販管費率の対前年比も上期0.9%悪化、下期0.1%改善となった。
【海外事業】
売上高 | 2,673億円 | 前期比57.3%増 |
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営業利益 | 121億円 | 同13.1%増 |
コロナ禍においてもアジア事業の新規出店やアジア事業での新規出店やPPICを軸にした粗利率改善が奏功し増収増益を継続した。アジア事業は6か国11店舗の新規出店を進め大幅な増収を達成した。(売上は21/6期501億円=>22/6期690億円へ+189億円、37.7%の増加)PPICの取り組み拡大に加えPB商品の強化、コストインフレに対応したプライシング見直しもすすみ既存店粗利率は前期比+1.2%と向上した。既存店の営業利益率は引き続き10%超を継続すると共に収益機会創出のための物販飲食業も更に拡大した。(寿司、精米に続き和牛串等にも新たに着手した。)北米事業は期初想定よりコロナ影響が長期化したことでカリフォルニア店舗は外食代替需要を継続取り込みできた一方でハワイ店舗では観光需要回復の遅れでマイナス影響を受けた。またハワイ法人のシステム統合による一過性コストも発生し営業利益は前期比▲4億円で着地した。Gelson’sは新規連結により増収増益に大きく貢献した。4Q単独では外食代替需要の反動減で前4Q比で微増益の着地であった。(為替影響を除くとほぼ同程度)アジア域での新規出店はシンガポールで4店、香港で2店、タイで2店、台湾で1店、マレーシアで1店、マカオで1店であった。
PPIH:2023年6月期予想
2023年6月期の会社計画の業績予想は
売上高 | 1兆8,900億円 | 前期比3.2%増 |
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営業利益 | 940億円 | 同6.0%増 |
当期純利益 | 569億円 | 同8.1%減 |
EPS | 95.42円 | |
一株当たり年間配当金 | 18.00円 |
上記予想の前提として国内は新店9店舗/業態転換4店舗、海外は新店12店舗出店予定である。既存店昨対はDS事業は100.3%、GMS事業は100.3%を予想している。売上総利益率は前期比1.2pt改善の30.9%を想定している。PB/OEM売上構成比目標はDSでは16.8%(+2.6pt)、GMSでは20.1%(+2.1pt)、 設備投資は750億円を予定している。
アナリストによる投資判断
8月12日の決算後週末を挟んで15日は想定以上の好決算だった事を市場は評価しPPIH株は一時金曜日の終値比20%上昇と高騰したが、その後は売られて金曜日終値比11%高で引けた。DS事業に関しては4Qの早期梅雨明けにも助けられたが、在庫回転率の改善、PB/OEM強化によりセグメント利益が前期比60%増と大幅に増益した。決算発表と同時に中期経営計画を発表した。2025年6月期に売上高目標2兆円、営業利益目標1,200億円と発表したが、アジア事業での高い営業利益率、新店効果等の実績を考えると十分達成可能な数字であると考えている。現在の株価で予想PERは25.8倍、PBRは3.1倍、EV/EBITDAは13.7倍と成長企業としては割安な印象を受ける。
執筆日:2022年8月23日
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執筆者プロフィール
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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