株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
3,730円 | 2.22兆円 | 35.5% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
33.6倍 | 27.8倍 | 4.4倍 | 0.56% | 14.6倍 |
*株価は2024/5/13の終値。
PPIH:2024年6月3Q決算結果
売上高(累計) | 1兆5,674億円 | 前年同期比7.6%増 |
---|---|---|
営業利益 | 1,103億円 | 同34.9%増 |
四半期期純利益 | 721億円 | 同40.0%増 |
3Q単独の決算結果は
売上高 | 5,198億円 | 前年同期比8.6%増 |
---|---|---|
営業利益 | 348億円 | 同43.3%増 |
四半期純利益 | 239億円 | 同62.2%増 |
PPIHの2024年6月期3Q決算は3Q単独、累計共に売上、営業利益で過去最高を記録した。免税とPB/OEM戦略が功を奏し国内リテールが業績を牽引した。3Q累計の売上高は前年同期比7.6%増の1兆5,764億円、営業利益は同34.9%増の1,103億円、四半期純利益は同40%増の721億円であった。前期12か月の営業利益を9か月で上回った。売上総利益は前年同期比9.6%増の4,937億円となり、営業利益率は同1.4pt改善し、7.0%となった。
インフレに対応したコストパフォーマンスやメリハリのきいた商品開発によるMD戦略の奏功、免税売上の伸長及び外出・イベント需要を捉えたDS事業が全体を牽引した。売上総利益は国内、国外ともにPB/OEMの伸長に加え継続した在庫コントロールにより売上総利益率は前年同期比0.6pt増の31.5%となった。販管費は戦略的な投資は行いながらも売上の伸長と国内、国外での適正な人員配置の見直し等の販管費コントロールにより販管費率は前年同期比0.8pt改善の24.5%となった。
事業セグメント別の状況は以下の通りである。
【国内ディスカウント事業】
売上高 | 9,846億円 | 前年同期比12.2%増 |
---|---|---|
営業利益 | 657億円 | 同55%増 |
既存店売上は前年同期比110.5%と大きく伸長した。免税売上の伸長(既存店押し上げ効果+7.0%)に加えて非免税(同+3.5%)も好調を継続した。
majica会員は1.410万人を突破した。3Qのmajica会員売上は109.4%と伸長した。”マジ価格”等の会員施策によりmajicaアプリサービスの利用者が増加(会員売上比率が42.8%から45.0%へと上昇)、既存店会員客数が106.4%とmajicaサービス支持率が向上した。会員獲得が営業数値に貢献した。粗利率は前年同期比0.8pt改善の27.2%となった。PB/OEMは売上構成比18.8%(同+0.8%)と売上が拡大した事に加えて外出需要品やキャラクター商品などの非食品カテゴリー伸長が粗利率改善に寄与した。
新店や人材に対する成長投資は継続して実施も予算内でコントロールした。販管費率は売上の伸長や水光熱費の減少等により前3Q累計比▲1.0ptで着地した。
3Qに外見はMEGAドンキだが中身が大幅にアップデートされたほぼ新業態のMEGAドンキ成増店がオープンした。DS事業で生鮮強化の取り組みをしてきたが、GMS事業とのMD統合効果やUDリテールで培った経験により進化し、高品質でありながら価格優位性がある事で集客装置となっている。
免税売上は3Q累計813億円(前3Q累計比+603億円)、コロナ前の年間免税売上684億円を上回る。コロナ前と比べ来店国籍が変化した。中国の構成比が減少するもSNS販促強化やインフラ対応などを進めた事で韓国、台湾、米国など多くの国と地域からの来店顧客が増加し免税売上が伸長した。
【GMS事業】
売上高 | 3,502億円 | 前年同期比▲0.3% |
---|---|---|
営業利益 | 272億円 | 同32%増 |
本社統合と個店経営へのシフトが進み、直近3Q累計の営業利益率は7.8%と収益体質を改善した。本部機能の統合や生産性の改善により販管費をコントロールし、従来型GMS業態の高コスト構造を改善した。DS商流によるシナジーとPB/OEM強化により総利益は向上した。物価高のなか過度な値下げを控えた事で収益性が改善した一方、離反顧客対策は遅れ、客数は24年1月まで苦戦が続いた。品質、鮮度に加え価格優位性を周知するため、従来の販促企画に加え、「価格総選挙」を実施し、競合対抗を徹底した。
【海外事業】
売上高 | 2,465億円 | 前年同期比3%増 |
---|---|---|
営業利益 | 34億円 | 同▲42% |
海外事業は上期から大きな傾向変化はないものの、北米、アジアともに改善の兆しが見え始めている。
アジア事業は2Qで修正した通期業績見込みと比較し営業利益が上向きである。粗利率は37.4%(前3Q累計比+0.5%)とPB/OEMや直貿品の売上構成比が上昇した事で改善傾向にある。既存店の人件費調整や本社費の機能統合によりコントロールしているものの、新店9店舗の投資コストが影響し、販管費率は36.8%(同+2.9%)で着地した。
北米事業は強化カテゴリーのデリカや寿司、精肉の好調が継続した。独自商品の開発や定期的な商品入れ替えによる他社との差別化が顧客支持を広げた。粗利率は37.3%(同+0.3%)と、デリカや寿司といった高粗利率商品の伸長が寄与した。店舗人件費は適切に管理し、前年を下回るも新店コストやセントラルキッチン等成長投資が増加した事で販管費率は34.9%(同+1.5%)で着地した。
PPIH:2024年6月期予想
3決算を終え、今期二度目の業績上方修正をした。今期も最高益更新を予定している。
売上高 | 2兆860億円 | 前期比7.7%増 |
---|---|---|
営業利益 | 1,350億円 | 同28.3%増 |
当期純利益 | 765億円 | 同15.6%増 |
EPS | 134.06円 | |
一株当年間配当金 | 21.00円 |
アナリストによる投資判断
インバウンド客向けの免税売上、PB/OEM戦略が奏功し、ディスカウント事業のみならずGMS事業の営業利益も押し上げ14期連続最高益更新の予定である。中期経営計画の売上高2兆円、営業利益1,200億円は一年前倒しで今期達成する見込みである。小売りセクターのコア銘柄として安心して保有できる銘柄であると思っている。