【決算ポイント】好調なソフトウェア販売がハードウェア不足を補っており、業績の下振れリスクは低そう。
株価 (2022/11/8) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
6,225円 | 7.2兆円 | 78.3% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
15.29倍 | 21.39倍 | 3.56倍 | N/A | 10.3倍 |
*注:任天堂は2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1対10の株式分割を実行した。
任天堂:2023年3月期2Q決算結果
売上高 (累計) | 6,569億円 | 前年同期比5.2%増 |
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営業利益 | 2,203億円 | 同0.2%増 |
四半期純利益 | 2,304億円 | 同34.1%増 |
2Q単体の決算結果は
売上高 | 3,495億円 | 前年同期比15.9%増 |
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営業利益 | 1,187億円 | 同18.5%増 |
四半期純利益 | 1,116億円 | 同40.9%増 |
中間決算として最高益を更新した好決算であった。ハードウェアの販売台数は、半導体部品の不⾜の影響で前年同期と⽐較して減少したが、円安により売上高は前年同期比5.2%増となった。売上段階での為替の影響額は+647億円であった。販管費は、円安により、海外⼦会社で計上される広告宣伝費の増加、研究開発費や発送配達の増加等により同12.1%増となったが、営業利益は同ほぼフラットの0.2%となった。営業利益段階での為替の影響額は+270億円であった。営業利益率は同1.7pt低下し33.5%となった。しかし営業外収益で為替差益を上期累計で764億円、受取利息を79億円計上した事等から経常利益は同36.5%増加、四半期純利益も同34.1%増加となった。なお、2Qで円安が加速した為に2Q単体決算の増益幅の方が1Qより大きかった。期中の平均為替レートは、1USドル=144.61円、1ユーロ=141.70円だった。
売上高の内訳は
ゲーム専用機 (ハードウェア、ソフトウェア、アクセサリ) | 6,314億円 | 前年同期比5.7%%増 |
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モバイル・IP関連収入 (スマートデバイス向け課金収入、ロイヤルティ収入等) | 235億円 | 同▲7.5% |
その他 | 19億円 | 同51.6%増 |
地域別売上高比率は日本が24.1%、米大陸が43.5%、欧州が23.0%、その他地域が9.4%で、海外売上高比率は75.9%だった。
2023年3月期2Qの主なソフトウェア、ハードウェアの商品の販売本数は以下の通りである。
- 『スプラトゥーン3』 790万本(2022年9月8日発売)
- 『Nintendo Switch Sports』615万本(2022年4月29日発売)
- 『マリオストライカーズ バトルリーグ』217万本(2022年6月10日発売)
- 『星のカービィ ディスカバリー』261万本(2022年3月25日発売)
- 『マリオカート8 デラックス』307万本 (2017年発売、有料追加コンテンツ2022年8月5日発売)
- 2022年3月期2Qのソフトウェア売上本数 9,541万本(前年同期比1.6%増)
- Nintendo Switch 223万台 (同▲65.2%減)
- Nintendo Switch Lite 92万台(同▲49.5%)
- Nintendo Switch有機ELモデル 353万台 (同59倍)
- ミリオンセラータイトルは15本(自社11本)
任天堂:2023年3月期通期会社予想
半導体不足の状況は改善してはいるが、ハードウェアの通期販売台数を期初予想の2,100万台から1,900万台と9.5%下方修正した。ソフトウェアの通期販売本数は期初予想と変わらず2億1,000万本とした。通期業績予想に関しては為替を考慮して、売上、経常利益、当期利益をそれぞれ従前予想より3.1%、16.7%、17.6%上方修正し、営業利益は据え置いた。
売上高 | 1兆6,500億円 | 前期比▲2.7% |
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営業利益 | 5,000億円 | 同▲15.6% |
経常利益 | 5,600億円 | 同▲16.5% |
当期純利益 | 4,000億円 | 同▲16.3% |
EPS | 343.28円 | |
一株当たり配当金 | 中間配当630円、期末配当109円、計739円 | |
前提となる為替レート | 1USD=135円、1ユーロ=135円 |
為替による上方修正はあったものの、通期の業績は減収減益を会社は計画している。
ハードウェアの普及基盤を活かして、新作・定番タイトルの販売を伸ばす予定である。
アナリストによる投資判断
半導体の調達状況が2Qにもっと改善する事を期待していたが、蓋を開けてみれば改善しつつあるものの不足している事からハードウェアの通期販売台数を下方修正した。しかし、ソフトウェアが『スプラトゥーン3』 、『Nintendo Switch Sports』を中心として好調である事及び為替により業績の下振れリスクは低そうだと考えている。現在の株価で予想PERが21.39倍、PBRが3.56倍、EV/EBITDAが10.3倍と割高感はない。
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執筆者プロフィール
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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