【決算ポイント】通期予想の下方修正をしたが、下値は限定的?
株価 (2023/2/7) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
5,624円 | 6.5兆円 | 78.0% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
13.9倍 | 16.4倍 | 3.0倍 | 3.06 | 9.3倍 |
*注:任天堂は2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1対10の株式分割を実行した。
任天堂:2023年3月期3Q決算結果
売上高 (累計) | 1兆2,952億円 | 前年同期比▲1.9% |
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営業利益 | 4,105億円 | 同▲13.1% |
四半期純利益 | 3,462億円 | 同▲5.8% |
3Q単体の決算結果は
売上高 | 6,382億円 | 前年同期比▲8.3% |
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営業利益 | 1,902億円 | 同▲24.7% |
四半期純利益 | 1,158億円 | 同▲40.8% |
中間決算時には最高益を更新したが、一転して減収減益の決算となった。3Q累計の四半期純利益は前年同期比▲5.8%であったが、3Q単体では同▲40.8%と大幅な減益であった。年末商戦においてNintendo Switchハードウェアおよびソフトウェアの販売数が前年同期と比べて減少したことにより、売上高は同▲8.3%と減少した。
売上段階での為替の影響額は累計で+1,342億円であった。売上総利益は、売上高が減少したことにより同▲5.0%となり、売上総利益率は同1.7pt低下し、53.9%となったが、他モデルに比べて利益率の低いNintendo Switch(有機ELモデル)の販売割合が高くなったことや、部材コストの高騰・高止まりの影響を受け、前年同期を下回った。
販管費は、為替レートが円安に推移したことで、海外子会社で計上される費用が増加したほか、発送配達費や研究開発費が増加したことにより、同9.8%増となり、売上高に占める販管費の割合は、2.4ポイント増の22.2%となった。営業利益は、売上総利益が減少し、販管費が増加したため、同▲13.1%減となり営業利益率は▲4.1pt低下のの31.7%となった。
営業外で為替差益を289億円計上したものの累計の経常利益、四半期純利益ともに減益となった。
売上高の内訳は
ゲーム専用機 (ハードウェア、ソフトウェア、アクセサリ) | 1兆2,521億円 | 前年同期比▲2.0% |
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モバイル・IP関連収入 (スマートデバイス向け課金収入、ロイヤルティ収入等) | 389億円 | 同▲2.3% |
その他 | 41億円 | 同88.5%増 |
地域別売上高比率は日本が23.6%、米大陸が42.8%、欧州が24.9%、その他地域が8.7%で、海外売上高比率は76.4%だった。
2023年3月期3Qの主なソフトウェア、ハードウェアの商品の販売本数は以下の通りである。
- 『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』2,061万本
- 『スプラトゥーン3』 1,013万本
- 『Nintendo Switch Sports』861万
- 『マリオストライカーズ バトルリーグ』247万本
- 『星のカービィ ディスカバリー』347万本
- 『マリオカート8 デラックス』666万本
- 2022年3月期2Qのソフトウェア売上本数 1兆7,211万本(前年同期比▲4.0%)
- Nintendo Switch 522万台 (同▲55.7%)
- Nintendo Switch Lite 200万台(同▲37%)
- Nintendo Switch有機ELモデル 769万台(同92.5%増)
- ミリオンセラータイトルは27本(自社19本)
任天堂:2023年3月期通期会社予想
3Qまでの販売状況や今後の見通しを踏まえ、通期の販売予想を見直し、併せて為替の前提レートも一部見直したことなどにより、通期の業績予想を修正した。売上を3%、営業利益を4%、当期純利益を7.5%下方修正した。
売上高 | 1兆6,000億円 | 前期比▲5.6% |
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営業利益 | 4,800億円 | 同▲19.0% |
経常利益 | 5,200億円 | 同▲22.5% |
当期純利益 | 3,700億円 | 同▲22.5% |
EPS | 317.54円 | |
一株当たり配当金 | 中間配当630円、期末配当96円、計726円 | |
前提となる為替レート | 1USD=125円、1ユーロ=135円 |
通期の業績は元々減収減益を予想していたが、減益幅が大きくなり当期純利益は前年同期比▲22.5%の予定である。
アナリストによる投資判断
ホリデーシーズンにハード、ソフト共に前年比売上減少に加えて他モデルに比べて利益率の低いNintendo Switch(有機ELモデル)の販売割合が高くなった事で減益幅が中間決算時予想より大きくなった。しかし、バリュエーションは予想PER16.4倍、PBR3倍、EV/EBITDA9.3倍と既に割安であり、下値は限られるのではないと思われる。