執筆:西村 麻美

東京エレクトロンの株価情報


【銘柄注目ポイント!】

最高益を計上した前期に続き今期もSPEの需要拡大により最高益更新予定!!

株価
(2022/5/16)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
57,350円 8.9兆円 70.5% 37.2% 32.9%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
20.4倍 17.1倍 6.7倍 2.92% 12.0倍


2022年3月期通期決算

東京エレクトロンの2022年3月期通期決算の結果は

売上高2兆38億円(前期比43.2%増
営業利益5,993億円(同86.9%増
当期純利益4,371億円(同79.9%増

第4四半期単独の結果は

売上高5,648億円(前四半期比28.6%増
営業利益1,685億円(同52.8%増
四半期純利益1,268億円(同49.7%増

SPE(半導体製造装置)の需要の拡大に確実に対応した結果過去最高益を更新した好決算であった。
通期売上高は初の2兆円越えと過去最高を記録した。
売上総利益率は前期比5.1pt上昇の45.5%、営業利益率は同7.0pt上昇の29.9%、ROEは前期比10.7ptと大幅に上昇し37.2%となった。

4Q決算に関してはSPEの需要の急拡大により四半期売上として最高を記録した。
4Qの利益率が3Q比1.0pt低下したが、これは研究開発費の計上タイミングによるものである。


セグメント別では、SPEはロジック/ファウンドリ向け半導体に対する設備投資は、社会のデジタル化を背景に最先端から成熟世代まで幅広い世代における旺盛な投資を背景に売上が大きく伸長した。
主力装置におけるシェア上昇に加え、急速な需要拡大への対応が奏功し、すべての製品において売上は前期比増加した。

DRAMに関しては、顧客の設備投資の回復に加え、新たに獲得したPOR(Process of record、顧客の半導体製造プロセスにおける装置採用の認定)が売上貢献した。
その結果、セグメント売上高は、1兆9,438億円(前期比47.8%増)、セグメント利益は6,674億円(同84.1%増)、セグメント利益率は34.3%(同6.7pt上昇)となった。


フィールドソリューション事業のセグメント売上高は前期比25.8%増の4,559億円であった。

内訳は中古装置・改造は同37.3%の1,563億円、パーツ、サービス売上は同20.6%増の2,996億円であった。
パーツ・サービス売上は前期に引き続き堅調だった。

旺盛な成熟世代向けの需要に牽引され、改造売上も大幅に増加した。


FPDはテレビ用大型液晶パネル向け設備投資が一巡したことにより、FPD TFTアレイ向け製造装置市場全体としては減速傾向となった。

一方、中小型有機ELパネル向け設備投資については、最終製品に搭載されるディスプレイが液晶から有機ELへと転換される事に伴う投資が継続した。
セグメント売上高は、598億円(前期比28.6%減)、セグメント利益は38億円(同56.8%減)、セグメント利益率は6.5%(同4.0pt低下)となった。


将来の成長を見据えて、過去最大となる1,582億円の研究開発投資、572億円の設備投資を実施した。


2022年5月時点の2022年の事業環境に関する見方は、半導体前工程製造装置(WFE)市場は前年比2割程度の成長を見込む。
社会のデジタルシフトの進展による、先端から成熟にかけた幅広い世代のロジックやメモリ需要の拡がりが市場成長を牽引すると考えている。
FPD製造装置市場(TFTアレイ工程向け)は前年比微増を見込む。

車載など新たなアプリケーションやモバイルの新技術採用に伴う投資が増加すると予想。
LCDからOLEDへの移行は小型パネルから進行しており、今後は大型パネルへの展開も期待している。


2023年3月期予想

売上高2兆3,500億円(前期比17.3%増
営業利益7,160億円(同19.5%増
当期利益5,230億円(同19.7%増
一株当たり配当金1,678円(中間751円、期末927円

過去最高の売上高、利益を見込んでいる。
SPEとFPDの売上高の内訳はSPEが2兆2,950億円、FPDが550億円を予定している。


アプリケーション別ではロジック/ファウンドリ向けは、情報通信技術の推進に伴うアプリケーションの拡大により、積極的な投資が一層進み、市場成長を牽引すると見ており、売上は前期比25%程度増加すると考えている。
DRAM売上は、前期比15%程度増加とみている。

5Gモバイルの普及、データセンターの需要の増加、DDR5の進展により高水準の投資を見込んでいる。
不揮発性メモリは前期比10%程度増と考えている。
SSDの採用の進捗と搭載容量の増加により、堅調な投資が継続するとみている。


拡大する市場と多様化する最新技術ニーズを見据え、研究開発、設備投資を加速する。
今期の研究開発費は前期比20.1%増の1,900億円で注力分野および持続的成長を見据えた投資の予定である。
設備投資は同31.1%増の750億円で先端技術開発・増産対応への積極的な投資の予定である。

減価償却費は同25.3%増の460億円を予定している。
コータ/デベロッパ、サーフェスプレパレーションの開発棟を熊本県合志市に建設予定で費用は300億円を予定している。
エッチング装置の開発棟を宮城県黒川郡に建設予定で費用は470億円を予定している。


投資判断

3Qの決算発表時に若干トーンダウンしたような印象を受けたが、蓋を開けてみると絶好調の決算であった。

中期経営計画で目標としていた売上高2兆円、ROE30%以上を2年前倒しで達成した。 好決算を受けて決算発表翌日(2022/5/13)の株価は前日比5.5%高となりその後も株価は上昇基調である。

今期も最高益更新を予定しているが株価バリュエーションは予想PERが17.1倍、PBRが6.7倍、EV/EBITDAが12.0倍である。
今期も半導体需要が拡大し続ける事、また次世代半導体のEUV向けコータ/デベロッパの量産機においてシェア100%を有している事を考えると割安であると考える。

米国で大幅な利上げ観測が後退し、ハイテク株が上昇しているが、東京エレクトロンのPER20倍割れは絶好の買い場であると考える。


投資アイデア

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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