【決算ポイント】赤字転落は一時的であり、中長期的な成長ストーリーは不変
株価 (2022/11/7) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
4,950円 | 6,059億円 | 13.1% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
12.02倍 | 30.26倍 | 0.89倍 | 2.89% | 16.6倍 |
東京センチュリー(TC):2023年3月期2Q決算結果
売上高(累計) | 6,265億円 | 前年同期比1.2%増 |
---|---|---|
営業利益 | 494億円 | 同▲0.9% |
四半期純損益 | ▲63億円 | 赤字転落 |
2Q単体の決算結果は
売上高 | 3,113億円 | 前年同期比▲0.4% |
---|---|---|
営業利益 | 224億円 | 同4%増 |
四半期純損益 | 132億円 | 同▲9.8% |
1QでACG(Aviation Capital Group)のロシアの航空会社向け機体の現存損失を444億円計上し、2Qでも26億円計上した事から上半期は売上高は赤字決算となったが、2Q単体決算では売上は前年同期比ほぼフラットだったが営業利益は同4%増、四半期純損益は同▲9.8%の132億円を計上した。上半期の経常利益は国際事業分野の損失を他の事業分野がカバーし、12億円の増益であった。
上半期の事業セグメント別の経常利益およびROAは
国内リース事業分野 | 経常利益 173億円 | 前年同期比10億円増 |
---|---|---|
ROA 2.6% | 同0.4pt増 | |
国内オート事業分野 | 経常利益 160億円 | 同70億円増 |
ROA 5.3% | 同2.3pt増 | |
スペシャルティ事業分野 | 経常利益 370億円 | 同98億円増 |
ROA 2.9% | 同0.5pt増 | |
国際事業分野 | 経常利益 ▲77億円 | 同▲154億円減 |
ROA N/A | N/A |
国際事業分野のアジアにおいて営業投資有価証券の評価損176億円があったものの、他の事業収益は堅調に推移した。
事業分野ごとの概況は以下の通りであった。
【国内リース事業分野】
売上高は前年同期比170億円(6.6%)減少し2,410億円、セグメント利益は10億円(6.0%)増加し173億円となった。主な増益要因は、関連会社のNTT・TCリース株式会社及び日通リース&ファイナンス株式会社の持分法投資利益の増加であった。
【国内オート事業分野】
売上高は前年同期比83億円(4.9%)増加し1,770億円、セグメント利益は70億円(78.4%)増加し160億円となった。主な増益要因は、レンタカー事業における売上高回復による収益改善に加え、中古車マーケット情勢に機動的に対応したことによるリース・レンタル車両の売却益の増加であった。NCS(日本カーソリューションズ)、NRS(ニッポンレンタカー)ともに2Qの最高益を更新した。
【スペシャルティ事業分野】
売上高は前年同期比11億円(0.8%)増加し1,416億円、セグメント利益は98億円(36.2%)増加し370億円となった。主な増益要因は、営業投資有価証券の売却益の増加に加え、航空機事業における減損損失の減少、持分法適用関連会社の売船収益増加等であった。航空マーケットは、回復途上であり、ACG本来の収益水準には戻っていないものの、通常の減損計上(ロシア関連は特別損失に計上)が減少したことなどにより増益した。
【国際事業分野】
売上高は前年同期比152億円(29.7%)増加し663億円、セグメント損失は77億円(前年同期比154億円の利益減少)となった。アジアでは営業投資有価証券の評価損176億円(2銘柄)の計上した。一方米州、欧州ではCSIのFMVリースに係る物件売却収益などが堅調に推移し、増益であった。
東京センチュリー:2023年3月期予想
通期の業績の計画は従前予想を維持した。
経常利益 | 1,000億円 | 前期比10.5%増 |
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当期利益 | 200億円 | 同▲60.2% |
EPS | 163.66円 |
アナリストによる投資判断
ACGのロシア関連の特別損失は一過性の事であり、アフターコロナ需要を見据えたエアラインによる機体調達の動きが活発化しておりACGの業績は回復基調にある。また船舶リースの利益も大きく伸びている。オート事業分野では中古車市場が高騰している中で車両売却により利益の最大化しており好調である。NTTグループ、三菱地所、アドバンテッジパートナーズなど、有力パートナーとの協業を着実に拡大しており、中長期的な利益成長のストーリーは不変である。現在の株価で予想PERが30.26倍、PBRが0.89倍、EV/EBITDAが16.6倍とPERベースで若干割高な印象があるが、特損により通期減益予想のためにEPSが下がり予想PERが高く見えるだけである。
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執筆者プロフィール
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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