株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
1,492.5円 | 7,308億円 | 13.5% | 8.8% | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
10.1倍 | 9.1倍 | 0.8倍 | 3.88% | N/A |
*株価は2024/5/14の終値。また、東京センチュリーは2024年1月1日付けで一対四の株式分割を行った。
東京センチュリー(TC):2024年3月期通期決算結果
売上高 | 1兆3,461億円 | 前期比1.6%増 |
---|---|---|
営業利益 | 1,042億円 | 同14.3%増 |
当期純利益 | 721億円 | 同15倍増 |
4Q単独の決算結果は
売上高 | 3,428億円 | 前年同期比▲6.5% |
---|---|---|
営業利益 | 224億円 | 同1.2%増 |
四半期純利益 | 151億円 | 同1%増 |
東京センチュリーの2024年3月期通期の売上高は前期比1.6%増の1兆3,461億円、営業利益は同14.3%増の1,042億円、当期純利益は同15倍増の721億円と過去最高益を更新した。好業績により2024年3月期の配当は当初計画比2円増配の年間配当金1株当たり52円となった。全事業にて増益を達成し、中期経営計画2027初年度として順調な滑り出しとなった。ROAは同1.2pt上昇の1.2%、ROEは同8.1pt上昇の8.8%となった。
NTTグループとの協業が深化、NCS、NTT、TCリースは過去最高益を更新し、米国においてAIによる市場拡大が期待できるデータセンター事業の協業を拡大した。
事業セグメント別の純利益およびROAは
国内リース事業分野 | 純利益 242億円 | 前期比5.7億円増 |
---|---|---|
ROA 1.9% | 同0.2pt増 | |
オートモビリティ事業分野 | 純利益 167億円 | 同45億円増 |
ROA 3.1% | 同1.1pt増 | |
スペシャルティ事業分野 | 純利益 300億円 | 同491億円増(前期は▲191億円) |
ROA 1.1% | N/A | |
国際事業分野 | 純利益 110億円 | 同169億円増(前期は▲59億円) |
ROA 1.5% | N/A | |
環境インフラ事業分野 | 純利益 19億円 | 同17億円増 |
ROA 0.7% | 同0.6pt増 | |
その他 | 純損益▲115億円 | 赤字拡大(前期は▲54億円) |
ROA N/A | N/A |
全事業セグメントで増益を達成したが、その他に関しては赤字が拡大した。
事業分野ごとの概況は以下の通りであった。
【国内リース事業分野】
売上高は前期比▲5%の4,590億円、セグメント利益は同6%増の242億円となった。NTT・TCリースなど関係会社の利益伸長により増益を達成した。子会社であったOBLの持分法適用関連会社化や資産効率を重視した。ポートフォリオ運営の推進によりROAは改善傾向にある。セグメント資産残高は同▲1%の1兆2,735億円となった。
ふくおかファイナンシャルグループ(8354、FFG)の連結子会社であるFFGリースの第三者割当増資をTCが引き受ける事でFFGリースを持分法適用関連会社とした。
TCの連結子会社のTRYは、同じく連結子会社で米国でIT機器リースを手掛けるCSI Leasingより20%の出資を受け「EPCジャパン株式会社」と社名変更し、ITADサービスの提供を開始した。ITADサービスとは、IT資産を厳格かつ適正に処分するサービスを指し、ガバナンス・コンプライアンスを重視する企業にとって事業運営上欠かせない重要な分野として位置づけられている。
【オートモビリティ事業分野】
売上高は前期比▲5%の3,381億円、セグメント利益は同37%増の167億円であった。主な増益要因は、レンタカー事業における高効率運営推進による利益率の大幅な改善及びリース・レンタル車両の売却益の増加であった。セグメント資産残高は同▲22%の4,790億円となった。資産減少要因は、連結子会社であった株式会社オリコオートリースの持分法適用関連会社への変更である。
ニッポンレンタカーサービス(NRS)では高効率運営推進による利益率の大幅改善に加え、車両売却益増加により過去最高益を更新した。また、2025年度までに全店舗の3分の1に当たる約200店舗のリニューアルを計画・実施する予定で収益性のさらなる改善を図る。
【スペシャルティ事業分野】
売上高は前期比7%増の3,124億円、セグメント利益は黒字転換し、300億円(前年同期はロシア関連の航空機減損損失計上を主因にセグメント損失191億円)となった。セグメント資産残高は為替変動を主因に前期末比13%増加し2兆8,253億円となった。
ACG(Aviation Capital Group)の当期純利益は黒字転換し1億5,300万USDとなった。(TCへは150億円と計上)金利上昇の影響を受けるも、オペリ売上・機体売却益の大幅な回復などにより増収増益を達成した。ACGは好調であったが、船舶、不動産は減益。また事業投資等も営業投資有価証券の売却益減少などにより減益となった。
【国際事業分野】
売上高は前期比22%増の1,776億円、セグメント利益は黒字転換し、110億円となった(前期は連結子会社が保有する営業投資有価証券の評価損計上を主因にセグメント損失59億円)となった。セグメント資産残高は為替変動を主因に同25%増の8,227億円となった。
アジアでは前年同期に計上した営業投資有価証券の評価損剥落などにより23億円の黒字であった。(前同期は▲133億円)北米・欧州は同14%増の145億円であった。
CSIの業績は現地通貨ベースでは横ばいであったが為替の影響により増益となり同8%増の115億円であった。
【環境インフラ事業】
売上高は前期比16%増の597億円、セグメント利益は同8.5倍増の19億円となった。主な増益要因は、前期計上の貸倒費用および試運転費用剥落などにより増益。セグメント資産残高は同▲1%の2,739億円となった。周南パワーのバイオマス混焼発電所は、2022年9月より商業運転を開始した。
東京センチュリー:2025年3月期予想
経常利益 | 1,250億円 | 前期比6.6%増 |
---|---|---|
当期利益 | 800億円 | 同10.9%増 |
EPS | 163.38円 | |
一株当たり配当金 | 58円(中間配当29円、期末配当29円) |
会社計画では今期も最高益を更新の予定である。
アナリストによる投資判断
ロシア関連の損失から回復し、再び成長軌道に戻り最高益を更新した決算であった。決算発表と同時に中期経営計画を発表した。2027年に当期純利益1,000億円、ROA1.4%、ROE10%の目標であるが、NTTとの協業で米国でAIデータセンター運営、三菱地所との協業で国内でホテル建設、米国でAIデータセンター運営等と成長率の高い事業ポートフォリオを運営しており中期経営計画は高い確率で達成すると思われる。予想PERはまだ10倍を割っており、PBRも1倍割れであるが、中長期的な成長ポテンシャルからもっと評価されても良いのではと考えている。