株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
3,238円 | 8,913億円 | 4.5% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り** | EV/EBITDA |
24.5倍 | N/A | 0.81倍 | N/A | N/A |
:株価は2023/11/14の場中の株価。**2024年3月期の配当額は中間配当を一株当30円と発表した。期末配当は未定である。
SBIホールディングス:2024年3月期2Q決算結果
収益 (累計) | 5,758億円 | 前年同期比28.3%増 |
---|---|---|
税引前利益 | 702億円 | 同31.8%増 |
四半期純利益 | 371億円 | 同360.8%増 |
2Q単独の決算結果は
収益 | 2,725億円 | 前年同期比9.2%増 |
---|---|---|
税引前利益 | 272億円 | 同▲6.6% |
四半期純利益 | 126億円 | 同21.8%増 |
上半期収益として過去最高を更新した好決算であった。収益は前年同期比28.3%増の5,758億円であった。金融サービスの収益が大幅に伸長した事が主な要因であった。税引前利益は同31.8%増の702億円であった。このうち金融サービス事業の税引前利益は同0.9%増の709億円であった。SBI貯蓄銀行が前年同期と比較し利息マージンの減少や貸倒償却負担増加の影響を受け減益となったものの、活況な株式市場を背景にSBI証券を中心とする証券事業の伸長等によりこれをカバーした。暗号資産事業は、暗号資産市場の低迷や一部取引先の破綻等により前年同期に128億円の税引前損失を計上したが、今上半期は7億円の黒字に改善した。親会社所有者に帰属する四半期利益は同360.8%増の371億円と大幅増益となった。(前年同期は、直接投資先の公正価値評価損や当社出資比率が高い暗号資産事業子会社における損失が大きかったことが主因となり80億円であった。)
セグメント別業績の内訳は
セグメント名 | 収益 | 前年同期比 | 税引前利益 | 前年同期比 |
---|---|---|---|---|
金融サービス事業 (証券、保険、銀行等) | 4,878億円 | 28%増 | 709億円 | 0.9%増 |
資産運用事業 | 141億円 | 68.2%増 | 22億円 | 59.8%増 |
投資事業(PE投資等) | 567億円 | 89.8%増 | 104億円 | 117.2%増 |
暗号資産事業 | 161億円 | ▲21.8% | 7億円 | 黒字転換 |
次世代事業* | 122億円 | ▲15.2% | ▲24億円 | 赤字転落 |
*2Qより非金融事業は次世代事業に名称を変更した。当セグメントはバイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業やWeb3関連事業が中心である。
証券事業
証券事業はSBI証券、SBIリクイディティ・マーケット、SBI FXトレード、SBIマネープラザ、PTS運営各社、海外証券各社等から構成される。
SBI証券は2024年3月期上半期連結業績(J-GAAP)は、活況な株式市場を背景に、営業収益は1,020億円(前年同期比26.3%増)、営業利益は370億円(前年同期比40.6%増)となりいずれも過去最高を記録した。SBI証券は2023年9月30日発注分より日本で初となる、「ゼロ革命」(オンラインでの国内株式売買手数料の無料化)を遂行している。
FX事業の主要会社であるSBIリクイディティ・マーケットでは、市場全体の売買高が前年同期比で低下したものの、スワップ収益や法人向けビジネスによる収益が大幅に伸長した。これにより、上半期としては過去最高の営業収益の162億円を達成した。
タイのインターネット専業証券会社のSBI Thai Onlie Securitiesは 在タイ邦人を含む現地の投資家に株式取引やデリバティブ取引を提供しているが、2024年3月期上半期は、口座数は堅調に増加したものの、証券市場全体の取引縮小に伴う委託手数料収入の減少により、税引前利益は前年同期比で▲65.6%減益の7,130万円となった。
カンボジアにおける唯一の総合証券会社のRoyal Securities(SBI出資比率65.3%)はIPOや社債引受実績などにおいて、業界のリーディングファームの位置づけであり2023年6月には上場企業で最大の時価総額となった現地大手通信企業(CAMGSM社:ブランド名Cellcard)の
IPO主幹事を務める等業績を伸ばし、税引前利益は前年同期比21.1%増の3,610万円であった。
銀行事業
銀行事業の構成企業はSBI新生銀行グループ、住信SBIネット銀行、アルヒ、SBI貯蓄銀行を含む海外銀行各社である。
SBI新生銀行は、法人業務での貸出残高増加による金利収益や市場性運用における株価上昇に伴う私募投信の配当益の計上等を背景に、親会社株主に帰属する当期利益(J-GAAP)は約261億円であった。SBIホールディングスにおけるIFRS取り込みベースの税引前利益は約199億円となった。
住信SBIネット銀行については、2023年3月の東証スタンダード市場への新規上場時に持分の一部を売却し所有比率が減少したものの、住宅ローン事業の堅調な拡大等に伴い、SBIホールディングスにおけるIFRS取り込みベースの持分法による投資利益は16億円となった。
韓国のSBI貯蓄銀行は、基礎的収支は堅調に推移したものの、引き続き韓国国内の景況悪化に伴う信用悪化と延滞増加による貸出償却負担の増加などが影響し、税引前利益(IFRS)は前年同期比▲71.4%の42億円となった。慎重な貸出方針による危険資産の減少により自己資本比率は2023年3月末の13.4%から14.5%(9月末時点)に改善した。韓国の信用格付機関「NICE信用評価」及び「韓国信用評価」より、事業基盤や財務の安定性等を評価され、4月に引き続いて「A(安定的)」の格付を取得(2023年9月)した。
保険事業
保険事業の構成企業はSBIインシュアランスグループ、SBI損害保険、SBI生命保険、少額短期保険各社である。
SBIインシュアランスグループの2024年3月期上半期の連結業績(J-GAAP)は、グループ全体の保有契約件数の堅調な増加により、経常収益は前年同期比9.6%増の525億円となった。収入保険料の増収が寄与し、経常利益は同16.8%増の48.5億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同11.6%増の16.7億円を計上した。SBIインシュアランスグループの保有契約合計数の2016年3月末~2023年9月末の年平均成長率(CAGR)は14.1%である。
資産運用事業
資産運用事業の構成企業はSBIグローバルアセットマネジメント(SBIGAM)、SBIアセットマネジメント(SBIGAM子会社)、ウエルスアドバイザー(SBIGAM子会社)、レオス・キャピタルワークス、SBI岡三アセットマネジメントである。
資産運用事業は、2022年11月にSBIグループ入りしたSBI岡三アセットマネジメントの業績の寄与もあり、上半期の収益は前年同期比68.2%増の141億円、税引前利益は同59.8%増の22億円であった。レオス・キャピタルワークスは、2024年4月より「SBIレオスひふみ株式会社」を完全
親会社とした持株会社体制へ移行予定である。
SBIグローバルアセットマネジメントグループの運用資産残高は5兆円を突破、うち、地域金融機関を中心とした機関投資家からの運用受託額は2兆3,500億円(2023年9月末現在)であった。SBIグループの運用資産残高はオーガニックグロースとM&Aにより持続的に拡大し8.5兆円であった。(2023年9月末現在)
投資事業
投資事業はプライベート・エクイティ事業とSBIリーシング事業から構成される。
世界景気の不透明感が強まったことなどから、特に海外においてベンチャー企業の資金調達環境は引き続き厳しさが見られる中、SBIの投資事業は前年同期比で増収増益を達成した。上半期の収益は前年同期比89.8%増の567億円、税引前利益は同117.2%増の104億円となった。
上半期の投資事業における公正価値評価の変動による損益及び売却損益は前年同期比126.9%増の151億円であった。前年同期はベトナム上場銘柄であるTPBank等の一部海外上場銘柄の株価下落に伴い約314億円の公正価値評価損を計上した。(TPBankは、2023年2月からSBIの持分法適用関連会社で金融サービス事業に分類されている。
2023年4月から11月初旬までのSBI投資先のIPO・M&Aの実績数は12件であり、今期通期は前期比+2件の24件の予定である。
SBIの投資事業の運用資産残高は(2023年9月末時点)プライベートエクイティ等に7,869億円、投資信託等に7兆6,955億円である。
暗号資産事業
暗号資産事業はSBI VC トレード、ビットポイントジャパン、 B2C2、暗号資産マイニング事業、HashHub(2023年4月よりグループ入り)から構成される。
前年同期は、B2C2や暗号資産マイニング事業において一部取引先の破綻等に伴う一時的な損失計上を行ったが、今上半期は暗号資産市況が比較的安定して推移していることもあり、セグメントの税引前利益は黒字を確保した。上半期の暗号資産事業の収益は前年同期比▲21.8%の161億円、税引前利益は7億円であった。
次世代事業
次世代事業はバイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業、Web3を含むその他の事業である。
次世代事業の上半期の収益は前年同期比▲15.2%の122億円、税引前利益は▲24億円と赤字に転落した。Web3・デジタルアセット等の先端技術領域において、グローバルでの事業展開に向けた体制整備の順調な進展に伴い先行投資が増加した事が赤字転落の主な要因であった。バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業では、SBIファーマにおける赤字幅の縮小等が貢献し、5-ALA関連事業は増益となった。
SBIホールディングス:2024年3月期予想
業績予想は、投資・証券関連事業は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいため、SBIは業績予想の開示は行っていない。
アナリストによる投資判断
上半期として過去最高の収益を達成し、四半期純利益は前年同期比4.6倍増の好決算であった。次世代事業以外前年同期比増益を達成し好調であった。SBI証券は9月末からオンラインでの国内株式売買手数料の無料化をスタートさせており、さらにシェア拡大を狙っている。SBIの事業展開のスタンスは様々な企業と協業関係を結び積極的なM&Aで拡大するというやり方であるが、よりリスクを抑えた手法であり先行き不透明感の強まった環境でも殆どの事業で利益を出す事ができるという事はもう少し評価されても良いのではと思う。