株価 (2023/5/19) | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
2,860.5* | 5.69兆円 | 13.1% | 9.8% | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
15.3倍 | 10.7倍 | 1.54倍 | 3.50% | N/A |
*2022年10月1日を効力発生日として1対3の株式分割を行った。
東京海上ホールディングス:2023年3月期3Q決算結果
経常収益 | 6兆6,486億円 | 前期比13.4%増 |
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経常利益 | 5,039億円 | 同▲11.2% |
当期純利益 | 3,764億円 | 同▲10.5% |
増収減益の決算であった。国内の火災保険の増収、海外のレートアップや引受拡大により増収を確保し、コロナ保険金、自然災害の保険金支払い増により減益となった決算であった。
各事業の事業別利益(累計)は
TMNF(東京海上日動火災保険) | 1,094億円 | 前期比▲46.3% |
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AL(東京海上日動あんしん生命保険) | 364億円 | 同▲28.7% |
海外保険事業 | 2,186億円 | 同▲13.4% |
海外保険事業は総事業別利益の約60%を占めた。
事業別概況
【TMNF(国内損保)】
火災保険の料率改定や契約増により増収となり、海上保険、傷害保険も前年同期比二桁増と好調であった。一方、自動車保険、自賠責保険保険はともに料率改定により若干の減収であった。全体では通期で前期比5.0%の増収であった。発生保険金は国内⾃然災害(▲243億円)やコロナ保険⾦(▲61億円)、海上・⾃動⾞の発生保険⾦の下振れに加え、 円⾼に伴う外貨建⽀払備⾦積増の減少(▲201億円)等により、▲704億円となる1兆3,637億円で着地した。前年度対比では、増収効果に加え、国内⾃然災害(+525億円)、コロナ保険⾦(+312億円)の増加、⾃動⾞のコロナ反動、南アフリカ洪水(+約50億円)、大口事故の増加等により、+1,700億円の増加(前期比14.2%増)となった。
E/I損害率は、トップラインの増収によって事業費率が低下したものの、国内⾃然災害の増加等に伴いE/I損害率が上昇し、結果としてコンバインド・レシオは同5.2pt上昇の95.8%となった。
資産運用等損益は11⽉予想時点からの円高進⾏・内外⾦利差縮⼩により、為替差益が減少した一方、⾦融派生商品費用(含むヘッジコスト)の減少がこれを上回った。加えて有価証券売却益も上振れたことにより、予想を上回り719億円で着地した。
【AL(国内生保)】
新契約年換算保険料は、予想を若干下回り前期比2.9%増の534億円であった。事業別利益は、コロナ以外の保険⾦⽀払の下振れや、為替の影響等により、11月公表対比+94億円の364億円(前期比▲28.7%)であった。
【海外保険】
海外保険事業は正味収入保険料がレートアップや引き受け拡大により全地域とも好調で前期比+29.8%(除く為替、+14.1%)の2兆5,704億円であった。
北⽶
PHLY : 好調なレートアップを継続(2022年度実績: +9%)していることに加え、更新率も良好に推移し同24.2%増の4,918億円となった。
DFG : 好調なエクセス労災や就業不能保障保険に加え、ボルトオン買収したSSL社の引受も計画対⽐で順調に進捗し同31.7%増の4,373億円となった。
TMHCC : 好調なレートアップ(2022年度実績: +6%(A&H・Surety・Creditを除く))と引受拡大により増収となり同25.8%増の7,071億円となった。
欧州
不採算種目の引受厳格化等の収益改善策を継続している一方で、プロパティを中⼼としたレートアップにより増収し、同23.7%増の1,693億円となった。
中南⽶
引受規律を堅持する中で、インフレ等によるロスコスト上昇に対応した⼤幅なレートアップと、保有契約件数拡⼤の両⽴等により増収となり同79%増の2,306億円となった。
アジア・オセアニア
経済活動再開等により、自動⾞保険を中⼼に増収となり同24.4%増の2,441億円となった。
Pure : 堅調な増収で同88.4%増の226億円となった。
東京海上HLD:2024年3月期予想
経常利益 | 7,500億円 | 前期比48.8%増 |
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当期利益 | 5,300億円 | 同40.8%増 |
EPS | 266.18円 | |
一株当たり配当金 | 121円(中間配当60.5円、期末配当60.5円) |
会社計画の今期通期業績予想は2期ぶりに最高益を更新する予定である。
アナリストによる投資判断
2023年3月期はコロナ保険金、自然災害の保険金支払いが大きく膨らみ上半期は赤字に転落したが、下期に大きく業績回復し大幅な減益を回避した。既に東京海上は海外保険事業からの利益貢献が約二倍とグローバルな保険グループという位置づけであり、中長期的な優位性は不変である。今期EPS予想で10.7倍と割安である。