株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
148.8円 | 12.51兆円 | 33.2% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
9.9倍 | 11.4倍 | 1.3倍 | 3.49% | N/A |
*株価は2024/8/7の終値。
NTTグループ:2025年3月期1Q決算結果
営業収益 | 3兆2,400億円 | 前年同期比4.1%増 |
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営業利益 | 4,358億円 | 同▲8.2% |
四半期純利益 | 2,741億円 | 同▲27% |
NTTの2025年3月期1Qの決算は営業収益は過去最高の前年同期比4.1%増の3兆2,400億円となった。地域通信事業セグメントで不要な資産の撤去、また総合ICTセグメントでNTTドコモの顧客基盤強化の投資増加等により営業利益は同8.2%減少の4,358億円となった。営業外で金融収益の減少、金融費用の増加等により四半期純利益は同27%減の2,741億円となった。営業利益率は同1.8pt低下の13.5%となった。
営業利益ベースの各事業セグメントの貢献内訳は
総合ICT事業 | ▲173億円 |
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地域通信事業 | ▲199億円 |
グローバル・ソリューション事業 | 3億円 |
その他(不動産、エネルギー等) | 26億円 |
セグメント間取引消去 | ▲46億円 |
グローバル・ソリューション事業、その他(不動産、エネルギー等)のみ増益貢献であった。
ドコモの決算結果は
営業収益 | 1兆4,769億円 | 前期比1.3%増 |
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営業利益 | 2,754億円 | 同▲5.9% |
EBITDA | 4,550億円 | 同▲3.1% |
四半期純利益 | 1,949億円 | 同▲5.1% |
設備投資 | 1,200億円 | 同▲1.1% |
ドコモの事業別決算結果は
コンシューマー | 営業収益 | 1兆989億円 | 前年同期比2.5%増 |
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スマートライフ | 2,886億円 | 同12.3% | |
コンシューマー通信 | 8,197億円 | 同▲0.7% | |
営業利益 | 2,067億円 | 同▲6.8% | |
スマートライフ | 623億円 | 同25.4%増 | |
コンシューマー通信 | 1,444億円 | 同▲16.1% | |
EBITDA | 3,479億円 | 同▲3.9% | |
スマートライフ | 775億円 | 同26.5%増 | |
コンシューマー通信 | 2,704億円 | 同▲10.1% | |
法人 | 営業収益 | 4,303億円 | 同▲1.7% |
営業利益 | 687億円 | 同▲3.2% | |
EBITDA | 1,071億円 | 同▲0.1% |
今回の決算から事業区分を変更した。コンシューマーの区分でスマートライフ、コンシューマー通信を計上する事となった。コンシューマーのスマートライフのみ増収増益を達成し、コンシューマー通信は減収減益、法人も減収減益となった。
スマートライフの成長はあったもののモバイル通信サービス収入の減少、PSTNマイグレーションの影響等により前年同期比減益となった。
金融・決済取扱高は同14%増の3兆5,000億円と成長した。新たに8月から”eximoポイ活”を提供し、顧客基盤・収益の拡大を目指す。
インテージとの資本提携によりコンシューマーのマーケティング・ソリューション収入は同81%増の380億円となった。
法人の統合ソリューションは同20.6%増の1,858億円となった。
NTTドコモの営業利益はNTTグループの営業利益の63.2%を占めた。
NTTデータの決算結果
受注高 | 1兆4,643億円 | 前年同期比46.7%増 |
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売上高 | 1兆1,121億円 | 同9.6%増 |
営業利益 | 586億円 | 同0.6%増 |
四半期純利益 | 212億円 | 同▲23.2% |
営業利益率 | 5.3% | 同▲0.4pt |
今回の決算から海外セグメントの内訳の名称をNorth America、EMEAL(Europe, Middle East, Africa, Latin America)、APAC、GTSS(Global Technology and Solution Services)に変更した。
受注高は海外のデータセンター事業及び国内事業が好調に推移しており前年同期比46.7%と大幅増加の1兆4,643億円となった。受注の内訳は公共・社会基盤における中央府省向け大型案件の獲得等に加え法人、金融の受注も好調であり728億円の大幅増加となった。海外はGTSSにおける主にイギリス、インドでのハイパースケーラー向けデータセンター事業の拡大により受注が3,943億円の増加となった。為替の影響1,175億円を除いても2,768億円の増加となった。
売上高は同9.6%増の1兆1,121億円となった。為替の影響822億円を含んでおり、為替の影響を除外すると149億円の増収であった。国内は公共・社会基盤が中央府省向け案件の規模拡⼤等により増収だった事に加え、金融・法人も増収でありセグメント全体では159億円の増収であった。
海外はGTSSにおけるハイパースケーラー向けデータセンター事業やSAP事業が順調に拡大した。一方でNorth America、EMEAL、APACでの通信端末機器販売事業の減収等により為替を除くと売上は微減であった。
営業利益は同0.6%増の586億円、金融費用の増加から四半期純利益は同▲23.2%の212億円となった。
NTTデータの営業利益はNTTグループの営業利益の14%を占めた。
NTTグループ:2025年3月期予想
営業収益 | 13兆4,600億円 | 前期比0.6%増 |
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営業利益 | 1兆8,100億円 | 同▲5.9% |
当期純利益 | 1兆1,000億円 | 同▲14% |
EPS | 13円 | |
一株当たり年間配当金 | 5.2円 | 前期2.6円、後期2.6円 |
通期の会社計画は従前予想を維持した。今期は増収減益を予定している。
アナリストによる投資判断
今期はPSTNからIP網への移行に関連する不要資産の撤去、ドコモの顧客基盤強化に向けた投資等で減益予定であるが、NTTグループの圧倒的な優位性は変わらず、中長期的な成長ストーリーは不変である。次世代情報通信基盤のIOWNへの期待は大きいが、株価にはまだ織り込まれておらず株価を大きく押し上げる要因となるには時期尚早であるようだ。