株価 (2022/5/17) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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5,122円 | 8.8兆円 | 21.0% | N/A | N/A |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
N/A | N/A | 0.89倍 | 0.86% | N/A |
2022年3月期通期決算
ソフトバンクグループ(SBG)の2022年3月期通期決算結果は
売上高 | 6兆2,215億円 | (前期比10.5%増) |
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税引前利益 | ▲8,696億円 | (赤字転落) |
当期最終損益 | ▲1兆7,080億円 | (赤字転落) |
第4四半期単独の決算結果は
売上高 | 1兆6,407億円 | (前年同期比10.1%増) |
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税引前利益 | ▲2兆1,042億円 | (前年同期は2兆3,089億円) |
四半期純利益 | ▲2兆1,006億円 | (同1兆9,815億円) |
日本企業として最大の黒字を記録した前々期決算から一転し過去最大の純損失を計上した決算だった。
二期ぶりの赤字であったが、4Qに入りロシアのウクライナ侵攻をきっかけに原油価格高騰、コストプッシュインフレ、金利先高から世界的にハイテク株を中心とした下落で通期の最終損益は▲1兆7,080億円となった。
4Q単独決算の最終損益は▲2兆1,006億円であった。
投資事業からの巨額の損失が目立つが、ソフトバンク事業とアーム事業は増収増益であった。
各投資事業の投資損益の内訳は以下の通り。
持株会社投資事業からの投資損益 | 1,044億円 |
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SVF1及びSVF2からの投資損益 | ▲3兆7,388億円 |
ラテンアメリカ・ファンドの投資損益 | 1,111億円 |
その他の投資損益 | 887億円 |
SVF1では、上場投資先の一部エグジットなどにより実現益(純額)1兆2,261億円を計上(うち、1兆4,638億円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済み)。
主に金利先高観を受けた高成長テクノロジー銘柄回避の動きに加え、オーバーハング懸念(大株主が今後、株式を多く売るかもしれないという懸念が株価の上値を抑える現象)、規制強化など複数要因により多くの上場投資先の株価が下落し、未上場投資先の公正価値も伸び悩んだことから合計2兆9,223億円の未実現評価損失(純額)を計上した。
下落の大きかった上場投資先銘柄はCoupang, Inc.、▲1兆6,453億円の損失を計上、DiDi Global Inc.、▲9,114億円の損失を計上した。
一方、未上場投資先については7,098億円の未実現評価益(純額)を計上した。
エグジット前の投資:当期末、82銘柄を保有(うち、上場投資先22社)。
投資額合計703.7億米ドルに対し、保有投資先公正価値合計785.7億米ドルであった。
累計実現益は181.4億米ドル、累計デリバティブ関連利益14.8億米ドルおよび累計受取配当金9.4億米ドルを含めた、活動開始来の累計投資利益(グロス)は287.5億米ドルになった。
SVF2では、KE Holdings Inc.への投資の一部を売却したことなどにより、投資の実現益1,286億円を計上した。
このうち、3,141億円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みであった。
当期末に保有する投資の未実現評価損失は純額▲2,719億円であった。
うち上場投資先に係る評価損(純額)▲1,286億円、未上場投資先に係る評価損(純額)▲1,432億円であった。
当期末現在、250銘柄を保有(うち、上場投資先14社)。
投資額合計465.9億米ドルに対し、保有投資先公正価値合計は459.8億米ドルだった。
累計実現益11.1億米ドル、累計デリバティブ関連損失4.2億米ドルを含めた、活動開始来の累計投資利益(グロス)は0.8億米ドル、当期末現在の出資コミットメント総額は560億米ドルとなった。
持株会社投資事業からの投資利益1,041億円:上場株式等への投資による投資損失を▲2,297億円計上した一方、アリババ株式先渡売買契約決済益を2,000億円、Tモバイルおよびドイツテレコムへの投資に係る利益(投資に係るデリバティブ関連利益、未実現評価損失、Tモバイル株式売却関連利益)を703億円計上した。
アリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1兆1,330億円の計上により、セグメント利益は9,659億円であった。
ラテンアメリカ・ファンド事業では未上場投資先の公正価値の増加により投資利益(純額)1,111億円を計上した。
当期末現在、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドで合計101銘柄を保有(うち、上場投資先7社)。
投資額合計69億米ドルに対し、公正価値合計94億米ドルであった。
主に新規投資により投資の帳簿価額が前期末比6,822億円増加した。
ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドについても、SVF2の運営会社であるSBGAが運営することとなったため、今期1Qに「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」へ統合予定である。
ソフトバンク事業(SBKK、Zホールディングス)は前期比9.3%増の5兆6,907円、セグメント利益は同3.8%増の8,801億円であった。
主にヤフー・LINE事業と法人事業の増益や投資利益の増加がコンシューマ事業の減益や持分法による投資損失の増加を上回った事による増益であった。
アーム事業は前期比43%増の3,000億円、セグメント利益は412億円だった。
(前期は▲339億円)アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っているが、前期は5Gスマートフォンやネットワーク機器、組み込み機器、車載製品などアームが高いシェアを持つ市場が大きく成長していることにより、アームのロイヤルティー収入は市場の売上高に応じて増加した。
また、アームの顧客による活発な製品設計活動によりアームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、非ロイヤルティー収入(ライセンス収入およびソフトウエア・サービス収入)の増加につながった。
SBGは2022年2月にアームをエヌビディアへ売却する計画を断念した。
SBGは2023年3月までに米ナスダック市場に上場させる見通しを明らかにしている。
財務状況に関しては、SBGの有利子負債が前期末比1兆2,839億円増加した。
国内ハイブリッド社債4,050億円、国内劣後社債5,000億円および5,500億円、外貨建て普通社債38.5億米ドルおよび29.5億ユーロを発行した一方、国内ハイブリッド社債4,556億円、国内劣後社債3,616億円および4,044億円を償還した。
資金調達を行う100%子会社の有利子負債が前期末比2兆4,338億円増加した。
株式先渡契約金融負債が前期末比1兆4,508億円増加、アーム株式を活用した80.0億米ドルの借入(アセットバック・ファイナンス)などにより借入金が前期末比9,830億円増加した。
SVF2の借入金がアセットバック・ファイナンスにより前期末比7,315億円増加した。
また、資本に関してはで前期末比2,478億円減少した。
うち6,024億円は自社株買いによる資本減少で、残りは純損失計上による利益剰余金減少であった。
2023年3月期予想
2023年3月期通期の業績予想を会社側は発表していない。
通信子会社のSBKKの2023年3月期業績予想は売上5兆9,000億円(前期比3.7%増)、営業利益1兆円(同1.4%増)、当期利益5,300億円(同2.4%増)である。
Zホールディングスの2022年3月期予想は売上1兆7,240億円(同10%増)、調整後EBITDA3,315~3,400億円(同0.0~2.6%増)と発表した。
投資判断
前々期は投資事業が業績を牽引したが、ロシアのウクライナ侵攻以降ハイテク株を中心とした株価下落、また中国リスクの高まりから投資先企業の大幅下落により投資事業は巨額の赤字を計上した。
アリババ株の下落が止まらず、一時はNAVの約6割をアリババ株が占めていたが、前期末では約2割までに下落した。
孫社長は今期は守りに徹する為に既存投資先企業の継続的な資金化、また新規投資に関しては投資基準の厳格化をあげている。
今期はソフトバンク事業、アーム事業が業績を下支えして行くと思われる。
アームの売却が認められなかった事が幸いしている部分もあるだろう。
アームのナスダック上場に関しては2023年1~3月でSBGは600億ドルの評価額を目指しているとの説があるが、マーケット状況の改善、世界情勢の正常化なしの600億ドルの評価は厳しい印象がある。
SBGの株価バリュエーションは5月17日の引け値ベースでPBR0.89倍である。
投資アイデア
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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