【銘柄注目ポイント!】
今期末までにアームのナスダック上場は絶望的!?
株価 (2022/8/9) |
時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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5,304円 | 8.5兆円 | 18.2% | N/A | N/A |
PER (実績) |
PER (予想) |
PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
N/A | N/A | 0.99倍 | 0.83% | N/A |
2023年3月期1Q決算
ソフトバンクグループ(SBG)の2023年3月期1Q決算結果は
売上高 | 6兆2,215億円 | (前期比10.5%増) |
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税引前利益 | ▲8,696億円 | (赤字転落) |
四半期最終損益 | ▲3兆1,627億円 | (過去最大の赤字) |
前期通期の純損失の二倍近くの赤字計上と過去最大の損失の決算だった。世界的な株安と急激な円安が赤字の要因であった。
2022年3月31日を起点としてナスダック指数は▲22%、ヴィジョン・ファンド上場株インデックスは▲31%であった。
ヴィジョン・ファンド(SVF1、SVF2、ラテンアメリカ・ファンド合計)の四半期ベースの損益は▲2兆9,350億円であった。(1Q2017からの累計損益は1,122億円)
四半期純損失のうち▲8,200億円が為替差損によるものであり、国内会社の外貨建ての純負債が円ベースで増加した影響であった。
ヴィジョン・ファンド(SVF1、SVF2、ラテンアメリカ・ファンド合計)の3か月のポートフォリオの変化は以下の通りである。
2022/3/31
価値増の企業数は161社 | (36%) | 6.7兆円 |
価値減の企業数は171社 | (38%) | ▲3.6兆円 |
増減無の企業数は117社 | (26%) | |
449社 | 3兆472億円―① |
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2022/6/30
価値増の企業数は119社 | (25%) | 5.1兆円 |
価値減の企業数は277社 | (59%) | ▲5.0兆円 |
増減無の企業数は73社 | (16%) | |
469社 | 1,122億円―② |
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②-①=▲2兆9,350億円(四半期損益)
1Qのヴィジョン・ファンド等への投資状況は
SVF1
1Qに0.6億米ドルの既存投資先への追加投資を実施した。1Q末時点で80銘柄を保有。
SVF2
1Qに合計21.1億米ドルの新規および既存投資先への追加投資を実施し、累計投資額は496.5 億ドルとなった。1Q末時点で269銘柄を保有。
ラテンアメリカ・ファンド
1Qに1.5億米ドルの投資を実施した。1Q末時点で88銘柄を保有。
持株会社投資事業からの投資利益は1,112億2,300万円となった。資産運用子会社からの投資による投資損失▲675億5,900万円を計上した一方、Tモバイルおよびドイツテレコムへの投資に係る利益(投資に係るデリバティブ関連利益、未実現評価利益、Tモバイル株式売却関連利益)1,545億4,700万円、アリババ株式先渡売買契約決済益972億6,300万円をそれぞれ計上した。
SVF1からの評価損失の大きかった保有銘柄はCoupangの損失が▲2,933億7,300万円、SenseTime Groupの損失が▲2,358億8,800万円、DoorDashの損失が▲2,207億1,800万円だった。SVF1では公開投資先の投資の資金化により実現損失▲304億6,600万円を計上した。
SVF2ではKE Holdingsの全株式を売却した事により投資の実現益32億5,700万円を計上した。公開投資先についてはAutoStore Holdings及びWeWorkの株価が下落し、未公開投資先については公正価値の減少や公開類似企業の株価下落を反映した事等により▲1兆3,259億6,700万円の未実現評価損失(純額)を計上した。
自社株買いの状況であるが、2021年11月に決議した最大1兆円の自己株式取得枠のうち、1Qに2,935億円の自己株式を取得した。2021年11月から2022年6月末までの累計取得額は6,381億円、7月末までの累計取得額は7,048億円であった。昨日の決算発表時に新たに4000億円の自己株式の取得枠の設定を発表した。
ソフトバンク事業(SBKK、Zホールディングス)の売上高は前年同期比0.4%増の1兆3,619億円を計上したが、セグメント利益(税引前利益)は同16.8%減の2,253億8,900万円となった。コンシューマ事業は、主にモバイルサービスの通信料値下げの影響により減益となった。法人事業は、企業のデジタル化が加速する中でクラウドサービスなどの売上が拡大したものの、前年同期に一時的な費用の戻し入れがあった反動などにより減益となった。ヤフー・LINE事業は、コマースや広告関連サービスを中心に売上は拡大したが、成長に向けた人員強化に伴い人件費が増加した等により減益となった。
アーム事業は唯一好調であり、増収増益が継続した。
売上高は前年同期比24.9%増(ドルベースでは6.4%増)の927億5,100万円、セグメント利益(税引前利益)は同3.4倍弱の298億6,400万円であった。
半導体市場は、より多くの運転情報やドライブアシストが自動車で提供されたり、スマートフォンのカメラ技術が世代ごとに向上するなど、より多くの製品やサービスが組み込みインテリジェンスを用いてスマート化する長期的なトレンドを背景に、非常に高い成長が続いている。特に5Gスマートフォンやネットワーク機器、組み込み機器、車載製品などアームが高いシェアを持つ市場が大きく成長していることにより、1Qはアームのロイヤルティー収入は市場の売上高に応じて増加した。
また、アームの顧客による活発な製品設計活動によりアームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、非ロイヤルティー収入(ライセンス収入およびソフトウエア・サービス収入)の増加につながった。
SBGは2022年2月にアームをエヌビディアへ売却する計画を断念し、前期中には2023年3月までに米ナスダック市場に上場させる見通しを明らかにしていたが、この点について昨日孫氏は言及しなかった。
B/Sの変化に関しては、純損失3兆1,627億円を計上した事により利益剰余金が減少、資本合計が前期末比1兆5,332億円減少の10兆1,745億9,800万円となった。自己資本比率は前期末21.0%より2.8pt低下の18.2%となった。有利子負債は前期末比1兆5,166億3,300万円増加の22兆9,740億6,500万円となった。
2023年3月期予想
2023年3月期通期の業績予想を会社側は発表していない。通信子会社のSBKKの2023年3月期業績予想は売上5兆9,000億円(前期比3.7%増)、営業利益1兆円(同1.4%増)、当期利益5,300億円(同2.4%増)である。Zホールディングスの2023年3月期予想は売上1兆7,240億円(同10%増)、調整後EBITDA3,315~3,400億円(同0.0~2.6%増)とそれぞれ従前見通しを維持した。
投資判断
過去最大の損失を計上し、SBGには試練の時であるだろう。インフレ加速、金利上昇から株式市場は完全にベア・マーケット入りし、リセッションになる可能性もある。
しかも米下院議長の台湾訪問から米中関係は更に悪化してしまった。投資事業が本業のSBGにとって保有企業の損失計上、Exitしようにも思うような評価額がつかないマーケットの状況でアームのナスダック上場を強行するとは思えない。昨日の決算発表を受けて本日の前場では前日終値比▲7%以上まで売り込まれたが値を戻した。
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プロフィール
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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