ソフトバンクグループの株価情報

株価*

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

6,305円

9.2兆円

21.2%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

▲9.7倍

N/A

0.94倍

0.7%

N/A

*株価は2023/11/9の終値。

SBG:2024年3月期2Q決算

売上高 (累計)3兆2,271億円前年同期比1.4%増
税引前損益▲9,074億円赤字転落
四半期純損益▲1兆4,087億円赤字拡大

前年同期の四半期純損益▲1,291億円から赤字が大きく拡大し、▲1兆4,087億円となった。持株会社投資事業は▲4,135億円のセグメント損失を計上し、SVF事業では▲5,833億円の損失を計上した。 

財務費用2,952億円、為替差損6,481億円(主にソフトバンクグループにおいて米ドル建負債が米ドル建現預金・貸付金を上回っている中、円安となった影響により損失を計上)、デリバティブ関連利益7,017億円はアリババ株式の株価下落に伴い、同株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益を計上。アリババ株式の未実現評価損失▲2,376億円を相殺した。税引前損失は▲9,074億円であった。

法人所得税は1,977億円、非支配持分に帰属する純利益3,036億円、親会社の所有者に帰属する純損失は▲1兆4,087億円であった。

継続的な資金化を行ったおかげで有利子負債比率(LTV)は1Q末からほぼ横ばいを維持した。アリババ株式を利用した先渡売買契約により43.9億米ドルを調達した。アームの新規株式公開に際して同社発行済株式総数10%相当の持分を売り出し、手取金51.2億米ドルを受領した。SVFによる投資の売却により合計19.7億米ドルを受領した。

投資は拡大した。SVFで合計13.3億米ドルを投資した。ソフトバンクグループおよび100%子会社で戦略投資を中心に合計2,826億円を投資した。

2023年9月14日、ARMがNasdaqへ上場。売出し後もアームは引き続き当社の子会社であるため、売却益は連結損益計算書に計上せず、連結財政状態計算書の資本剰余金に売却益相当額6,744億円(46.5億米ドル)を計上した。

2023年4月に国内ハイブリッド社債2,220億円を発行し、同年5月のハイブリッドローン531億円の借入実行とあわせて、2023年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(20億米ドル)のリプレイスメントを完了。また、2023年9月に、同月に初回任意償還日を迎えた国内ハイブリッド社債(154億円)のリプレイスメントを完了した。

2023年10月1日付で、Zホールディングスは、LINEおよびヤフーの3社を中心とした合併を含むグループ内再編に関する手続きを予定通り完了した。

2024年3月期2Qの税引前利益の事業別概況

 セグメント損益前年同期比
持株会社投資事業 ▲5,433億円赤字転落(前年同期は3兆5,247億円)
SVF事業▲5,833億円赤字縮小(前年同期は▲4兆3,535億円)
ソフトバンク事業(SBGが40%保有)5,152億円前年同期比21.3%増
アーム事業▲84億円赤字転落(前年同期は356億円の黒字)

持株会社投資事業は主にアリババやドイツテレコム、Tモバイルの株価下落に伴い、投資損失4,135億円を計上した。投資損失はデリバティブ関連利益(投資損益を除く)7,003億円で補ったものの、為替差損6,501億円を計上したことにより、セグメント損失は5,433億円になった。

SVF1は投資額896億米ドルに対しリターンが1,044億米ドル、活動開始来累計利益は148億米ドルだった。SVF2は投資額522億米ドルに対しリターン315億米ドル、活動開始来累計損失は207億米ドルだった。

ソフトバンク事業はモバイルサービスの通信料値下げの影響でコンシューマ事業が減益となった一方、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が増益となったことなどにより、セグメント利益は前年同期比21.3%の増加であった。

アーム事業は2Qは四半期ベースでアーム史上最高の売上を記録した。ロイヤルティー収入が14.5%減(米ドルベース):自動車及びインフラストラクチャー向けチップは力強く成長もスマートフォン及び他のエレクトロニクス向けチップの販売不振を補えなかった。ライセンスおよびその他の収入が44.8%増(米ドルベース):次世代スマートフォン、自動車、コンシューマーエレクトロニクス及びAI向けチップを開発する複数の企業と高価値なライセンス契約を締結した。四半期ベースでは前年同期比100%の増収。しかし、セグメント利益は、株式報酬費用の増加や研究開発強化に伴う従業員数の増加が増収影響を打ち消し、前年同期比減益となった。

財務状況

SVFからの投資(FVTPL)の帳簿価額は11兆824億円、前期末比5,927億円増加した。SVF1の帳簿簿価は前期末比2,168億円増加した。2Q末に保有する投資先の公正価値減少により20.7億米ドル、投資の売却により13.9億米ドルそれぞれ減少した。SVF2の帳簿簿価は前期末比2,515億円増加した。2Q末に保有する投資先の公正価値減少により27.2億米ドル、投資の売却により4.1億米ドルそれぞれ減少した一方、新規投資および既存投資先への追加投資により19.2億米ドル増加した。LatAmファンドは前期末比1,244億円増加した。

投資有価証券の帳簿価額は8兆1,391億円(前期末比4,326億円増加)であった。アリババ株式の帳簿価額は4兆6,047億円(前期末比2,376億円減少)、Tモバイル株式の帳簿価額は9,079億円(前期末比1,387億円増加)
ドイツテレコム株式の帳簿価額は7,087億円(前期末比217億円減少)であった。

ソフトバンクグループ㈱の有利子負債が前期末比3,060億円増加した。2023年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(20億米ドル)のリプレイスメント(完了済み)に向け、国内ハイブリッド社債の発行およびハイブリッドローンの借入を実行した。

資金調達を行う100%子会社の有利子負債が前期末比1兆3,338億円増加した。アリババ株式を利用した先渡売買契約の新規締結により43.9億米ドルを調達した。

SVFの有利子負債が前期末7,805億円減少。SVF1およびSVF2でアセットバック・ファイナンスによる借入金を合計63.2億米ドル返済した。

資本合計で前期末比1兆221億円の増加した。アームの上場に伴う売り出しにより売却相当額6,744億円を資本余剰金に計上。アームの非支配持分は2Q末時点1,708億円。米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債の任意償還に伴い、その他の資本性金融商品が2,209億円減少。

親会社の所有者に帰属する純損失1兆4,087億円を計上し、利益剰余金が減少した。為替換算レートが前期末から円安となったことにより在外営業活動体の為替換算差額が1兆7,846億円増加した。

親会社の所有者に帰属する持分比率(自己資本比率)は2Q末21.2%(1Q末は21.4%)となった。

SBG:2024年3月通期業績予想

SBGは業績予想は行なっていない。通信子会社のSBKKの2024年3月期業績予想は売上6兆円(前期比1.5%増)、営業利益は7,800億円(同▲26.4%)、当期純利益利益は4,200億円(同▲21%)を予定している。Zホールディングスの2024年3月期予想は売上1兆9,000億円(同13.6%増)、調整後EBITDA3,560億~3,660億円(同7%~10%増)を予定している。

 

アナリストによる投資判断

ARMのNasdaq上場により資本剰余金に売却益相当額6,744億円(46.5億米ドル)を計上した。しかし、持株会社投資事業、SVF事業共に巨額の赤字を計上し、巨額赤字の決算であった。IPOをしたARMが最高売上を計上した事はポジティブであり、2Q時点ではセグメント損益は赤字であったが、これからの利益成長は大いに期待できる。SBGの今後は過去の負の投資ポートフォリオを相殺する為にARMの株式の売り出しをするのであろうかというのが正直な感想である。