ソフトバンクグループの株価情報

株価*

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

8,000円

11.7兆円

23.9%

▲2.3%

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

▲46.8倍

N/A

1.2倍

0.55%

N/A

*株価は2024/5/13の終値。

SBG:2024年3月期通期決算

売上高 (累計)6兆7,565億円前期比2.8%増
税引前損益578億円黒字転換(前年同期は▲4,691億円)
親会社の所有者に帰属する当期純損益▲2,276億円赤字縮小(前年同期は▲9,701億円)

ソフトバンクグループの2024年3月期通期の当期純損益は前期の▲9,701億円から赤字が大きく縮小し、▲2,276億円となった。持株会社投資事業は▲4,590億円を計上した。内訳は、Tモバイル株式関連で3,711億円の投資利益を計上したものの、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円を補えなかった。(アリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円は同株式を先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1兆5,174億円で相殺した。)

SVF事業からの投資損益は▲1,673億円であった。(セグメント情報におけるSVF事業からの投資利益7,243億円は、SVFによる当社子会社(主にアーム)への投資に係る投資利益を含むものである。)ByteDance、Coupang、DoorDashを含む一部の投資先の公正価値は増加したものの、WeWork株式および債券をはじめとする他の投資の公正価値の減少を補えず未実現評価損失を計上した。活動開始以来の累計損益はSVF1で167億ドル、SVF2で▲193億ドルであった。

財務費用5,560億円、為替差損7,031億円(主にソフトバンクグループにおいて米ドル建負債が米ドル建現預金・貸付金を上回っている中、円安となった影響により損失を計上)、デリバティブ関連利益(投資損益を除く)1兆5,023億円はアリババ株式の株価下落に伴い、同株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益を計上。

法人所得税は▲1,514億円(利益)、非支配持分に帰属する純利益3,390億円、親会社の所有者に帰属する純損益は▲2,276億円であった。

資産の資金化と新規投資を継続した。アリババ株式を利用した先渡売買契約により43.9億米ドルを調達した。アームの新規株式公開に際して同社発行済株式総数10%相当の持分を売り出し、手取金51.2億米ドルを受領した。SVFによる投資の売却で合計63.3億米ドルを受領した。(SBG子会社へのアーム株式などの売却の対価を連結消去後)

SVFによる投資の取得で合計15.0億米ドルを支出した。(当社子会社への投資額を連結消去後)SBGおよび100%子会社で戦略投資を中心に合計3,488億円を投資した。

 

2024年3月期通期の税引前利益の事業別概況

 セグメント損益前期比
持株会社投資事業 ▲975億円赤字転落(前期は4兆5,605億円)
SVF事業1,282億円黒字転換(前期は▲4兆3,083億円)
ソフトバンク事業(SBGが40%保有)8,351億円前期比40.9%増
アーム事業▲332億円赤字転落(前年期は487億円の黒字)

ソフトバンク事業のモバイルサービス売上は、2021年春に実施した通信料値下げの影響が縮小傾向にある中、スマートフォン契約数が増加した事などにより3期ぶりに増収増益となり、また、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が増益となり、セグメント利益は前年同期比40.9%増の8,351億円であった。

アーム事業は四半期及び通期のいずれもアーム史上最高の売上を記録した。米ドルベースの売上高は前期比13.6%増(円ベースでは同21.6%増)であった。ライセンス及びその他の収益が過去最高となり、一方ロイヤリティ収入は過去最高となった前期比微減であった。上期は半導体チップの販売低迷による影響を受けたものの、下期はアームの最新世代テクノロジー「Armv9」の普及促進に伴うロイヤルティ単価上昇を背景にロイヤルティ収入が回復した。4Qのロイヤルティ収入は四半期ベースで過去最高を記録した。米ドルベースのライセンス及びその他の収入は前期比38.5%増。次世代スマートフォン、自動車、コンシューマー・エレクトロニクス及びAIアプリケーション向けチップを開発する大手テクノロジー企業と高額かつ長期のライセンス契約を締結した。株式報酬費用の増加や研究開発強化に伴う従業員数の増加が増収影響を打ち消しセグメント損益は▲332億円となった。

 

財務状況

SVFからの投資(FVTPL)の帳簿価額は11兆145億円、前期末比5,248億円増加した。米ドルベースの残高は減少した一方で対米ドルの為替換算レートが円安となった影響により増加した。SVF1は前期末比685億円減少した。米ドルベースでは58.6億円減少した。投資の売却により52.7億米ドル、当期末に保有する投資先の公正価値減少により5.9億米ドルそれぞれ減少した。

SVF2は前期末比4,506億円増加した。米ドルベースでは2.5億米ドル減少した。主に新規投資及び既存投資先へ21.4億米ドルの追加投資を行った事により増加した一方、当期末に保有する投資先の公正価値減少により18.3億米ドル、投資の売却により5.3億米ドルそれぞれ減少した。

投資有価証券の帳簿価額は9兆620億円(前期末比1兆3,555億円増加)であった。アリババ株式の帳簿価額は3兆7,571億円(前期末比1兆852億円減少)、Tモバイル株式の帳簿価額は2兆2,758億円(前期末比1兆5,066億円増加):条件付対価の条件充足に伴い同社株式4,880万株(当期末残高は1兆2,048億円)を無償取得した。PayPay銀行による債券などの資産運用商品への投資の帳簿価額が2,232億円増加し5,120億円になった。

ソフトバンクグループ㈱の有利子負債が前期末比4,912億円増加した。2023年4月に国内ハイブリッド社債2,220億円を発行し、同年5月のハイブリッドローン531億円の借入実行と合わせて同年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建てノンコール6年永久ハイブリッド社債(資本計上)20億米ドルのリファイナンスを完了した。2024年3月に満期を迎えた国内普通社債3,999億円を償還し、同年3月に国内普通社債5,500億円を発行した。

資金調達を行う100%子会社の有利子負債が前期末比1兆1,141億円増加した。アリババ株式を利用した先渡売買契約の新規締結により43.9億米ドルを調達した一方、一部の現物決済に伴い株式先渡契約金融負債24.9億米ドルの認識を中止した。

SVFの有利子負債が前期末比7,748億円減少した。SVF1およびSVF2でアセットバック・ファイナンスによる借入金を合計63.5億米ドルを返済した。

資本合計で前期末比2兆5,880億円増加した。アームの上場に伴う売り出しにより売却相当額6,744億円を資本余剰金に計上。アームの非支配持分は当期末時点2,368億円。米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債の任意償還に伴い、その他の資本性金融商品が2,209億円減少した。

親会社の所有者に帰属する純損失2,276億円を計上し、利益剰余金が減少した。為替換算レートが前期末から円安となったことにより在外営業活動体の為替換算差額が2兆95億円増加した。ソフトバンクの非支配持分が社債型種類株式1,200億円の発行等により増加した。

親会社の所有者に帰属する持分比率(自己資本比率)は当期末23.9%(前期末は20.6%)となった。

SBG:2025年3月通期業績予想

SBGは業績予想は行なっていない。通信子会社のSBKKの2025年3月期業績予想は売上6兆2,000億円(前期比1.9%増)、営業利益は9,000億円(同2.7%)、当期純利益利益は5,000億円(同2.2%)を予定している。

 

アナリストによる投資判断

三期連続最終赤字の決算であった。四半期ベースでは3Q、4Qと株価好調を背景に投資先企業の企業価値が向上し黒字を確保できた。昨年9月にIPOをしたARMの業績は4Qからロイヤルティ収入が増加し、今期は増収増益が望めると考えている。ARMのNAVは現在約26兆円で過去最高水準にある。