株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
7,544円 | 11兆円 | 25.3% | N/A | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
▲44.1倍 | N/A | 1.0倍 | 0.58% | N/A |
*株価は2024/8/7の終値。
SBG:2025年3月期1Q決算
売上高 | 1兆7,017億円 | 前年同期比9.3%増 |
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税引前損益 | 2,257億円 | 黒字転換(前年同期は▲1,762億円) |
親会社の所有者に帰属する四半期純損益 | ▲1,743億円 | 赤字縮小(前年同期は▲4,776億円) |
ソフトバンクグループの2025年3月期1Qの四半期純損益は▲1,743億円と3四半期ぶりに赤字に転落した。持株会社投資事業は5,679億円と黒字転換し、内訳は、Tモバイル株式関連で1,791億円の投資利益、アリババ株式で投資利益2,357億円を計上した。
SVF事業からの投資損益は324億円であった。SVF1で4,171億円の利益、SVF2で3,577億円の損失、LatAmファンドで129.9億円の損失を計上した。SVF1では公開投資先のCoupangやDiDi Global等の株価上昇に伴い2,094億円の未実現評価益を計上した。未公開投資先については業績の低迷を反映して一部の銘柄の公正価値が減少したが、好調な業績を反映したBytedanceの公正価値の増加が上回り1,928億円の未実現評価益を計上した。
SVF2ではAuto Store HoldingsやSymbotic等の公開投資先の株価が下落したほか未公開投資先の公正価値も減少した。
販管費7,197億円、財務費用1,376億円、為替差損4,439億円、SVFにおける外部投資家持分の増加額2,053億円を計上した。
法人所得税は2,152億円、非支配持分に帰属する純利益1,847億円、親会社の所有者に帰属する純損益は▲1,743億円であった。
SBG及び100%子会社で成長投資を中心に1,932億円の投資を実行した。SVFでは6億米ドルを投資した。
2024年4月に機関投資家向け普通社債1,000億円、同年6月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円をそれぞれ発行し、国内普通社債4,500億円を同年6月に満期償還した。
2024年7月に米ドル建て普通社債9億米ドル、ユーロ建て普通社債9億ユーロをそれぞれ発行するとともに同年7月に米ドル建て普通社債7億6,700万米ドルとユーロ建て普通社債6億3,800万ユーロをそれぞれ期限前償還及び満期償還した。
最大5,000億円の自己株式取得を取締役会で決議した。
2025年3月期1Qの税引前利益の事業別概況
セグメント損益 | 前年同期比 | |
持株会社投資事業 | 5,679億円 | 黒字転換(前年同期は▲6,897億円) |
SVF事業 | 324億円 | 黒字転換(前年同期は▲130億円) |
ソフトバンク事業(SBGが40%保有) | 2,799億円 | 前年同期比9.8%増 |
アーム事業 | 102億円 | 黒字転換(前年同期は▲95億円) |
ソフトバンク事業はメディア・EC事業、コンシューマー事業及びエンタープライズ事業が引き続き増益となった事に加えてファイナンス事業の主要子会社であるPayPay(株)及びPayPayカード(株)が黒字転換した事による。モバイルサービス売上は契約数、ARPUの改善により増収となった。
アーム事業は黒字転換し102億円のセグメント利益となった。1Qはアーム史上最高売上を記録した。米ドルベースの売上高は前年同期比46.6%増、円ベースでは同66.1%増となり、過去最高となったライセンス収入に加えてロイヤルティー収入も好調であった。大幅増収によりセグメント損益が黒字化した。
財務状況
SVFからの投資(FVTPL)の帳簿価額は11兆7,479億円、前期末比7,334億円増加した。SVF1は前期末比7,008億円増加した。米ドルベースでは19.6億米ドル増加した。投資の売却により6.1億米ドル減少した一方、1Q末に保有する投資先の公正価値増加により25.7億米ドル増加した。
SVF2は前期末比120億円減少した。米ドルベースでは17億米ドル減少した。主に新規投資及び既存投資先へ6.1億米ドルの追加投資を行った事により増加した一方、1Q末に保有する投資先の公正価値減少により22.8億米ドル、投資の売却により0.3億米ドルそれぞれ減少した。
投資有価証券の帳簿価額は9兆3,787億円(前期末比3,167億円増加)であった。アリババ株式の帳簿価額は3兆5,362億円(前期末比2,209億円減少)、Tモバイル株式の帳簿価額は2兆4,223億円(前期末比1,465億円増加)ドイツテレコム株式及びNVIDIA株式は株価上昇の影響により、Wayve Technologies株式及びPayPay銀行による資産運用商品への投資は1Qの追加投資の影響によりいずれも帳簿価額が増加した。
ソフトバンクグループ㈱の有利子負債が前期末比3,045億円増加した。資金調達を行う100%子会社の有利子負債が前期末比2,762億円減少した。アリババ株式を利用した先渡売買契約について一部の現物決済に伴い決済時点において株式先渡契約金融負債22.3億ドルの認識を中止した。Tモバイル株式を利用した先渡売買契約について、一部の現物決済に伴い株式先渡契約金融負債23.2億米ドルが減少した。
SVFの有利子負債が前期末比7,748億円減少した。SVF1およびSVF2でアセットバック・ファイナンスによる借入金を合計63.5億米ドルを返済した。
資本合計で前期末比9,659億円増加した。親会社の所有者に帰属する純損失1,743億円を計上し、利益剰余金が減少した。為替換算レートが前期末から円安となったことにより在外営業活動体の為替換算差額が1兆1,197億円増加した。
親会社の所有者に帰属する持分比率(自己資本比率)は当期末25.3%(前期末は23.9%)となった。
SBG:2025年3月通期業績予想
SBGは業績予想は行なっていない。通信子会社のSBKKの2025年3月期業績予想は売上6兆2,000億円(前期比1.9%増)、営業利益は9,000億円(同2.7%)、当期純利益利益は5,000億円(同2.2%)を予定している。
アナリストによる投資判断
3四半期ぶりに赤字に転落し、四半期純損益は▲1,742億円であった。投資事業は黒字転換したものの円安により4,439億円を計上した事から最終損益は赤字となった。アーム事業は最高売上を記録し、この先も業績拡大が見込まれる。SBGの株価についてはAI関連銘柄が軟調となっているために大きく上昇するのは難しい印象がある。