株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
9,856円 | 14.2兆円 | 26.0% | N/A | 0.5% |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
▲63.5倍 | N/A | 1.3倍 | 0.45% | N/A |
*株価は2025/2/12の終値。
SBG:2025年3月期3Q決算結果(累計)
売上高 | 5兆3,026億円 | 前年同期比6.0%増 |
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税引前損益 | 1兆2,709億円 | 同381.3%増 |
親会社の所有者に帰属する四半期純損益 | 6,362億円 | 黒字転換(前年同期は▲4,587億円) |
3Q単独の決算結果は
売上高 | 1兆8,327億円 | 前年同期比3.3%増 |
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税引前損益 | ▲1,902億円 | 赤字転落(前年同期は1兆1,715億円) |
親会社の所有者に帰属する四半期純損益 | ▲3,692億円 | 赤字転落(前年同期は9,500億円) |
ソフトバンクグループの2025年3月期3Qの累計決算は、売上高は前年同期比6.0%増の5兆3,026億円、税引前損益は黒字転換し1兆2,709億円、親会社の所有者に帰属する四半期損益も黒字転換し6,323億円となった。累計決算では黒字であったが、3Q単独の決算結果は売上高が前年同期比3.3%増の1兆8,327億円、税引前損益は赤字転落し▲1,902億円、親会社の所有者に帰属する四半期純損益も赤字転落し▲3,692億円となった。
【投資利益】
持株会社投資事業の投資利益は2兆1,700億円と黒字転換した。(前年同期は▲5,389億円。内訳は、アリババ株式に係る投資利益9,029億円、Tモバイル株式に係る投資利益7,519億円を計上した。)
SVF事業からの投資損益は2,608億円であった。SVF1ではByteDanceやCoupang等一部の投資先の公正価値が増加。活動開始来累計損益はSVF1で216億米ドルのプラス、SVF2で▲222億米ドル。
ただし、アームやSBKKなどの子会社は連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上していない。
【税引前利益】
税引前利益は前年同期比1兆69億円改善の1兆2,709億円となった。販管費2兆2,065億円、財務費用4,327億円、為替差損2,519億円。ソフトバンクグループにおいて米ドル建て負債が米ドル建て現預金・貸付金を上回っている中、期末日為替換算レートが前期末に比して円安となった影響により損失を計上した。デリバティブ関連損失(投資損益を除く)7,912億円:アリババ株式の株価上昇に伴い、同株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連損失を計上。SVFにおける外部投資家持分の増加額3,599億円:外部投資家持分の割合が大きいSVF1において投資利益7,403億円(セグメント情報ベース)を計上したことに伴い、外部投資家持分の増加額2,835億円(成果分配型投資家帰属分)を計上した。
【純利益】
親会社の所有者に帰属する純利益は前年同期比1兆949億円改善の6,326億円であった。法人所得税2,132億円、非支配持分に帰属する純利益4,215億円
【成長投資】
ソフトバンクグループ及び100%子会社で合計4,266億円を投資した。(AIを活用したデータ学習型の自動運転プラットフォームを開発する英国のWayve Technologiesへ投資、米国で太陽光発電所の建設及び運営を手掛ける持分法適用会社のSBE Globalの持分を追加取得し、同社を子会社化。AIや機械学習に特化した半導体チップの設計・開発を手掛ける英国のGraphcoreを子会社化等。)
SVFではエンタープライズやフロンティアテックセクターの企業を中心に合計16.3億ドルを投資した。
【ファイナンス】
2024年4月に機関投資家向け普通社債1,000億円、同年6月および12月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円、3,500億円をそれぞれ発行した。国内普通社債4,500億円を同年6月に満期償還した。
2024年7月に米ドル建て普通社債9億米ドル、ユーロ建て普通社債9億ユーロをそれぞれ発行するとともに同年7月に米ドル建て普通社債7億6,700万米ドルとユーロ建て普通社債6億3,800万ユーロをそれぞれ期限前償還及び満期償還した。
2024年9月にタームローンにより2,900百万米ドルの借り入れを実行した。
2024年9月にコミットメントライン契約を更改。更改後の借入限度額は米ドル建トランシェが5,465百万米ドル、円建てトランシェが356億円。3Q末現在、全額未使用。
2024年8月に決議した最大5,000億円の自己株式取得枠のうち3Q末までに累計2,069億円、2025年1月末までに累計2,099億円の自己株式を取得した。
2025年3月期3Qの税引前利益の事業別概況
セグメント損益 | 前年同期比 | |
持株会社投資事業 | 5,319億円 | 黒字転換(前年同期は▲59億円) |
SVF事業 | ▲1,410億円 | 赤字転落(前年同期は2,249億円) |
ソフトバンク事業(SBGが40%保有) | 7,639億円 | 前年同期比7.4%増 |
アーム事業 | 172億円 | 黒字転換(前年同期は▲164億円) |
ソフトバンク事業はメディア・EC事業、コンシューマー事業及びエンタープライズ事業が引き続き増益となった事に加えてPayPay(株)及びPayPayカード(株)が黒字転換した事によりセグメント利益は増加した。モバイルサービス売上は契約数、ARPUの改善により増収となった。
アーム事業は黒字転換しは172億円のセグメント利益となった。顧客のテクノロジー企業のAI投資により3Qはアーム史上最高の売上高を達成した。3Qでは米ドルベースの売上高は前年同期比21.8%増(円ベースでは同29.3%増)チップ当たりのロイヤルティー単価が高いアームの最新世代テクノロジー「Armv9」の普及が増収に貢献した。米ドルベースのライセンス及びその他の収入は同18.4%増加。前期に大手テクノロジー企業と締結した高額かつ長期の契約を収益計上。加えて、次世代スマートフォン、データセンター、ネットワーク機器、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーション向けチップを開発する複数の顧客と契約を締結した。大幅増収に伴いセグメント利益が黒字化した。
財務状況
SVFからの投資(FVTPL)の帳簿価額は11兆7,566億円、前期末比7,421億円増加した。SVF1は前期末比6,214億円増加した。米ドルベースでは22.2億米ドル増加した。投資の売却により20.3億米ドル減少した一方、3Q末に保有する投資先の公正価値増加により42.5億米ドル増加した。
SVF2は前期末比1,054億円増加した。米ドルベースでは4.9億米ドル減少した。新規投資及び既存投資先へ23.5億米ドルの追加投資を行った事により増加した一方、2Q末に保有する投資先の公正価値減少により24.7億米ドル、投資の売却により3.8億米ドルそれぞれ減少した。
投資有価証券の帳簿価額は8兆7,438億円(前期末比3,181億円減少)であった。アリババ株式の帳簿価額は2兆3,451億円(前期末比1兆4,120億円減少)、Tモバイル株式の帳簿価額は2兆9,804億円(前期末比7,046億円増加)であった。
ソフトバンクグループ㈱の有利子負債が前期末比1兆1,588億円増加した。国内普通社債1兆円、外貨建普通社債9億米ドル及び、9億ユーロを発行した一方、国内普通社債4,500億円、外貨建普通社債7億6,700万米ドル、6億3,800万ユーロを償還した。タームローンにより29億米ドルの借入を実行。また、ハイブリッドローン1,350億円の借入実行により、ハイブリッドローン840億円のリファイナンスを完了した。
資金調達を行う100%子会社の有利子負債が前期末比2兆5,026億円減少した。アリババ株式を利用した先渡売買契約について、一部の現物決済に伴い決済時点において株式先渡契約金融負債148.9億米ドルの認識を中止した。Tモバイル株式を利用した先渡売買契約の全てを現金決済したことに伴い、株式先渡契約金融負債が28.5億米ドル減少。
資本合計で前期末比1兆3,374億円増加した。親会社の所有者に帰属する純利益6,326億円を計上し、利益剰余金が増加した。継続的な自社株買いを実施:3Q末までに2,069億円取得した。為替換算レートが前期末から円安となったことにより在外営業活動体の為替換算差額が6,457億円増加した。
親会社の所有者に帰属する持分比率(自己資本比率)は当期末26.0%(前期末は23.9%)となった。
SBG:2025年3月通期業績予想
SBGは業績予想は行なっていない。通信子会社のSBKKの2025年3月期業績予想は売上6兆3,500億円(前期比4.4%増)、営業利益は9,500億円(同8.4%)、当期純利益利益は5,100億円(同4.3%)を予定している。
アナリストによる投資判断
3Q単独の四半期純損益はSVFの投資損失等により▲3,239億円とまた赤字に転落した。OpenAIとの共同プロジェクト「Stargate Project」において、約190億ドル(約2兆9,700億円)を出資する計画をSBGは発表したが、この出資に関してはSBG本体からの出資ではなく、Stargate Projectを担保としてプロジェクト・ファイナンスで資金調達を予定しているのでバランスシート・リスクは限定的であると思われる。