【銘柄注目ポイント!】
9月にiPhone14シリーズの発表があるが、インフレ加速でリスクが高まるか!?
株価 (2022/8/5) | 時価総額(百万ドル) | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
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165.35USD | 2.66兆USD | 17.3% | 162.82% | 25.39% |
PER (実績) | PER (予想) | PBR | 配当利回り | EV / EBITDA |
27.3倍 | 27.1倍 | 45.7倍 | 0.56% | 20.7倍 |
2022年4~6月期決算
アップルの2022年3Q(4月~6月)決算結果は
総売上高 | 829億5,900万ドル | (約11兆円、前年同期比1.9%増) |
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営業利益 | 230億7,600万ドル | (同4.4%減) |
四半期純利益 | 194億4,200万ドル | (同10.6%減) |
希薄後EPS | 1.20ドル | (弊社予想1.57ドル) |
3Qとして売上高は最高を記録したが、ドル高の影響で利益は減少した。売上、EPSはアナリスト予想平均をわずかに上回った。
4月末にCFOが4~6月期は半導体不足と中国のロックダウンによるサプライチェーンの制限による売上高への影響が▲40~▲80億ドルになるとコメントしていたが、結果として▲40億ドル未満の影響で留まった。3Qの営業利益率は前年同期比▲1.8pt低下の27.8%だった。
半導体不足とサプライチェーンの混乱は改善しており、7~9月期は売上へのネガティブな影響は更に小さくなるとクックCEOはコメントした。
iPhoneの新モデルは例年9月販売であり、7~9月期の売上高はまた加速するとの見方を示したが、具体的なガイダンスは出さなかった。アップルの株価は7月の半ばに底を打って以来上昇基調である。
地域別売上高、営業利益は
南北アメリカ大陸
売上高 | 375億ドル | (前年同期比4.5%増) |
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営業利益 | 139億ドル | (同7.7%増) |
ヨーロッパ
売上高 | 193億ドル | (前年同期比1.8%増) |
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営業利益 | 71億ドル | (同0.6%増) |
中華圏
売上高 | 146億ドル | (前年同期比1.1%減) |
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営業利益 | 58億ドル | (同8.6%減) |
日本
売上高 | 54億ドル | (前年同期比15.3%減) |
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営業利益 | 24億ドル | (同20.2%減) |
アジア/オセアニア
売上高 | 62億ドル | (前年同期比14.0%増) |
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営業利益 | 24億ドル | (同11.9%増) |
製品別売上高は
iPhone | 407億ドル | (前年同期比2.8%増) |
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Mac | 74億ドル | (同10.4%減) |
iPad | 72億ドル | (同1.9%減) |
ウェアラブル、ホームアクセサリー | 81億ドル | (同7.9%減) |
サービス収入(アップルストア、アップルミュージック、アップルTV、iCloud等) | 196億ドル | (同12.1%増) |
サプライチェーンの制限、ドル高、インフレの加速、ロシアからの撤退もあったが、iPhoneは前年同期比2.8%増と最高売上を達成した。
3Qの終わりに自社設計の半導体M2搭載のMacBook Airと13インチのMacBookProを発売したが、売上は同10.4%減少であった。
厳しい世界情勢ではあるが、米国、メキシコ、韓国、インドで過去最高の売上を達成した。アクティブディバイスの全ての地域と製品カテゴリーで過去最高となった。
利益率の高いサービス売上は同12.1%増と高い成長を達成した。2022年6月末時点でアップルOneのサブスクリプションサービスの有料会員数は8億6,000万人となり過去12カ月で1億6,000万人以上も会員数が増加した。
3Qに営業キャッシュフローは前年同期比8.5%増の約229億ドルとなった。
3Qの株主還元は280億ドル以上となり、うち38億ドルは配当金、217億ドルは自社株価買いに使った。
3Q末の財務状況であるが、現金、有価証券を合わせて1,790億ドルであった。社債の償還に30億ドルを使い、一方コマーシャル・ペーパーは40億ドル増加した。
3Q末の有利子負債は同1.7%減の約1,200億ドル、ネットキャッシュは600億ドルであった。
7~9月期のガイダンスであるが、グロスマージンは41.5%と42.5%の間、事業運営費用は129億~131億ドルの間、マイノリティ投資の時価評価で利益への影響はマイナス、税率は16%前後としている。配当は一株当たり0.23ドルと発表した。
投資判断
アップル株は7月半ばの安値から27%程戻しているが、米国、欧州ではリセッション入りの可能性があり、買うタイミングではないと思われる。
7月末に発表された米国の2QのGDP速報値は2四半期連続のマイナスであった。雇用が堅調であるためにまだリセッション入りとは言えない状況である。
アップル・ユーザーのロイヤリティは高いが、リセッション入りが確認されれば株式市場は暴落すると思われ、現在の株価でアナリスト予想平均の予想PERは27倍であり特に割安な水準でもない。
業績推移
(アップル社決算資料に基づき株式会社pafin作成)
業績推移
投資アイデア
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プロフィール
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美
新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。
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